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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 中国地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2024年2月21
一般社団法人 日本経済団体連合会

【カーボンニュートラル】

〔カーボンニュートラル実現に向けた、工業県である山口県の取り組みについて問われ、〕中国地域のGDPは日本全体の約5%である一方、温室効果ガスの排出量は11%強である。特に、山口県は、3つの主要なコンビナートがあり、化学、セメント等の産業が集積している。これまでは石油等を活用して経済効率性を追求してきたが、これをカーボンニュートラルにすることが求められている。そのためには、革新的な技術開発と社会実装が不可欠となる。一気にカーボンニュートラルとはならないので、トランジション技術を実装していきながら、水素を活用するCCU(二酸化炭素の分離回収と有効利用)、セメントでの二酸化炭素のリサイクルといった、革新的な技術の開発を是非とも山口県に先頭に立って実現させていってもらいたい。大いに楽しみにしている。

【観光】

〔山口県の魅力や観光需要創出について問われ、〕大阪・広島と九州との間に位置する山口県は、美しい自然や豊かな食といった豊富な観光資源を有しており、非常に魅力溢れる地域である。山口市は、米ニューヨーク・タイムズ紙が選出した、旅行先として「2024年に行くべき52カ所」の3番目に位置する。コロナ前と比較して、中国地域にインバウンドが十分に戻っていない状況ではあるが、2025年の大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭を好機として、魅力を積極的に発信していくことが重要である。

【賃金引上げ】

〔地方における中小企業の賃金引上げについて問われ、〕コストプッシュ型であるとはいえ、長引くデフレを断ち切って物価が上がり始めたこの機を逃してはならない。政府・日銀の目指すデマンドプル型の適度な物価上昇と労働生産性の向上をもって、「賃金と物価の好循環」の実現、すなわち「デフレからの完全脱却」を成し遂げたい。

経団連は昨年以上の成果を出すべく、今年の春季労使交渉における賃金引上げを働きかけている。その鍵は、地方経済の重要な担い手である中小企業が握っている。中小企業の構造的な賃金引上げの実現に向けて、労務費を含む適切な価格転嫁の実行が重要との認識を社会全体に浸透させ、「よい製品・よいサービスには相応の値が付く」ことを社会通念にしていく必要があり、官民双方で取り組みを進めている。経団連会員企業のうち約53%が「パートナーシップ構築宣言」に参画しており、(東証に上場している経団連会員企業の)時価総額ベースでは9割超が宣言している。政府も、内閣官房と公正取引委員会が「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表(2023年11月29日)している。一朝一夕でできるものではないが、経団連は粘り強く取り組みを継続していく。ものづくりに携わる中小企業の多い山口県の動向も引き続き注視したい。

【人手不足】

〔地方における人手不足の課題について問われ、〕人手不足の解消に向けて、円滑な労働移動の推進による生産性の向上が重要である。そのためには、リスキリングを含むリカレント教育の強化などを通じた、「労働移動推進型」セーフティーネットへの移行・整備が必要である。

テレワークを活用し、東京の人材に移住することなく地方企業で働いてもらうといった方法もあるが、東京一極集中の是正も視野に入れるならば、地方での魅力的な産業の創出が重要である。少子高齢化にも関わる重要な問題であり、しっかり議論していく必要がある。

以上

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