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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2016年7月11日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【参議院選挙】

今回の参議院選挙において、自民党・公明党の与党は、安倍首相が目標に掲げた改選議席の過半数を大きく上回る議席を獲得した。これは安定した政治のもとで、アベノミクスを引き続きより一層強力に推進して欲しいという、国民の支持と期待の表れであると受け止めている。

経済界としてもこれまでの安倍政権の内政・外交両面における取り組みを高く評価しており、今回の参議院選挙を通じて政権基盤の安定と政策の継続性が確保されたことを大いに歓迎したい。

目下、わが国はデフレ脱却と経済再生を着実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつけるための正念場にある。一方、足元の景気は踊り場にあり、英国のEU離脱はじめ世界経済の先行きに関するリスクも増大している。

国民の信任を得た安倍政権には個人消費や投資を喚起し、また世界経済の下振れリスクを回避するための包括的かつ大胆な経済対策を早期に取りまとめ、実行に移すとともに、成長戦略の実行・実現、TPP協定の早期承認、社会保障給付の効率化・適正化、労働市場改革、抜本的な規制改革など、山積する重要政策課題の推進に全力で取り組んでほしい。

経団連としても、安倍政権の政策遂行に全面的に協力するとともに、経団連ビジョンで掲げた「豊かで活力ある日本」の実現に取り組んでいく。

【経済対策】

力強い消費の喚起につながる大胆かつ包括的な経済対策を期待しており、経済財政諮問会議の場で具体的に議論していきたい。短期的には足踏み状態にある個人消費を喚起するとともに、企業の設備投資と研究開発投資を促進していくことが重要である。中長期的には、さらなる規制改革と「官民戦略プロジェクト10」が二つの柱となる。経済対策の規模について、具体的な言及はしないが、大胆かつ力強いものとなることを期待している。

財政事情が厳しい中、財源捻出のための様々な工夫が求められる。建設国債や超低金利を活用した財政投融資等により、包括的で大胆な経済対策にすることが重要である。かつてのバラマキ的な対応、短期的な対応はできるかぎり限定し、構造的な改革や成長戦略を促すものを中心にするべきである。例えば、国レベルでのインフラ整備として、リニアの大阪延伸前倒しや整備新幹線の推進などは中長期的に国の成長力を高めるものである。

【憲法改正】

現下の最重要課題はデフレ脱却・経済再生であり、経済界としては経済最優先で取り組んでほしい。日本国憲法については、国の最高法規であり、その重みと重要性を認識することが基本である。そのうえで、時代の変化を踏まえて、改正要件も含めて必要に応じて見直すことは否定されるものではない。諸外国でも時代の要請に応じて、憲法を改正している。日本国憲法の制定から70年が経過し、様々な変化がある中で、各界各層が時代に即した憲法のあり方について十分に議論を行なっていくことが求められる。衆参の憲法審査会において与野党での議論を始めていくとの安倍総理の考えを支持している。

経団連としては、憲法改正の個別の論点にどう対応するかについて、国会での議論の動向を注視しながら必要に応じて議論し、見解をまとめていく。経団連が率先して憲法改正に係る議論を行なっていく考えはない。9条や安全保障に加えて、教育、環境といった我々に身近な論点もある。今後、どのような議論がなされていくのか、注視していく。

【社会保障制度改革】

社会保障制度改革の基本的な方向性は給付の適正化・効率化であり、経済財政諮問会議の専門調査会において、44の具体的項目について、KPIや工程表を盛り込んだ形で適正化・効率化に向けた議論を行っている。中には、相当な痛みを伴うものや利害関係者による反対もあるだろうが、社会保障制度改革には最優先課題の一つとして取り組まなければならない。また、消費増税が先送りになり、その分財源が限定される中にあっても、介護の充実や子育て世代への支援には優先的に取り組んでいく必要がある。

【川内原発】

原子力は、エネルギー安全保障、経済性、環境適合性という観点から極めて重要なベースロード電源であり、安全性の確保を大前提に、地元の理解を得て、ベースロード電源として活用していく必要がある。川内原発については、原子力規制委員会の審査を経て、安全面での支障がないことが認められ、地元の理解を得たうえで、稼働しており、引き続き稼働していくことを期待している。今後、国ならびに関係者には、新規制基準に適合した原発の安全性について、新しい鹿児島県知事、地元住民はもちろん、国民全体に丁寧に説明し、不安を取り除いてほしい。

【採用選考活動】

今年からスケジュールを改定し、選考活動の開始日が8月1日から6月1日に前倒しされた。現在、今年のスケジュールの下での活動についてアンケート調査を行っており、その集計結果も踏まえて、来年以降のスケジュールについて検討していく。今年のスケジュールは昨年に比べて改善されたと聞いており、大きな問題点は指摘されていない。企業、大学、学生がどのような受け止め方をしているのか、きちんと調査をしたうえで、来年以降の対応を決めていく。

【バングラデシュでのテロ事件】

バングラデシュで起きたテロ事件は痛ましく、亡くなられた方々への哀悼の意を表するとともに、遺族の方々にお悔やみを申し上げたい。バングラデシュの経済社会の発展に伴い、日本企業の進出が増えており、日本企業は同国経済の発展に大きな貢献をしてきた。こうした中で、悲惨なテロ事件が起きたことは大変残念であり、テロリストに対して強い憤りを感じている。

企業の海外事業展開は、従業員の生命の安全を確保したうえで、継続しなければならない。バングラデシュ政府には日本企業の事業活動に影響が出ないよう、治安の回復と確保に全力を挙げてほしい。また日本政府にも情報収集と情報提供を強化し、邦人の安全確保に全力を尽くし、経済活動に支障をきたさないようにしてほしい。

【リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック】

リオデジャネイロでのオリンピック・パラリンピックが安全かつ盛大に催されて、無事に終了するとともに、日本選手が大いに活躍することを期待している。日本選手団の活躍により、関連消費が盛り上がり、国民のマインドが明るくなることを願っている。また、次回開催地が東京であることから、今回のオリンピック・パラリンピックには特別な意味がある。リオデジャネイロでのノウハウを引き継ぐためにも、これまで以上に注目していく必要がある。

以上

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