1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 定例記者会見における十倉会長発言要旨

会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2022年9月5
一般社団法人 日本経済団体連合会

【原子力政策】

〔岸田総理が、原発の新増設やリプレース、運転期間の延長を検討する考えを示したことについて問われ、〕高く評価したい。今後、原発の活用促進に向け、特に、安全性と放射性廃棄物について国民の理解を得ていくことが重要である。国が前面に立ち、国民・地域住民に、原発の安全性を分かりやすく説明しながら、次世代革新炉の開発・建設を推進する必要がある。また、放射性廃棄物に関しては、核燃料サイクル・最終処分の確立が不可欠である。

【為替】

足もとの急速な円安進行は、投機的な動きに起因する部分が大きいのではないか。先のジャクソンホール会議(8/26)で、パウエルFRB議長が米国の金融引き締め継続の必要性に言及したことを受け、日米の金利差拡大を意識した円売りドル買いの動きが続いている。こうした状況で、為替に関して中央銀行の金融政策に期待すべきではない。

他方、今般の円安は、海外へのエネルギー依存度や食料依存度の高さを日本国民に痛感させた。グリーントランスフォーメーション(GX)、農業の競争力強化などを通じて、中長期的にレジリエントな日本経済を構築する必要がある。

【内部留保】

〔2021年度の企業の内部留保が、初めて500兆円を超えたことについて問われ、〕内部留保は個々の企業にとってはプラスの側面もあり、それだけで良し悪しを言う話ではないが、相当額の現預金を企業が保有していることは否定できない。GX等を通じて日本企業による国内投資が活発化し、経済成長の果実が給与所得で還元されるという流れ、つまり成長と分配の好循環を実現することが肝要である。

【水際措置の緩和】

〔観光目的の訪日外国人の入国制限が緩和されることについて問われ、〕緩和の方向に動き出したことは率直に評価したいが、これで十分だとは思っていない。コロナ禍以前は、一日あたり約9万人(2019年)にのぼった訪日外客数の9割近くが観光目的であり、うち約8割が個人旅行であった。今回の対策の効果は、この実態を踏まえれば、限定的である。新型コロナの新規感染者数は、1週間前の7割に減っている。政府には、迅速に、次の緩和に向けた対策を講じてほしい。

【日中国交正常化50周年】

経済分野において、中国はグローバルサプライチェーンに組み込まれており、世界は中国なしでは立ち行かず、中国もまた、世界なしではやっていけない。日中の良好な関係は東アジアの安定、特に経済的な繁栄にとって大事である。

両国間には経済安全保障はじめ諸課題はあるものの、こういう時だからこそ双方でしっかりと話し合い、協力できるところは協力していく必要がある。岸田総理は、建設的・安定的な日中関係に向けて対話を重視するというスタンスで臨まれている。日中国交正常化50周年を、協力深化・交流拡大のモメンタムとしたい。

【安倍元総理の国葬】

各国トップが、国際社会のリーダーだった安倍元総理に敬意と弔意を示しており、国葬を営むという岸田総理のご判断は良かったのではないか。国葬の件は既に世界に発信されており、粛々と行うべきではないか。招待されれば私も謹んで出席したい。

【経団連モビリティ委員会】

Well-beingな社会を実現するためには、移動の自由が不可欠である。モビリティ委員会では、自動車はじめ広く「移動」に焦点を当て、経済社会の発展への貢献を議論する。幅広い業種から既に、200超の企業が本委員会への参加意欲を示しており、委員会をしっかり立ち上げる。

【その他】

一般論で言えば、信教の自由や政教分離は憲法で規定されており、宗教団体が政治活動を行うことも保障されている。世を今、騒がせている事案は、社会的に問題があると疑われる団体と政治との関り方をめぐる話ではないか。そういった団体と政治との関係はしっかり点検・調査すべきである。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら