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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 四国地域経済懇談会後の共同記者会見における筒井会長発言要旨

2025年12月3
一般社団法人 日本経済団体連合会

【四国地域経済懇談会の総括】

〔本日の懇談会の意義や意見交換を通じた発見を問われ、〕懇談会での基本テーマとして、「共創」と「広域連携」が掲げられ、地域産業の持続的な成長・発展と人口減少問題への対応、交流人口拡大やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、そして災害にも強い高規格交通インフラの整備等、多岐にわたるテーマについて課題認識と解決の方策に関する意見交換を行った。

懇談会を通じて、経団連、四国経済連合会の双方から、思いを同じくするそれぞれの取組みについて期待が表明されるとともに、経団連側から参考になると思われる取組みを紹介した。特に、人口減少についての危機意識を共有できたこと、加えて、危機意識を持ちつつも前向きに未来を切り拓いていく挑戦に対する意欲を感じることができたことが非常に大きな収穫であった。

【四国経済】

〔高市政権の経済政策が愛媛県をはじめとした地方経済に与える影響、そしてガソリン税の暫定税率の廃止等の地方税の財源に関わる動きがあることへの受け止めを問われ、〕高市政権は、「地域未来戦略」を掲げており、これまでの地方創生に関する様々な施策に基づき、地域への支援を強化していくという方向性を打ち出していると認識している。

その上で、地方経済に影響を与える政策について大きく3点言及したい。

1点目は、今回の総合経済対策に盛り込まれた各種の交付金措置である。2点目は、「危機管理投資」「成長投資」であり、中長期的に愛媛県をはじめとした四国地域経済に与える効果に期待している。3点目は、ガソリン税の暫定税率廃止等の物価高対策であり、地域経済への好影響を期待できる。もちろん、暫定税率廃止等は地方の財源に関わるが、今後国と地方の間で具体的な方策について検討が進められるものと認識している。

〔四国経済に対する期待を問われ、〕四国地域の景気は、堅調な設備投資と個人消費の増加等により、緩やかに持ち直していると認識している。この背景には、造船やデータセンター向けの需要に対応した設備増強に加えて、大阪・関西万博、瀬戸内国際芸術祭を契機としたインバウンドの活発化等の様々な要因が挙げられる。各地域の個性を活かした多様な取組みの展開による地域経済の活性化に期待している。

高市政権は、「強い経済」の実現に向けて、官民連携の下での戦略的投資を打ち出しており、中長期の時間軸で様々な効果を期待できる。こうした流れを活かし、四国地域での産業立地の可能性を模索していくことが重要であろう。また、観光については非常に魅力のある観光資源が豊かに存在していると理解しており、「四国の観光ビジョン」に基づき、広域での観光振興に取り組まれることを期待している。

【地域別最低賃金と中小企業の賃金引上げ】

〔愛媛県の地域別最低賃金が1,000円台に引き上げられた中、地方における企業への影響と都市部で進む賃金引上げの流れを今後どのように地方の中小企業にも波及させるのかについて問われ、〕地域別最低賃金をできるだけ早く引き上げていく必要性は重々認識している。一方で、地域別最低賃金は法的強制力をもって全企業に適用されることから、引上げ幅とスピード感についてバランスを図りながら、地方経済への影響を十分に考慮することが不可欠である。

地域別最低賃金の引上げは中小企業に大きな影響を与える可能性があると認識している。このため、中小企業自身の生産性向上への取組みはもちろんのこと、国・地方自治体等による適切な支援、そして「適正な価格転嫁と販売価格アップの受入れ」を社会的規範として浸透させることが重要である。これらの取組みを通じて、中小企業においてもしっかりと原資を確保し、賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」を図ることができるよう、経団連としても取り組んでいく。

【四国新幹線】

〔四国新幹線の整備に向けて約45万人の署名が集まり機運が高まる中、四国新幹線の早期実現に対する所感を問われ、〕署名運動を含め、官民が一体となって四国新幹線の実現に向けて活動を展開されていると認識している。実現すれば、経済、ビジネス、そして観光面等のあらゆる面で交流人口の拡大が見込まれる。併せて、地域防災力の向上等にも資すると期待している。

四国新幹線について、隣接地域である関西や中国地方等とも連携して、各方面への働きかけと機運の醸成に努めていくことが重要である。同時に、四国新幹線が四国地域にとってどのような意義があるのかを十分に説明するとともに、計画の妥当性、客観性、合理性を丁寧に説明し、各方面の理解を得ることが不可欠である。

〔四国経済連合会から経団連への協力要請について、経団連としてどのようなコミットができるのかを問われ、〕経団連として、協力できるものは協力していきたいと考えている。

【旧姓使用の法制化・選択的夫婦別姓】

〔旧姓使用の法制化に向けて来年の通常国会に関連法案を提出予定との報道がなされていることへの受け止めと問題点について問われ、〕女性の活躍推進に向けて、改姓による負担、不便、そして不利益の解消に向けた検討と受け止めており、その点については評価したい。これは自民党と日本維新の会の連立政権合意書を踏まえたものであり、女性の活躍推進に向けた動きと認識しているが、中身はまだよく分からないため、これ以上のコメントは難しい。経団連はかねてより選択的夫婦別姓の導入を提起している。これについても、今後の議論の動向をしっかりと見ていきたい。

〔経団連として選択的夫婦別姓を求める考えに変わりはないかについて問われ、〕選択的夫婦別姓についての考えは変わらない。

【日中関係】

〔中国外交部報道官が、高市総理の国会答弁を背景として、来年1月予定の日中経協訪中団に関連して「正常な交流のために必要な条件を整えるよう日本側に促す」と発言したことへの見解に加えて、同訪中団派遣の見通しや政府等への要請予定について問われ、〕訪中団は、歴史的にも非常に意義のあるものと捉えている。コロナ禍を除き一度も中断せず、日中関係が難しい局面にあっても派遣は継続されてきた。あらゆるレベルにおける幅広い分野で対話を継続していくことが重要であり、経済界による交流の意義は一層高まっていると考えている。したがって、来年1月の訪中団派遣も予定通り実施されることを強く期待している。日本政府も同じ考え方と理解している。かねてから会見等で申しあげている通り、政府に対しては、戦略的互恵関係の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性の下、引き続き中国政府と対話を通じた意思疎通を図っていくことを期待している。

以上

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