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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2016年6月27日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【英国のEU離脱】

英国民がEUからの離脱を選択したことは、力強さを欠く世界経済の先行きに対する不透明感や不確実性を増大させている。深刻に受け止めている。今回の結果は、英国経済を短期的には1.4~5.6%、世界経済を0.1~0.3%、それぞれ引き下げるとの予測がある。英国だけでなく、日本を含む世界全体に影響を及ぼす。また、経済だけでなく、政治、安全保障、テロ対策など広範な分野への影響が懸念される。さらには、EUの存立基盤に対する不透明感さえも惹起している。

今回の英国の選択の背景には、ナショナリズム、保護主義、孤立主義などのグローバル化とは逆行する動きがあり、国際社会に伝播していくことを懸念している。様々な分野に大きな影響を及ぼし得る重大な事態であると認識しており、これらの懸念を払しょくし、最小化しなければならない。為替や株価の急激な変動に見られるように、すでに金融資本市場には動揺が見られるが、これを早期に収拾することが必要である。リーマンショックのようなことにはならないだろうが、そうならないよう危機を回避することが最優先課題である。市場関係者には冷静な対応を求めたい。また、政府、日銀には適切な対応を求めたいと考えており、先週末以降の迅速な対応を歓迎する。

日本経済にとって最も懸念すべきは、円高・株安等の不安材料が長期化し、企業業績が低下することで、投資の減少など経営が慎重になることである。また、個人消費の節約志向が助長されることも懸念される。秋の経済対策では最優先でこうした課題に対応していく必要がある。政府・経済界を挙げた対応が必要である。市場を鎮静化するためにも、政府・日銀による適時適切な対応や、メッセージの発信を期待したい。

英国における日系企業の拠点は1000を超えている。これは英国がEUの一員であることを前提に、投資先として英国を選択してきた結果である。今後、離脱交渉がどのような形でまとまるのかまだ不透明であるが、事態の推移によっては、日本企業のグローバル戦略の再構築、見直しが必要となる。今はまだ国民投票の結果が示された段階に過ぎず、これからEU当局との離脱交渉が2年ほど続くと見られる。日本企業は英国に大きな投資を行っており、これを維持するためにも交渉を通じて、英国の国際競争力・事業環境が維持されることを期待したい。

【グローバル化の重要性】

自由貿易の下でのグローバル化こそが世界が成長・繁栄に向けて目指すべきメカニズムである。企業にとっても、グローバル化こそが成長のための大きな前提であり、最も重要な要素である。これまで日本政府は各国との経済連携を進め、自由貿易体制を整備してきた。今回のEU離脱という選択は、グローバル経済に逆行しかねない。G7が築いてきた自由貿易体制という成長と繁栄のメカニズムは極めて重要な前提条件であり、これを維持するべきである。

国によっては、格差や移民などの問題を背景に、ナショナリズム、孤立主義、保護主義が台頭している。これには、G7が連携して対応していく必要がある。今年一年は日本がG7の議長国を務める。安倍総理、日本政府がリーダーシップをとり、こうした動きの伝播を断ち切っていくことを期待したい。

【経済対策】

安倍総理は秋にも大胆かつ総合的な経済対策を実施すると表明している。英国民がEU離脱を選択したことを受けて、経済対策はますます重要になっている。中身・規模はこれからの議論だが、私も経済財政諮問会議の場を通じて、積極的に議論に参画していく。特に、企業の慎重経営と消費者の節約志向が助長され、消費や投資が停滞するという悪循環は絶対に回避しなければならず、経営者、消費者のマインドを回復させるための大胆で大規模な政策対応が求められる。

【為替】

英国のEU離脱を受けて、為替が急激に変動している。これは、実体経済が変わらない中での投機的な動きによる過剰反応とも言えることから、冷静な対応を求めたい。状況を正しく知ることが重要であり、機動的な情報収集に努めたい。日銀、財務当局には、迅速かつ適切な対応を期待している。

【今後の優先政策事項】

2020年のPB黒字化とGDP600兆円経済の実現という高い目標に向けて、挑戦していこうという矢先に、英国がEU離脱を選択するという大きな不安定要因が発生した。この影響を最小化するのが喫緊の最優先課題であり、官民を挙げて取り組んでいくことが重要である。

また、社会保障制度改革はかねてからの重要課題であり、これを先送りしてはならない。子育てや介護の問題に優先的に取り組み、将来不安を軽減していくことが求められている。また、GDP600兆円経済の実現は至上命題であり、名目3%、実質2%の経済成長に向けて、日本再興戦略に盛り込まれた「官民戦略プロジェクト10」をしっかり実行していかなければならない。

以上

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