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Policy(提言・報告書) 科学技術、情報通信、知財政策 データによる価値協創宣言

「データ利活用・連携による新たな価値創造に向けて
― 日本型協創DXのリスタート ―」
添付文書
2023年5月16
一般社団法人 日本経済団体連合会

サステイナブルな資本主義を実践しつつ、Society 5.0 for SDGs実現を目指すうえでは、DXによる価値の協創が不可欠である。そのためには、目的を明確化したうえで必要なデータをステークホルダー間で連携し、英知を結集してデータを最大限活用する必要がある。その際、個人の安心・安全やサイバーセキュリティの確保を大前提として、データを取り扱うことが求められる。こうした取組みにおいてステークホルダーをリードすべきは、他ならぬ企業である。

経営者は、個社によるデータ利活用やステークホルダーとのデータ連携が、生活者価値や中長期的な企業価値の創出に寄与することを認識したうえで、個人データの保護やサイバーセキュリティ対策はもとより、データ利活用・連携を前提として経営に取り組む必要がある。

そこで、経済界として以下のとおり、3つの原則を実践することを宣言する。

原則1:経営者のコミットメント

  • 経営者は、データ利活用・連携による新たな価値創造を最重要経営課題の一つと認識し、明確な方針のもと国際的・長期的な視野に立った経営判断を行う。同時に、社内外の関係者に対して丁寧に説明しアカウンタビリティを果たす。
  • 経営者は、開発・事業・法令遵守等、関連部門間の連携を通じて、データ利活用・連携を伴う重要な事業判断が適切に行われるように、ガバナンスを整備、強化する。
  • 経営者は、AIやIoT、クラウド等のデジタル環境の整備を進めるとともに、多様なデジタル人材を戦略的に育成・獲得、必要な権限を付与し、成果に応じた正当な評価を行うよう努める。

原則2:個人の安心・安全の確保

  • 企業は、個人情報保護法をはじめ国内外の法令を遵守することはもとより、適切な情報の保護・管理体制を整備したうえで、個人情報の利用目的や提供目的、安全管理措置等が規定された透明かつ平易なプライバシーポリシー等を策定・開示する。プライバシーの観点を十分踏まえ、個人を起点にしたデータの利活用・連携を進める。
  • 企業は、製品・サービスの企画・設計段階から、個人データの保護や実効あるサイバーセキュリティ対策等、サプライチェーン全体を通じた個人の安心・安全の確保に取り組みつつ、積極的に開示・説明する。その際、経済安全保障の観点について考慮する。
  • 企業は、個人データの漏えいが生じないよう、平時から必要十分な準備と対策に努める。漏えい事案が発生した場合には、迅速かつ適切に対処するとともに、関係者に対して真摯に説明を行う。
  • 企業は、トラストを担保しながら安心・安全なデータ利活用・連携を実現すべく、これに寄与する新技術の活用に努める。

原則3:データ利活用・連携を通じた価値の協創

  • 企業は、データ利活用・連携を事業の前提として、サプライチェーンにおける川上・川下や業界・産官学の垣根を越えた協調領域を見極め、価値を協創する。
  • 企業は、データ利活用・連携に向け障壁となる既存の慣行や制度等を改善すべく、わが国・諸外国の政府を含め関係するステークホルダーに積極的に働きかける。また、価値協創のための相互運用性の確保やデータの品質向上に努める。
  • 企業は、製品・サービスが国民生活を豊かにし、生活者のウェル・ビーイングに資することを分かりやすく説明し、データ利活用・連携に対する社会的な理解を増進する。
以上

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