一般社団法人 日本経済団体連合会
【北海道経済】
〔北海道経済の現状や課題、今後の展望について問われ、〕北海道経済は、設備投資の堅調さや個人消費の改善により、持ち直しの基調が継続していると認識している。その背景には、半導体やデータセンター関連の投資や、この間のインバウンド需要の拡大等が挙げられる。
一方で、北海道の最大の輸出先である米国との間で関税交渉が決着したものの、短期的には相互関税の適用に伴う企業活動や北海道経済への影響は否めず、その動向を注視していく必要がある。
経団連としては、北海道はじめ全国の企業の問題意識も踏まえながら、政府に対して適切な働きかけを行っていきたい。
【自民党・高市新総裁への期待】
〔高市新総裁への期待や今後望まれる政策について問われ、〕高市氏の自民党新総裁への就任を歓迎する。高市氏は総務大臣、経済安全保障担当大臣、自民党政調会長といった要職を歴任されており、経済・外交をはじめ幅広い政策に精通された政治家である。自民党の再出発、信頼回復、重要政策の遂行に向けて、その手腕の発揮に期待している。
経団連の目指す「科学技術立国」「貿易・投資立国」という大きな方向性の下、国内投資の拡大やイノベーションの創出に向けた取組みを期待する。特に、北海道では、半導体や、グリーントランスフォーメーション(GX)といった先端技術の投資拡大が象徴的であり、日本経済をけん引していると捉えている。こうした北海道の成長の姿は、高市氏がこれまで発信されてきた取組みの方針にも、合致すると認識しており、今後後押しがなされるものと期待している。
経団連の目指す「科学技術立国」「貿易・投資立国」という大きな方向性の下、国内投資の拡大やイノベーションの創出に向けた取組みを期待する。特に、北海道では、半導体や、グリーントランスフォーメーション(GX)といった先端技術の投資拡大が象徴的であり、日本経済をけん引していると捉えている。こうした北海道の成長の姿は、高市氏がこれまで発信されてきた取組みの方針にも、合致すると認識しており、今後後押しがなされるものと期待している。
【自・公連立政権】
〔自民党、公明党間の連立協議の状況に対する受け止めと、政治の安定に向けた期待を問われ、〕足もとの細かい政治の動きまでは分かりかねるが、経団連としては、自民党・公明党を中心に、重要政策を迅速かつ着実に推進できる安定した政治の態勢の確立が必要との観点から、政策ごとの部分連合よりも連立の拡大を模索していただきたいと考えている。自民党・公明党の連立基盤が不安定な段階に入っていることについては、しっかり注視していくことに尽きるが、両党の連立は安定政権の基盤であると考えている。
【半導体産業の活性化、原子力発電所の再稼働】
〔北海道における半導体産業の活性化や原子力発電所の再稼働に向けた期待を問われ、〕半導体は、経済安全保障と産業競争力強化の観点から戦略物資そのものである。「北海道バレー構想」は、北海道に限らず、日本の成長戦略の重要な柱になり得るとの大きな期待を有している。今後、半導体やデータセンターの立地・集積に伴う電力需要の急激な増加に対応するため、原子力の最大限の活用は、安全の確保と地元の理解を大前提として、安価・安定供給、脱炭素化、産業競争力の強化といった複数の観点から、極めて重要である。
〔高市新総裁の下でのエネルギー政策に対する期待を問われ、〕エネルギー政策については、長期的な視点から、原子力発電所の再稼働の先の新増設の具体化、次世代革新炉の開発加速と実装、核融合炉の早期発電実証も不可欠である。こうした政策について、高市氏は、総裁選の公約に掲げていたと理解しており、経団連のエネルギー政策に関する方向性と軌を一にしていると認識している。
〔半導体産業関連企業の北海道内への誘致促進に向けて、北海道や経済団体に求められる取組みを問われ、〕政府レベルでは、北海道の半導体関連投資に関する計画があり、投資の予見可能性向上に努められていると認識している。一方で、政府が資源投下を行っても、実際の投資の担い手は民間であり、民間が自主的に判断を行う上で、さらに予見可能性を高める施策を講じることが必要である。このため、現場の企業の声を踏まえて、所要の施策が実行されるように、行政に対して働きかけを行っていくことが必要である。
【為替の動向】
〔足元の急激な円安が日本経済に与える影響と今後の見通しについて問われ、〕私は、株価、金利、為替といった相場の動きを単独ではなく、それぞれのベクトルと関連性を重視している。現在の相場は、総裁選直後ということもあり、これまでの公約等を踏まえたマーケットの反応と新総裁に対する期待感もあって形成されていると認識している。こうした動きは、一時的である可能性もあり、トレンドを見極めるには時期尚早と考えており、今後の政治の動きや政策の打出しを慎重に見極めるべきではないか。なお、物価については、足もとで消費者物価上昇率が3%前後で推移しているが、これまでは、年内にはある程度落ち着くとの見解が大勢を占めていたと認識している。しかしながら、為替の動向次第では、予断は許されないという見方を有している。
〔現在の円安は「悪い円安」なのか、また「悪い円安」を避けるために必要な政策や政府が打ち出すべきメッセージを問われ、〕現時点において、「悪い円安」であるか否かの見極めは時期尚早であり、トレンドを見極める段階にはない。あくまで仮定の話として、「悪い円安」となるのであれば、それはマーケットの反応である可能性があり、マーケットの疑念を払拭するような発信が求められる。「経済あっての財政」との考え方の下、財政運営は戦略的でなければならないという観点を踏まえることが重要である一方で、中長期的な財政健全化のビジョンをしっかりと示しながら、戦略的な財政運営と財政健全化双方のバランスを確保した発信が必要であろう。
【サイバーセキュリティ】
〔アサヒグループホールディングスに対するサイバー攻撃を受けて、日本企業のサイバーセキュリティ対策が狙われていると指摘される現状に関する受け止めと、今後の企業・経済界によるセキュリティ対策の必要性を問われ、〕個社の事案についてはコメントを控える。一般論として、サイバーセキュリティ対策は経営の最優先事項の1つになっていると認識している。私は、サイバーセキュリティ対策は、賃金引上げと同様に、コストではなく投資として捉えるべき局面に来ていると考えている。現状でも、企業は高水準の対策を行っているが、100%の安全を確保することはできず、企業単独で解決できる問題ではない。仮に個社がサイバー攻撃を受ければ、サプライチェーン全体に影響が及ぶため、企業同士の連携に加え、官民の緊密な連携が極めて重要である。経団連は「サイバーセキュリティ経営宣言」を発出し、会員企業にサイバーセキュリティの強化を呼びかけるとともに、官民連携の強化を進めている。能動的サイバー防御法の施行も見据え、国家サイバー統括室や経済産業省といった関係省庁と意見交換を行いながら、経済界全体のサイバーセキュリティの底上げに努めていく考えである。
〔個社の事案がビール業界全体の出荷制限に影響が及んでいる現状について問われ、〕ご指摘の通り、業界内や、取引先である中小企業等とのつながりに対しても影響が波及するという事実を見過ごしてはならない。このため、サプライチェーン全体、あるいはデマンドチェーンも含めた全体で、サイバーセキュリティを底上げしていくことが極めて重要である。その際、官民連携に加え、業界あるいはサプライチェーン全体におけるサイバーセキュリティの強化という観点も踏まえて取り組んでいくことが必要である。