一般社団法人 日本経済団体連合会
【英国のEU離脱(Brexit)】
Brexitは日本経済、世界経済に大きな影響を与えかねない重要な問題である。英国には日本から1000社超の企業が進出し事業を展開しており、年間1兆円を超える大規模な投資を行っている。これはEUの一員としての英国への投資である。生産活動は英国で行っているが、販売はEU加盟国向けということで関税が撤廃され、税関手続きが簡素化されていることが前提となっている。仮に英国がEUを離脱することになり、この前提が崩れると大きな影響がある。また、世界経済全体に影響が及ぶということで、円高株安が進んだ。
仮に国民投票の結果、離脱派が上回ったとしても、英国政府は時間をかけて、EUとの協議を進めることになると思う。また、その結果がどのような形になるかも分からない。そのような中で離脱への懸念が先行し過ぎており、市場は過剰に反応している感がある。もう少し冷静な対応を求めたい。
【金融政策】
金融政策、財政政策、構造改革を総動員して、タイミングよく推進していくことが重要である。さらなる金融緩和については、日本銀行がよく議論したうえで判断すべきことである。今は経済界から要請するタイミングではない。マイナス金利を導入してまだそれほど時間は経過しておらず、その影響を見極める時期だと思う。
【採用選考活動】
6月1日より経団連の指針に基づく選考活動が開始された。経団連の指針は政府の要請を踏まえたものであり、学生の学習機会を確保するとともに、就職活動の長期化を防ぐため、今年度から選考活動の開始を6月に前倒しした。経団連の会員企業のほとんどが指針に則った活動を行っていると思う。政府からも経団連会員を含め幅広く企業、業界団体にこの指針を遵守するよう要請されており、経団連の指針ではあるものの、会員企業以外の企業にも指針を踏まえた対応をお願いしたい。
【参院選】
安倍政権が発足して3年半が経過したが、内政、外交の両面で大きな成果をあげている。アベノミクスの推進により多くの経済指標が改善した。現在、景気の回復は足踏み状態にあるが、2020年のGDP600兆円経済の実現を目指して、アベノミクス第2ステージを強力に進めていかなければならない。これまで通り政策を継続して実行していくためには、安定的な政治基盤を確保することが必要である。現政権の安定した政治基盤が継続して確保されることを期待したい。
【移民政策】
これまで日本では移民政策についてほとんど議論されてこなかった。ただ、移民政策をタブーとするのではなく、将来的な課題として検討していく必要があるだろう。移民についてまったく何も考えずに中長期的にも問題がないのかといったことも含めて、慎重に考えていきたい。経団連では、日本の実状、国情、社会状況にあった移民政策のあり方について時間をかけて検討していく。