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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 経済三団体共催2026年新年祝賀パーティー後の共同会見における筒井会長発言要旨

2026年1月6
一般社団法人 日本経済団体連合会

【2026年の日本経済の展望】

〔2026年の日本経済の展望と、成長投資による「強い経済」の実現に向けた意気込みを問われ、〕2026年の日本経済は、緩やかな上昇軌道を辿るとみている。設備投資や企業収益は総じて堅調に推移しており、今後物価上昇が一定程度落ち着けば個人消費も景気を下支えすると考えられる。

こうした中、短期的な金融市場の動向に一喜一憂することなく、中長期的な視点を持つことが重要である。本年は緩やかな上昇軌道を辿るとは言え、わが国の潜在成長率は0.6%程度にとどまる。日本経済の基盤を強化し、潜在成長力を引き上げる取組みを加速させる年としなければならない。そのために枢要となるのは、国内投資であり、企業が先導役を果たすことが求められる。「投資牽引型経済」の確立に向けて、企業には、従来の「コストカット型」「雇用維持型」から、設備投資、研究開発投資、そして「人への投資」を重視する「投資牽引型」のマインドセットへの転換を図ることが求められる。

デフレからの真の脱却を図り、「投資牽引型経済」への道筋をつけるべく、本年は、絶え間ないイノベーションの創出を通じた「科学技術立国」の実現、税・財政・社会保障の一体改革の推進を含む7つの主要政策分野に焦点を当てて、自律的なスピード感を大切にしながら取り組んでいく。高市政権が多角的な成長投資に踏み出そうとする中、私としても経済財政諮問会議や日本成長戦略会議といった政府主要会合での意見発信に努め、官民連携をさらに強固なものとしたい。本年も、昨年5月の就任時に掲げた「中長期の視点」「日本全体の視点」を大切にしながら、企業がフロントランナーとなって、将来世代への責任を果たしていく所存である。

【2026年の世界経済の展望】

〔2026年の世界経済の展望や、日米・日中関係、地政学的リスクへの見解を問われ、〕2026年の世界経済は、先行きに対する不確実性や不透明性に直面する中で、3%程度の成長が見込まれる。地政学的リスクや気候変動に伴う自然災害リスクは、1つ1つが巨大化、頻発化しており、さらに相互に連鎖している。こうした中で、不確実性や不透明性は、異常事態ではなく、常態化していると考えるのが適当であろう。

世界経済の先行きに関して、4点を注視したい。

1点目は、米国の金融政策に伴う金利の動きである。トランプ政権のスタンスとあいまって、米国の連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にどのような影響を与えるのかを注目している。

2点目は、AI関連投資の動向である。これまで同投資は非常に盛り上がってきたが、今後さらに増加を続けるのか、それとも調整局面を迎えるのかを巡って最近金融市場は敏感になっていると捉えている。

3点目は、ウクライナやベネズエラ情勢等の地政学的リスクである。

4点目は、中国経済の動向であり、デフレ下で、過剰生産、個人消費の伸び悩みという構造問題に直面していることが挙げられる。

以上4点に加えて、社会的な分断とその根幹にある格差も一定程度与件として考えなければならない。その解消ないしは改善に向けた日本としての貢献のあり方を見出していくことも重要であろう。

日米関係は、日本にとって最も重要な二国間関係である。本年は米国で中間選挙が実施される予定であり、「アメリカ・ファースト」の傾向が一層強まることが予想される。これを踏まえた、二国間関係の構築はもちろんのこと、日米両首脳の信頼関係の醸成が肝要である。これを通じて、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)への米国の継続的な関与を求めることが重要である。

日中関係について、訪中団が延期となったことは残念であるが、あらゆる分野・レベルでの意思疎通の継続が重要である。こうした認識の下、経済界としても、対話の機会を模索していきたい。企業は常に冷静に状況を把握し、対応していくことが重要である。

また、自由で開かれた国際秩序の維持・強化という観点からも、食料、エネルギー、資源が豊富で、高い潜在成長力を有するグローバルサウスとの連携強化が重要である。その際、昨年12月に「グローバルサウスとの連携強化に向けて」で提言した通り、グローバルサウス各国の社会課題解決に貢献していく上で、日本の有するソフトパワーが大きな役割を果たす。わが国が長年培ってきたソフトパワーにさらに磨きをかけて、グローバルサウスとの連携強化に取り組むことが一層重要な年となるだろう。

【ベネズエラ情勢】

〔米国によるベネズエラ攻撃が日本経済に与える影響や、企業のリスク対応について問われ、〕今般の米国の軍事介入については、国際法の原則に照らし問題がないか検証が必要である。併せて、他地域への拡大を防ぐための日本を含めた関係各国の外交努力が不可欠である。

日本とベネズエラの二国間の貿易規模を踏まえれば、今回の事案に伴う日本経済への直接的な影響は限定的とみられる。一方で、現地には約200名の邦人がいると認識しており、政府には邦人保護に万全を期していただきたい。

【2026年春季労使交渉・協議】

〔2026年春季労使交渉・協議における賃金引上げの取組み方針と意義について問われ、〕「投資牽引型経済」への転換には、賃金引上げを含む「人への投資」が不可欠であることを強調したい。こうした認識の下、本年は、賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」を掲げて取り組んでいきたい。具体的にはベースアップを賃金交渉のスタンダードに位置付けるということである。複数年度にわたってベースアップが継続すれば、賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」は一層深まることとなる。こうした思いを、間もなく公表予定の「2026年版経労委報告」に取りまとめ、積極的に呼びかけていきたい。

今後、物価上昇が一定程度落ち着くと予測される中で、実質賃金がプラスに転じることを大いに期待している。一方で、適正な価格転嫁が浸透すれば、一定程度の物価上昇が見込まれる。引き続き、政府・日銀が2%程度の物価安定目標を掲げる中で、「賃金と物価の好循環」を確立するためには、適度な物価上昇を受容する消費者意識の醸成が重要となる。企業、政府双方の取組みが求められる。

以上

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