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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2020年9月7日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【健康状態】

リンパ腫の再発が判明し、現在、入院して、試行錯誤で治療を進めている。体調は悪くなく元気であるが、コロナ禍の下、院内感染防止で、面会・外出を大幅に制限されている。

こうした状況の中、今後の会議や会見への出席等を予見するのは難しいが、主治医とよく相談し、適宜適切に判断していく。わが国経済を立て直す非常に重大な局面にあり、引き続き職責を果たしていきたい。

【新内閣への期待】

新政権が取り組むべき課題は明確であり、①新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対策、②経済再生とウィズコロナ・ポストコロナを見据えた新たな経済社会の構築、に注力していただきたい。

かねてより政府と経済界は車の両輪として連携してきた。新型コロナの影響が金融危機にまで発展しかねないという危機意識を共有している。引き続き、日本経済の再生に取り組んでいただきたい。

また、財政の健全化は非常に重要な課題であり、その点も踏まえながら、どのような施策が必要かよく議論する必要がある。

〔デジタル省・庁の設置についての所見を問われ〕行政のデジタル化は、従前よりその重要性を指摘してきたところである。どのような組織が意図されているのか承知しないが、多省庁にまたがる予算の一元的確保、システム仕様の統一などを推し進めていくことは必要である。

【安倍政権の評価】

約8年にわたる長期安定政権の中で、内政外交両面で大きな成果をあげられた。とりわけ、地球儀を俯瞰する外交を精力的に展開された結果、日本の国際的なプレゼンスが格段に向上した。世界で自国第一主義が広まる中、安倍総理がつくられた日本の新しいポジションを非常に高く評価している。

他方、持続的な経済成長の実現は道半ばであるが、これはコロナ禍の下にある世界共通の課題である。安倍政権はこれまで様々な課題に挑み成果を出してきたと思う。アベノミクス3本の矢の1つである成長戦略は、経済界が主体であり、企業活動が核である。経済の主役たる企業が、デジタルトランスフォーメーションやサプライ・チェーンの見直しといった活動を展開し、新たな産業を創造していかなければならないが、新型コロナの影響もあり、まだ充分ではない。アベノミクスはまだそこまで届いていないとの見方もできるが、それは安倍政権の施策がどうこうというよりも、経済界、企業の話だ。経済界が果たすべき責任は重いと認識している。

【衆議院解散・総選挙】

解散・総選挙は総理大臣の専権事項であり、政治判断に口を挟むものではない。医療体制の拡充や行政のデジタル化など早期に解決すべき課題は山積している。

【野党合流新党】

新党が、環境やエネルギーなどの政策で、具体的かつ明確な展望があるように感じられない。経済成長や格差解消についての党の考えが、実現可能な政策としていかに明示されるのか注視している。

【春季労使交渉】

日本経済が大きな構造改革を果たせず、新しい産業の振興にも結びつけられてこなかった中で、雇用を守るために長年にわたり賃金水準を抑制してきたと認識している。こうした反省を踏まえ、ここ数年、経営側は賃上げを基本スタンスとして労使交渉に臨んできた。

ただし、現状では、コロナ禍によって雇用維持に対するプレッシャーが大きくなっていることから、2021年の春季労使交渉において、従来型の相場観をもった賃金水準の議論は難しいのではないか。

【日本の対中政策】

日本と中国は一衣帯水の隣国であり、両国関係の長い歴史があり、文化・経済交流がある。昨今の中国の動きを覇権的なものと捉えて、中国を敵対視あるいは無視した経済活動を行うのは日本にとって自殺行為になりかねない。難しい問題も乗り越えながら、隣国とできるだけうまく付き合う姿勢が重要である。

【東京オリンピック・パラリンピック】

来年の東京オリンピック・パラリンピックは何としても開催してほしい、というのが正直な気持ちだが、世界各国で新型コロナの感染が止まらないなか、開催方法に知恵を絞り、準備を万端に整える必要がある。

以上

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