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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2016年3月22日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【消費増税】

政府の国際金融経済分析会合において、最近の経済情勢を踏まえ、有識者から消費増税に関して賛否両論が示された。全体としては、現在の消費動向への懸念が示されていると言える。消費は、前回の消費増税に伴う駆け込み需要後の反動減によって停滞し、300兆円の水準で足踏みしている。2年近く消費が活性化しない状況が続いており、この点を指摘する声が多い。

来年の消費増税については、最終的には安倍総理が総合的に判断して、決めることであるが、経団連としては、社会保障の充実と財政の健全化の観点から、予定通り来年4月に消費税率を10%へ引き上げるべきだと考えている。また、増税を実現するための環境整備として、消費のてこ入れ策などが必要である。

【景気対策】

来年度予算が今年度中に成立する見通しとなったことを受けて、次なる施策を考えるべき段階に来ている。来年、予定通り消費増税を実施するためにも、景気の下支えが必要であり、財政出動を含めた景気刺激策、消費刺激策が不可欠である。また、5月の伊勢志摩サミットに際して、わが国は議長国として需要喚起策を打ち出し、世界経済の成長を牽引する姿勢を示す必要がある。サミットを前に思い切った景気対策を打ち出すことは自然な選択肢だと考えている。

消費増税に向けた環境整備は重要であり、消費が足踏み状態を続けている現状を何とかしなければならない。GDP600兆円経済を実現するためにも、消費を300兆円から360兆円程度まで拡大しなければならない。今後、官民で消費増税とは異なる次元で財政出動を含む具体的な消費刺激策を詰めていくことが必要である。

【金融政策】

2012年12月にアベノミクスが始動し、三本の矢が打ち出され、株価と為替の水準はともに大きく改善した。国民総所得(名目)も約40兆円増え、新たに100万人を超える雇用が生み出された。これはアベノミクス全体の成果ではあるが、日銀の金融政策も大きな役割を果たしてきた。昨今、円高が進み、株価も変動しているが、日本経済のファンダメンタルズそのものが毀損しているのではなく、世界的な金融資本市場の動きの中で、原油価格の低下や中国や新興国の経済の減速懸念などに対して、マーケットが過剰に反応したものである。

先般、日銀がマイナス金利をはじめとする新たな政策を導入した。これは物価目標の実現に向けた日銀の強いコミットメントであると受け止めている。

【春季労使交渉】

まだ交渉中の段階ではあるが、一番大事なことは一昨年、昨年と2年間続いた賃金引上げのモメンタムを今年も継続していくことである。今年の経労委報告においても、年収ベースの賃金引き上げを呼びかけてきた。集中回答日以降、3年連続となるベアの実施、昨年を上回る賞与・一時金の回答がなされており、年収ベースの賃金引き上げの動きが広がっている。3年連続の賃金引上げに向けた順調な動きと見ている。

また、経団連としては、ベアや賞与だけでなく、非正規社員の正規化をはじめ総合的な処遇の改善を訴えてきた。今年の労使交渉では、正社員を上回る非正規社員の賃金引上げ、再雇用高齢者の処遇改善、所定労働時間の短縮、介護や看護の休暇制度の拡充、在宅勤務制度の要件緩和などの回答が示されている。これらは企業の労使が知恵を絞り、総合的な処遇改善を図った結果である。中小企業を含め、これから回答する企業にもこのモメンタムが継続されれば、経済の好循環の輪が加速・拡大していく。今後も自社の収益に見合った、前向きな回答が続いていくことを期待したい。

様々な場を通じて、政府から賃金引上げへの要請がなされた。これは経済の好循環を回し、デフレ脱却・経済再生を進めていくための社会全体からの要請であると受け止めている。デフレ脱却・経済再生はわが国の最重要課題である。今のところ、こうした社会的な要請にも十分に配慮した賃金引上げの回答結果が示されていると思う。

昨年春の労使交渉に比べて、今年は経済環境がまったく異なる中での交渉であったと思う。昨年は経済が上向く中での交渉で、ベアも高水準の回答がなされたが、今年は下向きということはないが、先行きが見通しにくい中での交渉であった。そうした状況でも、3年連続でベアが実施されたことは消費拡大への大きなインセンティブとなるものである。賃金は確実に底上げされている。

【政府機関の地方移転】

地方の創生なくしてわが国経済の再生はない。地方創生の一環として、文化庁の京都への全面移転が決まったことは大きな第一歩だと受け止めており、評価したい。8月末にも消費者庁の徳島県への移転、総務省統計局の和歌山県への移転について、結論を出すことになっており、今後の動向に注目している。他の政府機関についても、可能な支局等の地方への移転を進めてほしい。

企業の地方拠点の充実も重要な課題であり、経団連としても昨年6月に地方経済活性化委員会を新設し、9月には「地方創生に向けた経団連アクションプログラム」を策定した。現在、具体的な課題として、企業の地方拠点の強化、大企業の人材の地方への還流、地方限定の社員の採用などに取り組んでいる。こうした活動により取り組みやすくなるような環境を整備してほしい。また、東京に省庁の機能が集中していることが企業の機能を地方に移転する際の障害になっている面もある。政府機関の地方移転は重要な課題であり、省庁と企業の両方が一体となって進めていくことが重要である。

【高浜原発の運転差し止め】

個別の判決についての言及は差し控えるが、一般論として言えば、専門家で構成される原子力規制委員会が行う安全性審査に適合した原子力発電所については、S+3Eの観点から稼動していくべきだと考えている。電力事業者にとって、安全性審査に適合した後に原発を停止せざるを得ない状況が生じることは、事業の予見可能性が失われるため問題であろう。

以上

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