1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 定例記者会見における十倉会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2024年5月7
一般社団法人 日本経済団体連合会

【企業行動憲章の改定】

経団連は、サプライチェーン全体での共存共栄関係の構築が、社会全体としての構造的な賃金引上げを通じたデフレ脱却、さらにはサステイナブルな資本主義の実現に不可欠であることから、会員企業に「パートナーシップ構築宣言」への賛同を呼びかけている。

取り組みの結果、資本金100億円以上の会員企業の約86%が宣言済であるなど宣言社数は増加しているものの、会員企業全体で見ると、宣言率は4月12日時点で56.7%(883社)にとどまっている。そこで、取引の適正化をソーシャルノルム(社会的規範)として一層推進していくため、経団連の行動原則であり、全会員企業・団体が遵守を求められている「企業行動憲章」を7年ぶりに改定することとした。今月31日の定時総会をもって、企業行動憲章の第2条ならびに同憲章の参考資料「実行の手引き」を一部改定する。具体的には、第2条の条文において、「パートナーシップ構築宣言に基づき、サプライチェーン全体の共存共栄を図る」と明記し、会員企業の行動規範にしていくことを目指す。

経団連は、会員企業に対して、改定した憲章の周知徹底に努めるとともに、憲章の精神の実践を引き続き、広く企業社会に呼びかけていく。

〔企業行動憲章「実行の手引き」において、労務費の価格転嫁に言及した理由を問われ、〕労務費を含めた適切な価格転嫁により中小企業にも賃金引上げのモメンタムを波及させ、賃金と物価の好循環、ひいては「デフレからの完全脱却」を果たしたいという思いからである。原材料費やエネルギー価格の上昇分の価格転嫁は進んでいるものの、依然として労務費の価格転嫁に否定的な見方もある。デフレ下の慣習やデフレマインドから脱却し、価格転嫁を当たり前のことにしていきたい。

〔会員企業が企業行動憲章に違反した場合の経団連の対応について問われ、〕事あるごとに企業行動憲章の遵守を呼びかけているが、万一憲章の精神や掲げる原則に反する行いがあった場合は、自主的に報告してもらうとともに、適切な対応を行ってもらう。経団連での活動等については個々の判断となっている。

【為替】

円安傾向にある現在の為替相場が日本経済に与える影響や、政府・日銀が為替介入を行ったとの観測について問われ、〕短期的に見れば、円安により製造業や観光業が潤うという面もあるが、コストプッシュ型のインフレが長引くという副作用が懸念される。為替は当該国の国力を測る一つの指標であり、経済のファンダメンタルズを反映するものであるという考え方に立てば、1ドル150円を超える現在の為替水準は円安過ぎるだろう。本来は、日本経済を強くすることで、円が正しく評価されるのが理想である。

政府・日銀が二度にわたって為替介入を行ったとの推測が世にあることは承知しているが、その正否については知る由もない。介入があったとあえて仮定するならば、効果的な良いタイミングだったのではないかと思うが、政府がノーコメントとされているので、私からのコメントも省かせていただく。

〔円安傾向を是正するための今後の為替介入の必要性について問われ、〕日米金利差がある以上、円ドル相場は今後も、短期的な投機マネーの動きに影響されることを回避しづらいのではないか。行き過ぎた動きを是正するための為替介入はあり得ると考える。

【政治とカネ】

〔衆議院の3補欠選挙での自民党の敗因を問われ、〕岸田首相が言及されているとおり、政治資金をめぐる問題も背景にあり、結果を真摯に重く受け止めるべきである。課題解決に臨む自民党の姿勢や具体的な対応を国民が厳しく見ていることの証左であろう。

〔政治とカネの問題に関して国民が重視している点は何かと問われ、〕重要なことは透明性と実効性の確保であり、政治の真摯な議論を国民は望んでいるのであろう。与野党で引き続き協議を重ねてほしい。

〔政治資金規正法の改正に当たって複数の政党が企業・団体献金の廃止を訴えていることの受け止めを問われ、〕いずれの国であっても、民主政治を適切に維持していくためには相応のコストがかかる。そのコストをどのような仕組みで賄うべきかという本質的な議論を国会で十分に行っていただきたい。

【バイデン大統領発言】

〔バイデン米大統領が「日本は外国人嫌い」と発言したことの受け止めを問われ、〕日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言であり、残念だ。日本は決して外国人嫌いではない。現に日本は多くの外国人観光客を受け入れ、また300万人近くもの外国人が日本に住み、日本人と共生している。

少子高齢化が加速し、中長期的な生産年齢人口の減少が見込まれる中、一定の専門性・技能を有する人材を戦略的に誘致する必要がある。経団連は新設する外国人政策委員会(仮称)において、受入環境の整備等の課題について、幅広く検討していく。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら