1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 定例記者会見における中西会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2018年11月19日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【外国人材受入れ】

外国人材受入れに向けた政府案(出入国管理法改正案)は、経団連の考えと方向性が一致している。審議を尽くし、できるだけ早く法案が成立することを期待している。

国会での議論の内容については疑問に感じる部分もある。今、日本が問われているのは、さまざまな点で多様性を持った国になれるかどうかである。さもなければ、日本の経済、社会は孤立していく。制度を整備し、国を開いたとしても、それだけで日本で働きたい、仕事をしたいという人が急激に増えるというということにはならない。なぜなら、言語や生活習慣など、日本の就業環境は外国人にとってハードルが高いからである。開かれた国になるために、このハードルをどのように下げていくかの議論がなされることを期待している。

受入れに向けた環境整備を一企業だけで進めるのは難しいし、実効性にも乏しい。国や自治体の受入れ態勢の整備が不可欠である。コミュニティや住民の理解を深めていく必要もある。ゴミの出し方一つとっても課題となる。受入れに向け具体的な議論を進めていくためにも、国会で審議を尽くしてほしい。

【春季労使交渉】

来年の春季労使交渉に向けて、経団連の中でしっかり議論し、1月に公表する経労委報告の中で経済界の考えを示していく。経営側としてマクロの考えを示していくことは有意義であり、毎年一定の時期に労使がマクロで論議することは良いことである。他方、個社ごとに業績を踏まえて労使が真剣に話し合うことも重要であり、それが労使交渉である。こうしたことから、個社での労使交渉を「闘争」と呼ぶことには違和感がある。

経団連は、収益を拡大した企業については、賃金引上げに前向きに取り組むよう呼びかけ、これを受けて各企業の労使が真剣に議論し、賃金を決定してきた。こうした対応は今後も何ら変わるものではない。

【高齢者雇用】

高齢で元気な人が増え、活躍する場が求められていることは事実である。他方、個人差もあれば各社の事情もあるため、果たして一律にルールを定められるかどうか。高齢者はもっと働いた方が良いという意見もあれば、役職定年のように何らかの歯止めがなければ人材の新陳代謝が進まないという意見もある。多様な見解や主張があり、難しい課題である。

【米中貿易摩擦】

貿易・通商問題を巡る米中間の対立は長引くと見ている。トランプ大統領と習国家主席の間で今すぐに妥協が成立するとは思えない。日本経済にも影響はあると思うが、それほど重大ではなく、対策はあるだろう。経団連は一貫して自由貿易の維持、推進を主張してきた。現在、これに逆行する動きが表面化しているが、我々は自由貿易の重要性を繰り返し粘り強く訴えていく。各企業においては、多国間にバリューチェーンを展開しているので、知恵を絞って今の保護主義的な動きへの対応策を講じていくことになろう。

日本は資源に乏しい国であり、自由貿易抜きでの経済運営はあり得ない。他国とさまざまな形で良好な経済関係を維持しつつ、国際的な貢献も果たしている。これが日本のビジネスモデルであり、自由貿易は経済成長の前提である。多国間で自由貿易体制を推進していくことが重要であり、政府とともに経済界としてしっかり取り組んでいく。具体的には、自由貿易のメリットや価値観を共有する仲間を増やしていくことが肝要である。米国の経済界も本質的には同じ考えである。日米だけで限定することはなく、カナダやメキシコ、アジアの国々との対話・連携を進めていく。とりわけASEANの国々は、米中間の対立が自国の経済にどう影響するのか、日本がどう対応するのかといったことに常に注目している。日本への期待に応える必要がある。

【教育問題】

文系・理系というクライテリアはおかしいと常々思っている。容易なことではないが、文理の線引きをやめるべきである。例えば、今の時代に、文系だから数学は勉強しないというのはおかしい。これからのわが国は、総合的に知恵を発揮し知識産業化を推進していかなければ、到底生き残れない。

【2025年万博誘致】

大阪が開催地となれば、国を挙げて開催に向け取り組みを進めていく必要があり、経済界も当然力を尽くしていく。経団連は責任を持って誘致活動を行ってきた。今週のBIE総会での吉報を心待ちにしている。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら