会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  東海地域経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2023年2月17
一般社団法人 日本経済団体連合会

【中部経済・産業】

中部地方は、全県において第2次産業の割合が全国平均よりも高い。これが中部経済の強みとなっている。また、イノベーションの促進・スタートアップの創出に向けて様々な取り組みも進んでいる。日本のものづくりの縮図のような地域であり、日本のロールモデルとなっていただきたい。

【春季労使交渉】

今回の物価上昇はコストプッシュ型ではあるが、これを起点に、ゆくゆくはデマンドプル型による物価と賃金の持続的な好循環を形成していきたい。1年で達成できるほど甘いものではないが、今年を起点の年としたい。経団連が1月に公表した「2023年版 経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」では、「賃金決定の大原則」に則った検討の際、今年は物価動向を特に重視し、できればベースアップ(ベア)、ベアが難しい企業はその他の手段による賃金引上げを強く呼びかけている。

日本の企業数の9割超、従業員の7割近くを雇用している中小企業の賃金引上げを可能とするためには、適正な価格転嫁が必要である。経団連はパートナーシップ構築宣言への参画企業の拡大とその実効性の確保を通じたサプライチェーン全体の賃金引上げに引き続き取り組んでいく。

〔パートナーシップ構築宣言の実効性を高めるための方策を問われ、〕公正取引委員会は昨年末、コスト上昇分の価格転嫁の協議に応じなかった企業名を公表した。官民一緒になって取引価格の転嫁・適正化をぜひ進めていきたい。

【リニア中央新幹線】

リニア中央新幹線が開通することによって、東京-名古屋-大阪の移動時間が大幅に短縮され、高い国際競争力を有するスーパー・メガリージョンが形成される。生活や働き方が大きく変わる。静岡工区の水資源問題については、関係者間で科学的知見に基づいて議論が進められ、解決策が見出されることを期待したい。

【三菱スペースジェット】

三菱スペースジェットの事業化断念という結果は非常に残念であるが、培った技術をぜひ航空産業やものづくりに生かしてほしい。国産旅客機の事業化にチャレンジされた三菱重工業に敬意を表したい。

【電気自動車(EV)】

2050年カーボンニュートラルの達成には様々な道筋があり、日本は日本に合った方法で進むべきである。脱炭素へのトランジションに資する技術には、EVに加えてプラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)もある。EVには様々な業種が相次いで参入しており、絶対に普及していくだろう。それをにらんで多様性をもった開発をしなければならない。日本の自動車産業にはその力がある。

世界的に見て、EVは経済外交戦略の一翼を担っている。たとえば、HVの技術がない国は、すぐにEVに移行する戦略を打ち出す。日本も独自の戦略の下、対応していくべきである。

以上