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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2020年3月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【新型コロナウイルスの影響と対応】

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大防止について現在、極めて重要な局面にあり、経済界も最大限の取り組みを行っている。その一環として、会員企業の取り組み状況に関するフォローアップ調査を実施(調査期間 2020年2月28日~3月4日)した。回答企業の約7割がテレワークを実施済みまたは実施予定、9割超が時差出勤を実施済みまたは実施予定である。テレワークについては、実施検討中との回答も約2割あり、多くの企業で、積極的に感染症拡大防止策が講じられている。

新型コロナのマーケットへの影響は極めて深刻である。交通機関や観光、中小企業の資金繰りなどで懸念が生じている。感染拡大が長引けば長引くほど影響は大きくなり、世界的にビジネスが停滞しかねない。どれだけ長引くかは、広がりの範囲、各国の認識と対応に関連する。今回の景気悪化は、リーマン・ショックの時とは様相が異なる。あの危機では、金融機関のバランスシートも傷んでいた。現在、金融機関、事業会社ともにバランスシートは健全な状態である。今回は、未知のウイルスによる感染症の拡大が原因であり、そこを一日も早く抑え込むことに尽きる。従って、まずは新型コロナ対策を最優先に、官民一体で全力を挙げて取り組み、一日も早くねじ伏せなければならない。政府は安倍総理のリーダーシップの下、感染症拡大予防にとどまらず、水際対策の強化や臨時休校の影響を受ける保護者への支援、緊急経済対策などの諸施策を講じている。

【副会長、審議員会副議長人事】

本日の会長・副会長会議で、本年の定時総会(6月2日)で選任する理事・副会長、審議員会副議長候補者を内定した。

理事・副会長については、岡本副会長、小林副会長、石塚副会長、國部副会長が任期満了により退任し、新たな候補者として、佐藤康博・みずほフィナンシャルグループ会長、菰田正信・三井不動産社長、太田純・三井住友フィナンシャルグループ社長、安永竜夫・三井物産社長の就任が内定した。

審議員会副議長については、浅野副議長、泉谷副議長、長榮副議長が任期満了、佐藤副議長、菰田副議長が副会長への就任により退任し、新たな候補者として、6月の定時総会で副会長を退任する小林健・三菱商事会長、市川秀夫・昭和電工会長、鈴木善久・伊藤忠商事社長、津賀一宏・パナソニック社長、吉田憲一郎・ソニー社長、野田由美子・ヴェオリア・ジャパン社長、武内紀子・コングレ社長、出雲充・ユーグレナ社長の就任が内定した。

経団連が日本経済界を代表し、かつ日本経済界の方向性を議論する組織であるためには、人事の多様化が不可欠である。そこで今回、女性やスタートアップ経営者を審議員会副議長に選任したが、これからも多様な人材を幹部に登用したい。

【Society 5.0の社会実装】

Society 5.0の実現を通じて日本の経済成長を図ることが、経団連会長就任以来、一丁目一番地の政策課題である。「Society 5.0-ともに創造する未来」(2018年11月公表)では、Society 5.0の実現により薔薇色の未来が開けることを示したが、その実現のためにはデジタル技術の社会実装が不可欠である。今後は、デジタル化への対応を加速し、自社の強みとするため、さらに一歩進んだ議論が求められる。経団連は、データに関するルール・メイキングやガバナンスのあり方など具体的な課題の解決に取り組み、この面で世界をリードしていく。

【震災復興】

東日本大震災の発生から丸9年を迎えるが、被災地の復興は道半ばである。被災地を単に震災前の姿に戻すというのにとどまらず、この9年間の世の中の変化を正面から受け止めるような復興計画を立てる必要がある。

【エネルギー問題】

人類の存続、繁栄にエネルギーは不可欠であり、将来にわたりエネルギー源を確保していく必要がある。同時に、その器としての地球をどのように守っていくか、すなわち気候変動問題にどう対処していくかが大きな課題となっている。原子力はある意味で人類の知恵であると考える。原子力技術をいかに活用していくかについて改めて議論すべきである。

以上

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