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Policy(提言・報告書) 国際協力 戦略的なインフラ・システムの海外展開に向けて ~主要国別関心分野ならびに課題~

2013年11月19日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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現在、政府はインフラ・システムの海外展開を成長戦略の柱に位置付け、総理自らが先頭に立ち、官民一体のトップセールスをはじめ、各種政策の推進に精力的に取組んでいることを経済界は歓迎するとともに、高く評価している。これらの取組みを前進させ、わが国企業の事業活動が相手国の経済発展に貢献することで、わが国経済の成長に結びつけていくためには、対象地域と分野を絞り、限られた公的資源を戦略的に配分することが肝要である。インフラ・システム輸出においては、国際標準化戦略を念頭に、技術移転や人づくりを通じて、わが国の技術標準をはじめ各種スタンダードを戦略的に現地で定着させ、わが国企業の競争力の強化につなげていくことも大切である。

グローバル時代にあって、わが国経済界は、全世界を相手にインフラ・システムの海外展開のための戦略を練っているところであるが、特に以下の地域・国への関心が高い。

  1. (1)成長のエンジンであるアジアのメコン、インドネシア・フィリピン等のBIMP(島嶼地域)、インド、中国等
  2. (2)再生可能エネルギーに対する需要や復興需要があり、産業の多角化・高度化を目指している中東の産油・産ガス国やトルコ
  3. (3)中間所得層が台頭し、市場規模の大きい中南米のブラジル、メキシコ、コロンビア等
  4. (4)日本企業が進出している主要国をはじめ、TICAD Vの際の経団連提言で示したアフリカの14カ国#1を中心とする地域・国

#1 南部アフリカ(アンゴラ、ボツワナ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ザンビア、ジンバブエ)、東アフリカ(エチオピア、ケニア、南スーダン、タンザニア、ウガンダ)、西アフリカ(ガーナ、ナイジェリア)

わが国企業がこれらの地域・国のインフラ市場に参入し、受注を成功裡に進めていくためには、企業自らが企業間の戦略的提携を進め、競争力の向上に努めなければならない。併せて、わが国政府ならびに関係機関には、これらの地域・国でわが国企業の直面する課題の解決に主体的に取組み、企業活動を後押しすることが求められる。特に、官民一体のトップセールスの推進にあたっては、受注が確定するまで、手綱を緩めることなく、あらゆる可能性を想定して、支援策を講じることが必要である。具体的には、円借款にて建設予定のインフラの事業権を優先的に日本企業が受注できるスキーム(落札先行方式)、及び、円借款とパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)を組み合わせる際に日本企業に過大な負担がかからないスキームの検討を求める。

インフラ案件を進めるにあたっては、プロジェクトに対する相手国政府首脳の十分な理解を得て受注につなげることが重要であるため、例えば、本年12月に開催される日・ASEAN特別首脳会議などの機会を捉えてわが国官民首脳によるトップセールスを展開することが有効であろう。また、その際、ODAの迅速な執行、国際協力銀行(JBIC)の現地通貨建てファイナンスの拡大や保証機能の強化による民間資金の活用、わが国企業の現地事業活動への柔軟な貿易保険(NEXI)の付保(テロや戦争対応を含む)が求められる。

ODA案件の獲得ならびに実施については、JICA現地事務所による関与とフォローアップが重要であり、その体制ならびに機能の強化・拡充が必要である。さらに、インフラ・システムの海外展開の対象国の国全体のマスタープラン作成に関与し、当該国にとって適切なエネルギー・ミックスを踏まえて、わが国の技術を活用する案件を形成していくべきである。その中で、優先度の高い案件については、マスタープランの段階から並行してフィージビリティ・スタディ(F/S)を実施し、必要な場合はJICA海外投融資案件の形成を行うなど、構想から着手までの迅速化を図る工夫が必要である。また、インフラ輸出のみならず、資源の輸入やインフラ事業への経営参画など、パッケージで取り組むことを念頭に進めるべきである。

なお、インフラ・システムの海外展開の規模は、投入する資源の大きさに制約されることから、ODA予算の着実な拡充を行い、円借款、JICA海外投融資といった有償資金を円滑に供与していくことが重要である。JICA海外投融資の融資に関しては、現地通貨建て融資、米ドル建て融資、また、プロジェクト自体のリスクを取るノン・リコース・ローンの実現を求める。

本提言では、日本企業の関心地域と国を列挙し、インフラ・システムの海外展開を進める上で、求められる施策を下記にまとめた。内外の関係政府には、格段の配慮を求める。

I アジア地域

1.ベトナム

(1)関心分野

高速鉄道、高速道路、橋梁、空港、工業団地、原子力発電、電力、通関システム、環境・リサイクル(廃棄物処理)、医療、上下水道、ICT サービス、電子政府、防災対策(洪水、地震・津波、地滑り等)、早期警報システム、気候変動への対応(衛星)、金融システムならびに金融マーケットの育成、等

(2)わが国の課題

  1. インフラ案件実施の円滑化を図るための日越共同イニシアティブの推進
  2. JICA海外投融資の柔軟な活用
  3. 運賃・料金収入では採算の取れない分野での無償資金協力によるバイアビリティ・ギャップ・ファンディング(VGF)の導入

(3)相手国の課題

  1. 原子力発電事業実施にあたっての法制度整備、フレームワークの策定
  2. 基礎インフラ整備に関し、ベトナムの自治体レベルの借り入れに対する国の保証
  3. PPP法制の改定

2.ミャンマー

(1)関心分野

最優先の電力、鉄道、道路、空港・港湾、橋梁、上下水道、通信、灌漑、ゴミ処理、工業団地・経済特区の整備(ティラワ)、資源開発ならびにそれに関連する積出港の整備とアクセス改善、ガスパイプライン、衛星及び衛星データを活用した防災及び災害管理、電子政府、金融IT システム、自動車管理システム、資本市場整備、人材育成、等

(2)わが国の課題

  1. ミャンマー側にとって魅力的な資金スキームの提示。例えば、譲許性が高く、かつ、わが国の技術移転に資するLDC向け特別借款の活用、JBIC現地通貨建てファイナンスや商業ローンの導入等
  2. 無償資金協力の活用による重要・優先案件の迅速化(例えば、発電所、道路の整備、衛星地上局及び運用・解析技術支援など)、無償資金枠の拡大と一件あたりの無償資金供与額の拡大、無償資金協力によるVGFの実現
  3. JICA海外投融資の活用、低利円借款の活用(送電等の基幹インフラ整備)
  4. 法制度整備の支援、ならびに、円借款や無償資金協力の手続きの迅速化のための技術協力の充実
  5. JICA事務所の密接な関与
  6. 進出する日系企業の生産活動の担い手となる産業人材(技術者、中間管理職)の確保及び、ミャンマー政府の行政執行能力の向上に資する人材育成の支援(含むミャンマー政府への人材派遣の拡大)
  7. トップセールスの継続ならびに、不調に終わった案件について大使館、JICAによる現地フォローアップ体制の強化
  8. 日ミャンマー共同イニシアティブの推進

(3)相手国の課題

  1. 経済特区法、会社法の整備、送金規制の撤廃等、抜本的なビジネス環境整備
  2. 建設業への輸入ライセンスの交付
  3. 設計、機材・資材・役務調達、建設、オペレーションまで、パッケージで単一のコントラクターが受注できる制度の確立
  4. 以上の円滑実施のための日ミャンマー共同イニシアティブの推進
  5. PPP関連法制の整備
  6. ガス・マスター・プラン整備

3.インドネシア

(1)関心分野

ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)優先事業(特にタンジュンプリオク港およびチラマヤ港の整備の加速化、ジャカルタ上下水道整備をはじめとする主要ODA 案件)、ODA と連携したPPP スキームや二国間クレジット制度を活用した案件の形成・実施、無償資金協力を活用した国内衛星(温室効果ガスセンサ:TANSO)データを利用する衛星地上局及び運用解析技術支援、電子政府、南スマトラ州、パプア州におけるインフラ整備、等

