1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 記者会見における榊原会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2017年12月4日
一般社団法人 日本経済団体連合会

YouTube動画はこちら

【品質管理に関する不正事案への対応】

昨今、品質管理に係わる不適切な事案が続いていることは、わが国企業の国際的な信用、国民からの信頼を損ないかねない重大な事態と認識しており、重く受け止めている。

経団連としては、まず、不正事案の調査、ならびに法令・契約遵守の徹底を会員企業・団体に対して呼びかける。具体的には、早急に文書にて要請するとともに、12月12日の幹事会において、重ねて周知する。万が一、法令違反などの行為が確認された場合には、「企業行動憲章」に則り、速やかな公表を求めるとともに、経営トップ自らが問題解決、原因究明に取り組むよう、各社に対して徹底していく。その際、経団連にも報告してもらい、その結果を集約し公表する。また、今後の不正防止を徹底するため、経産省や国交省を招き、会員企業および関係団体を対象とした説明会を12月中旬にも開催する。わが国企業の信頼・信用の回復に全力を挙げて取り組んでいく決意である。

法令遵守、顧客重視は企業経営の大原則である。ただ、BtoBの場合、顧客の数・範囲は限定され、個別に契約を締結するため、仮に不具合があっても当事者間で話し合い、解決できるケースがある。契約内容には守秘義務や機密事項もあり、何でも公表できるというものでもない。個々の事情や問題の重要性、契約内容などを踏まえて、経営トップが公表するかどうか総合的に判断することになる。他方、BtoCの場合は事情が異なり、法令違反やリコールなどの問題がある場合は速やかに公表しなければならない。

【春季労使交渉】

経済の好循環をまわし、経済再生を実現するため、4年連続の賃金引上げを実施してきた。このモメンタムを維持していくことが重要である。また、安倍総理が示した3%賃上げへの期待をはじめ社会的要請を踏まえながら、経団連としては、多様な賃上げや処遇改善に向けた具体策を示し、個々の企業の労使間の議論を促していく。賃金の決定はあくまで個社の判断によるものであるが、経済の好循環、とりわけ消費の活性化に向けて、賃金引上げに前向きに対応するよう呼びかけていく。

企業はベースアップを含めた賃上げに取り組み、この4年間、2%台、月額7000円以上の賃上げを続けてきた。ボーナスも高水準での妥結が続いており、賃金が伸びていることは事実である。ただ、その中で期待したほど消費が伸びていない。消費者の間に将来や国家財政への不安が根強く、教育費負担も重いことから、消費よりも貯蓄に回ってしまっている。賃金を上げるだけで、経済の好循環が実現するということではない。賃金引上げと併せて、国民の将来不安を解消していかなければならない。経済界としても賃金引上げに前向きに対応していくとともに、政府に対して、将来不安の払拭に向け社会保障制度改革、財政再建をしっかりと進めるよう働きかけていく。

【事業主拠出金の増額要請】

消費税率10%への引き上げを大前提に、企業で働く従業員の就労継続や仕事と子育ての両立支援を後押しする観点から、政府からの事業主拠出金の増額要請に協力することを表明した。ただし、事業主拠出金は3000億円を上限とし、保育所の整備状況に応じて、段階的な拠出としてほしい。

企業にとっては、すでに約4000億円を拠出しており、今回の追加分3000億円を合わせると約7000億円にも上る巨額の負担となる。この状況を踏まえ、労働保険料率の引き下げなど負担軽減策を検討してほしい。また、負担感のより重い中小・零細企業に対しては様々な形での配慮をするとともに、丁寧な説明をお願いしたい。

【税制改正】

2014年度の法人実効税率は34.62%であったが、現在、29.97%となり、さらに来年度は29.74%まで下がる。実効税率が約5%下がった効果は大きい。ただ、米国やフランスでも法人税の引き下げが検討されているようであり、国際競争力を維持するためには実効税率をさらに引き下げることが重要である。また、日本の事業環境を諸外国に遜色のないものとし、魅力を高めていく必要がある。経団連は一貫して、実効税率をOECD諸国並の25%程度まで引き下げるよう主張している。これは、法人税改革の本丸であり、その旗を降ろすことなく継続して取り組んでいく。法人実効税率は純利益全体にかかってくるため、仮に25%程度にまで引き下げられれば、その効果は大きい。財源については、これまでは税収中立という考えの中で課税ベースが拡大され尽くしてきた。もはや赤字法人への課税ぐらいしか残されていないが、それには抵抗がある。いろいろな調整はあるだろうが、真水での減税を提案していきたい。

今年の税制改正では、賃金引上げや設備投資に積極的な企業に対して、インセンティブを措置する方向で検討が進んでいると理解している。どのような前提条件がつくのかはまだ分からないが、実効税率換算で25%程度まで引き下げられるのであれば、賃上げ、設備投資の拡大に向けた大きなインセンティブになる。私が11月17日の未来投資会議で提言した内容に基づいて、検討が進んでいるようであり、動向を注視している。

【米国の法人税改革】

米国では下院に続き、上院でも税制改正法案が可決された。両院で改正内容が異なるようだが、基本的には法人税率が下院案では2018年から、上院案では2019年から35%から20%に引き下げられることになる。これが実現すれば、米国で活動する日本企業にとって直接的な恩恵となり、歓迎したい。他方、日本企業の国際競争力にも係ってくる。これまで先進国では米国の法人実効税率が一番高く、その次が日本であった。もし米国の改正案が実現すれば、日本の法人実効税率は圧倒的に高くなることから、経済界として、法人実効税率の25%への引き下げを主張していく。

【日中関係】

本日より2日間、第3回日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)を開催する。日中関係が好転する中、来賓の安倍総理には、日中関係改善に向けた力強い激励のメッセージを期待したい。先の日中経協合同訪中団においても、中国側から両国の経済産業協力推進に向けた強いメッセージをもらった。民間交流の強化、イノベーションの推進、一帯一路を含むグローバルな協力のあり方などについて、中国側の経済界トップと議論を深めていく。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら