一般社団法人 日本経済団体連合会
【大阪・関西万博】
〔来場者数の目標達成に向けた現状のペースの評価や、万博開催による関西、日本経済への影響について問われ、〕開幕からの来場者数は1,000万人を超え、順調であると認識している。万博が盛況であるがゆえに、日々課題は生じているが、博覧会協会は個々の課題にきめ細やかに対応しており、そのことが来場者の満足度の向上につながっているのではないか。満足度向上が、再来場や新たな来場につながるという好循環が生まれつつあり、今後の更なる来場者数の増加を期待している。
大阪・関西万博は、新技術の実験場といえる。新技術が実証・発信され、それらが社会実装されていくことで社会課題の解決や産業競争力の強化につながることが期待できる。また、万博会場で行われている日本の各地域のイベントを通じた来場者の地方への誘客、あるいは企業同士のビジネスマッチングの機会の創出などにもつながっているだろう。そのため、大阪・関西万博は、大阪・関西への経済波及効果だけではなく、日本全体の活性化にもつながるものと実感している。
〔大阪・関西万博を訪れたことはあるか、また来場者としてどのような改善点があると感じたかを問われ、〕これまでに二度訪れた。入場時の混雑対策が必要であるということは家族とも話していた。これについては既に西ゲートの活用も含め、対策を講じられていると認識している。引き続き、夏場の暑さ対策を含め、安心安全の確保に意を配した対策がなされることを期待している。
〔関東での万博の盛り上がり状況について問われ、〕大阪・関西万博は、関東でも盛り上がっていると認識している。関東でも万博に関する報道に接する機会は数多くあり、海外の要人が万博会場を訪れる様子も目にしている。加えて、来場者による好意的な口コミが広がっているという面もあろう。
〔大企業だけでなく中小企業にも万博のレガシーを残していくために必要なことを問われ、〕万博で実証・発信される新技術は、万博が生み出す一つの重要なレガシーである。そうした新技術が社会実装されていく過程の中で、サプライチェーンを通じて大企業だけでなく中小企業にも影響が及んでいくことが非常に期待できるのではないか。加えて、万博は個々の企業同士のビジネスマッチングの機会でもあるため、そうした場を通じて、中小企業の持つシーズが一層活用されることを期待している。
【トランプ関税】
〔トランプ米大統領が日本に対して8月1日より25%の相互関税の適用を通告したことの受け止めや、国内経済への影響、政府への期待や経済界としての取り組みについて問われ、〕交渉途中での米国側からの一方的な関税率の通告だと受け止めており、遺憾である。相互関税が通告どおり引き上げられれば、これまで以上に大きな影響が出るだろう。シンクタンク等が予測を公表しているとおり、年度ベースで日本の実質GDP成長率は1%前後の引下げになると見ており、先行きは極めて不透明である。今後の日本企業の投資戦略の予見可能性が低下すると同時に、投資に係る採算性への影響が懸念される。
日本政府には、次なる交渉の期限を見据えつつ、引き続き、国益を損なわないよう粘り強く交渉してほしい。
経済界としては、先行きの不透明感が強まる中にあっても、賃金引上げの力強いモメンタムをどのように定着していくかということに対し、政府も含め、社会全体で配意していければという思いを新たにしている。
〔8月1日より相互関税の適用が通告された中で、日本政府には期限までの合意を期待したいのかと問われ、〕国内が非常に不確実な状況に置かれている現状において、まず、国内経済への影響を抑えるべく必要な対策が適宜適切に講じられることが重要である。その上で、8月1日という期限に向けて交渉をまとめあげるための努力はしつつも、国益を損なわないことに基本線を置いて交渉に臨むべきである。
〔交渉材料としての農産品の輸入に係る関税引下げについて問われ、〕パッケージとして合意できていない状況であり、交渉場裏において個々の論点についてどのようなやりとりがなされているかは不明である。農産品に係る関税については非常に難しい問題であり、国内の農業従事者への影響も念頭に置きながら判断されるであろう。
〔7月19日にベッセント米財務長官が来日することの受け止めと政府への期待を問われ、〕関税に関する議論がなされるかどうかは承知していないが、そのような機会があればよい。国益を損なわないよう交渉するというスタンスに立った上で、交渉期限や、7月20日には参議院選挙の投開票日を控えるという要素も踏まえつつ、適切に対応されることを期待している。
【中国のパンダ】
〔和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで飼育していたジャイアントパンダ4頭が中国に返還された中、万博でのチャイナーデーを機会に何立峰(フォーリーフォン)副首相の来日が見込まれることを受け、日本にとってのパンダの必要性について問われ、〕これまでの日中関係においてパンダが果たしてきた役割は極めて大きいと思うが、今後どうあるべきかということについて経団連としては特に立場はない。
【神戸】
〔筒井会長の出身地である神戸の現状について問われ、〕私が生まれ育った神戸は重工業の町として栄えた。産業構造の変化や阪神・淡路大震災を経る中で、人口は減りつつあるものの、三宮周辺地区の再開発や、神戸空港の国際化、「住みたい街ランキング」で上位に位置するイメージの良さなど、高いポテンシャルを有している。日本、あるいは世界の中で、都市の一つのあるべき姿として、神戸はポジションを確立していけるのではないかと期待している。