(2)わが国の課題

  1. STEP(本邦技術活用条件)の供与
  2. 無償資金枠の拡大とその対象案件の柔軟な選定
  3. プロジェクトファイナンス等、民間融資に対する政府保証の付与
  4. 円借款のL/A締結後の入札評価の支援と監視、土地収用の迅速化、現地側負担事業の実施促進を強力に支援するためのJICA現地事務所機能の一層の強化
  5. 現地通貨建てのJICA海外投融資の実施
  6. 日インドネシア経済合同フォーラムでのフォローアップ体制の継続
  7. わが国から輸出する製品やシステムの保守・運営のための技術協力の推進

(3)相手国の課題

  1. PPPの推進のための諸制度の整備(プロジェクトを提案し、マスタープランの作成に携わった民間企業が、優先的に事業権を得られる制度の確立)
  2. 過度なローカル・コンテンツ要求の改善
  3. 入札制度の改善(価格のみならず、品質やライフサイクル・コストを正当に評価する入札制度の導入、入札不調による着工遅延を避けるため、最終選考に残った企業が1社であっても、第1段階で複数の企業が応札していれば入札を成立させる等)
  4. PPP法制を運用する人材の不足(特に地方自治体レベル)

4.インド

(1)関心分野

インド南部中核拠点開発構想、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)、電力(超臨界石炭火力発電、原子力)、道路、鉄道、都市・住宅、工業団地の整備、港湾(チェンナイ港、ムンバイ外港の拡張)、等

(2)わが国の課題

  1. 関係州政府との定期的な政策対話の実施
  2. 高速鉄道、都市交通、環境・低炭素等でのSTEPの供与
  3. 原子力協定の締結
  4. 入札制度の整備について、JICAによる技術協力、パイロットプロジェクトの実施

(3)相手国の課題

  1. 入札制度の改善(価格のみならず、品質やライフサイクル・コストを正当に評価する入札制度の導入)
  2. 民間金融機関の参入規制の緩和

5.その他アジア諸国

(1)関心分野

タイ、マレーシア、フィリピン等のアジア諸国におけるPPP 法制、投資関連法規の整備、タイの洪水対応、都市鉄道、中国の環境・農業分野、アジア域内送電線グリッド網整備、河川物流、等

(2)わが国の課題

  1. JICA海外投融資の機動的かつ柔軟な供与と現地通貨建て海外投融資の実施
  2. 中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与
  3. 運賃・料金収入では採算の取れない分野での無償資金協力によるVGFの導入
  4. 第三国協力の推進(タイと共同でのミャンマー(ダウェイ)の開発等)
  5. 中国への技術協力の推進

(3)相手国の課題

  1. PPP法制、投資関連法規の整備
  2. PPP法制を運用する人材の不足(特に地方自体レベル)

II 中東地域

1.サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、オマーン

(1)関心分野

再生可能エネルギー(太陽光・太陽熱、風力、原子力)、石油関連裾野産業の育成、火力発電所、変電所、港湾、水関連事業(造水・上下水道)、石油化学プラント、都市交通、情報通信、医療、農業の協力、空調、人材育成、等

(2)わが国の課題

  1. 中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与
  2. コストシェア技術協力を活用した、産業人材育成、若年者の就労促進に向けた職業訓練、公務員制度の確立をはじめとする行政官の育成。これを推進するためのJICA事務所の拡充
  3. 投資協定、租税条約、GCC(湾岸協力理事会)とのFTA、原子力協定等の締結
  4. 資源権益の確保

(3)相手国の課題

  1. 投資関連法規、税制の整備
  2. 現地人雇用義務の緩和(※カタールを除く)
  3. 経済特区以外に残存する外資制限の緩和
  4. 政府調達案件の契約総額の30%相当額を国内に投資する義務(いわゆるオフセット)の撤廃(クウェート)

2.トルコ

(1)関心分野

火力発電、原子力発電、再生可能エネルギー、交通インフラ(鉄道、橋梁、道路、港湾)、水関連事業(上下水道)、宇宙関連事業(通信衛星)、医療、等

(2)わが国の課題

  1. 日本トルコ経済連携協定の早期締結
  2. 投資保護協定の改訂

(3)相手国の課題

  1. 貿易の円滑化(通関手続きの透明化、簡素化)
  2. 規格・基準認証手続きの簡素化

3.イラク

(1)関心分野

資源開発のための石油精製、パイプライン等の整備、港湾、火力発電、送電・変電、上下水道、通信設備の更新、高度通信インフラ・高速無線通信基盤(LTE)の整備、貧困撲滅・格差是正に貢献するプロジェクト、等

(2)わが国の課題

  1. 円借款、JICA海外投融資、JBIC融資の活用を通じた支援の加速
  2. 相手国政府官僚の積極的な日本招聘、わが国技術の紹介

(3)相手国の課題

  1. 入札制度の改善(透明性の確保)
  2. 治安

III 中南米

1.ブラジル

(1)関心分野

ロジスティクス・インフラ(貨物鉄道、道路、港湾等)の整備を通じた集荷・輸送・積み出しの一連のサプライチェーンの確立、海洋資源開発関連、衛星及び衛星データを活用した農業管理・収穫予測、スマートコミュニティ、等

(2)わが国の課題

  1. 中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与
  2. 円借款の供与枠を事前に設定した落札先行方式の実施
  3. 現地通貨建てのJBIC出融資、JBIC出融資の柔軟な活用、事業融資に活用する金利スワップ等デリバティブに対する保証供与、市場リスクを伴う事業融資に対する保証供与

(3)相手国の課題

  1. 過度なローカル・コンテンツ要求の改善
  2. 複雑な税制、過度な税負担の是正をはじめとするビジネス環境整備
  3. 労働コスト(インフレ)ならびに現地労働訴訟への対応
  4. 労働規制の柔軟運用

2.メキシコ

(1)関心分野

鉱物資源、発電プラント、天然資源開発(石油・ガス)、宇宙産業、農業、観光振興、防災、パイプライン(米国からのガス輸入)、等

(2)わが国の課題

  1. 中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与
  2. 現地通貨建てのJBIC出融資、事業融資に活用する金利スワップ等デリバティブに対する保証供与、市場リスクを伴う事業融資に対する保証供与

(3)相手国の課題

  1. 電力、石油ガスの分野における国営企業の独占状況の解消、外資への門戸開放
  2. 治安

3.チリ

(1)関心分野

防災・災害対策(地震)、電力、水資源のインフラの整備、通信衛星、等

(2)わが国の課題

  1. 防災システムの長期整備計画や運用を含めた継続的な技術支援
  2. JBIC出融資の柔軟な対応、中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与

(3)相手国の課題

  1. 災害対策における包括的な情報管理や警報の仕組みを実現する組織改正(災害種別に管轄省庁が異なる縦割り管理となっている)

4.その他中南米諸国

(1)関心分野

グアテマラ等における上下水マスタープラン、ペルーにおける港湾物流マスタープラン、等

IV アフリカ(サブサハラ)地域

1.モザンビーク

(1)関心分野

道路・鉄道の整備(周辺国との連結)、港湾・コンテナヤードの拡張、発電所・送電網の整備、石油・ガス精製プラント、パイプラインの整備、農業インフラ(水利、灌漑等)の整備、等

(2)わが国の課題

  1. 投資協定の活用
  2. 無償資金枠の拡大と一件あたりの無償資金供与額の拡大
  3. JICA海外投融資の機動的かつ柔軟な供与
  4. 現地通貨建てJBIC出融資・円借款、JBIC出融資の活用条件の緩和
  5. 投資リスクをヘッジする投資保険の拡充
  6. STEP対象の拡大(プロジェクトの運営・メンテナンス等も対象とする)と供与
  7. 「日伯モ・プロサバンナ計画」(2010年調印)を通じた食糧の増産、雇用拡大、零細農家の生活レベルの向上、作物の輸出の推進

(3)相手国の課題

  1. 国営会社、モザンビーク企業との合弁義務の緩和(ガス・石炭開発等)
  2. 外国人雇用制限、パフォーマンス要求(社会貢献、技術移転、人材育成、現地人雇用等の義務)の緩和
  3. ロイヤルティ送金規制の緩和

2.南アフリカ共和国

(1)関心分野

発電所(火力、水力、太陽光、太陽熱、風力)の増強、送電網の整備、鉱物資源開発(鉄鉱石、金、コバルト、クロム、白金、石炭)と関連インフラ(鉱物資源搬出のための鉄道の整備、港湾・コンテナヤードの拡張)、鉄道、都市インフラ(配電、住宅、スマートコミュニティ等)、衛星及び衛星データを活用した鉱物資源探査・開発、等

(2)わが国の課題

  1. 中進国を超える所得水準の国に対する円借款等の供与
  2. 円借款の供与枠を事前に設定した落札先行方式の実施
  3. インフラ整備ならびにビジネス環境整備に関する政策対話の実施
  4. 現地通貨建ての長期インフラファイナンスを可能にするスキームの検討

(3)相手国の課題

  1. 民間事業者と電力公社との間の売電契約に係る法制度整備
  2. 入札制度の改善(価格のみならず、品質やライフサイクル・コストを正当に評価する入札制度の導入)
  3. 過度なBEE(Black Economic Empowerment)政策の緩和、就労許可の合理化(企業内転勤の就労許可の期限延長、日本人以外のアジア人に対する就労許可発給の迅速化等)

3.ケニア・タンザニア

(1)関心分野

道路・鉄道の整備(周辺国との連結)、国内交通網の整備、港湾・コンテナヤードの拡張、石油、ガス精製所、パイプラインの整備、電力(地熱発電等)、農業(含むポストハーベスト技術)、都市インフラ(水処理施設、配電、住宅等)、等

(2)わが国の課題

  1. STEPの積極的な供与、円借款、無償資金協力の規模の拡大、JICA海外投融資の機動的かつ柔軟な供与、JBIC出融資の活用条件の緩和、投資リスクをヘッジする投資保険の拡充
  2. 通関システム等、インフラ資材・機材の輸入手続の円滑化に向けた技術協力
  3. 地熱発電探査での石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の活用、試掘でのJICA技術協力の実施

(3)相手国の課題

  1. PPP関連法制の整備(例えば、地熱発電における蒸気枯渇リスク等の分担に関するガイドラインの整備)
  2. 入札制度の改善(価格のみならず、品質やライフサイクル・コストを正当に評価する入札制度の導入)

V 先進国を含むその他地域

1.米国・カナダ

(1)関心分野

シェールガス開発、シェールガスをベースとするケミカルプラント、電力インフラ、通信インフラ、リニア、高速鉄道、航空機輸出、等

(2)わが国の課題

  1. JBICファイナンス等の有効活用
  2. 政策決定過程を踏まえた効果的な働きかけ

2.欧州

(1)関心分野

鉄道、原子力発電、港湾、空港、等

(2)わが国の課題

  1. 日EUEPAの早期実現によるEUへの投資の保護・自由化、EUの公共調達市場へのアクセス確保

3.豪州

(1)関心分野

石炭、鉄鉱石、LNG などの天然資源開発、道路、鉄道、等

4.ロシア・NIS諸国

(1)関心分野

日本のエネルギー供給の安定化と供給源の多様化の推進に向けた石油・ガス(含むシェールガス)開発やLNG 基地の建設等、再生可能エネルギー、原子力発電、水関連事業(上下水道等)、先端医療設備・機器や遠隔地医療システムの導入推進、等

(2)わが国の課題

  1. 重点国との経済連携協定や投資協定の締結
  2. JBICによる2ステップローンの推進やバイヤーズクレジットの積極的な運用
  3. 経済分野に関係する各種の政府間協議を通じた有望産業分野における協力可能性の検討ならびにビジネス環境整備に向けた働きかけの強化

(3)相手国の課題

  1. 行政の改善(許認可手続きの簡素化と透明化、中央・地方政府間や窓口における解釈の統一)
  2. 法制度の明瞭化、整備(法律の明確化、中央・地方政府間や窓口における解釈の統一)
  3. 貿易の円滑化(通関手続きの透明化、簡素化)
  4. 不透明な関税政策・制度の改善
  5. 硬直的な金融政策・制度の改善
  6. 外国企業の進出の際の手続きの簡素化(国営企業や地方政府との折衝におけるワンストップ窓口の整備、等)
以上

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