1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 定例記者会見における十倉会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2023年7月10
一般社団法人 日本経済団体連合会

【大阪・関西万博】

6月30日、政府の了承を得て、大阪・関西万博の入場券価格が正式に決定した。入場券の価格は、①多くの方々の来場、②来場の平準化、③安定的な経営の実現、という3つの考え方で設定した。様々な券種を用意している。12歳未満の料金は大人の約4分の1であり、愛知万博の約3分の1よりも踏み込んだ価格設定となっている。入場券収入も活用し、Society 5.0 for SDGsの実現やわが国の経済・社会の持続的な成長につながる、素晴らしい万博を創り上げていきたい。

前売り入場券の販売開始は、2023年内を予定している。経団連は、全国的な機運醸成に集中的に取り組んでいく。また、会員企業に前売り入場券の購入を呼びかける。

〔参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオン建設の申請が1件もなされていない現状について問われ、〕パビリオンの建設には時間を要する。今秋には建設が開始できるよう、官民連携で対応する必要がある。経団連も、建設業界への働きかけをはじめ、様々な取り組みをしっかりと進めていく。

【賃金引上げ】

構造的な賃金引上げには、賃金と物価の好循環の実現が不可欠である。物価については、商品・サービスの付加価値の価格への転嫁を許容するソーシャル・ノームが醸成されつつある。早ければ今月の金融政策決定会合において、日銀の消費者物価上昇率見通し(2023年度1.8%)の上方修正があるかもしれない。経団連は引き続き、ベアを含めた積極的な対応による賃金引上げのモメンタムの維持を企業に呼びかけ、構造的な賃金引上げの実現に貢献していく。

〔実質賃金の減少傾向が続いている現状について所見を問われ、〕経団連の「2023年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)」では、大手企業における今年の賃金引上げ率は3.91%の高水準であった。こうした改定後の賃金が実際に支給開始される時期は企業によって異なることから、今年の大幅な賃金引上げの結果が実質賃金に反映されるまでにはタイムラグが生じる。今後、賃金引上げのモメンタムが各種統計の上でも段階的に現れていくことを期待している。

〔中小企業の賃上げについて所見を問われ、〕今年の春季労使交渉では多くの中小企業においても高水準の賃金引上げを実施しているが、日商の調査によると、その7割ほどは、人材確保などを目的にやむを得ず行った防衛的賃上げであった。賃金引上げのモメンタムを中小企業にまで波及させ、継続させることが肝要である。経団連はこれからも、中小企業の生産性向上に向けた官民連携の支援、パートナーシップ構築宣言の趣旨の徹底を通じた価格転嫁の促進など、様々な取り組みを継続していきたい。

【中国による半導体素材輸出規制】

〔中国が8月からガリウム、ゲルマニウム関連品目を輸出規制の対象に追加すると発表したことの受け止め、日本の経済、産業への影響を問われ、〕今回の中国の発表は、半導体関連素材の輸出を禁止するのではなく、許可制にするものと承知している。今は企業各社が自社の調達等への影響を精査している段階である。今後の中国の動向を注視したい。

【IAEA報告書】

〔東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出計画に関するIAEAの報告書について問われ、〕IAEAの報告書は、科学的、論理的、客観的な指標に基づいて、ALPS処理水が安全基準を十分に満たすことを示しており、意義深い。韓国政府も当該報告書を尊重するとしている。他方、中国や、韓国の野党、日本の漁業関係者から懸念の声があがっていることも承知している。安心を得るために、報告書で証明された安全性を根気強く丁寧に、国内外で説明する必要がある。

【日韓・韓日未来パートナーシップ基金】

〔7月6日開催の第一回運営委員会を踏まえた今後の活動について問われ、〕若手人材交流については、各所での既存の取り組みとの連携も視野に入れながら、可能な限り早期に開始したい。また、日韓両国は少子高齢化、環境・エネルギー、経済安全保障といった共通の重要課題に直面している。そうした現実を踏まえ、特定の産業分野での連携や好事例の横展開といった取り組みを進めていきたい。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら