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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見(9/8)における筒井会長発言要旨

2025年9月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

【石破総理辞任】

〔石破総理が辞任を表明した(9月7日)ことの受け止めを問われ、〕先の参議院議員選挙の総括を踏まえ、政治を前に進めるために重い決断をされたと受け止めている。

石破政権は、外交面では日米関税合意を実現し、内政面では、2025年度予算や各種法案を成立させたほか、経団連が掲げる「科学技術立国」や「貿易・投資立国」の実現の方向性と合致する政策を打ち出してこられた。

内外には待ったなしの重要課題が山積しており、経団連も「FUTURE DESIGN 2040」の実現に向けたロードマップの策定と実践を掲げて取り組んでいる。そうした取り組みが本格化しようという局面で、自民党は新しいリーダーを選ぶこととなった。新しいリーダーには、党内の一致結束を図った上で、安定した政治の態勢を確立し、政策をスピーディーに遂行していただきたい。

〔多くの世論調査で石破総理は「辞任すべきでない」とする人の割合が「辞任すべき」とする人の割合を上回る中で総理が辞任したことを受け、自民党に対する見解を問われ、〕自民党は、参院選を総括し、反省もされたと思う。政治を行う上で、世論、国民の目線は常にベースにあるべきだが、今回の辞任は、党の分断をこれ以上加速させず、政治を前に進めることの喫緊性を踏まえた、石破総理の重い決断であろう。今後、自民党は再出発し、党内の一致団結を図り、比較第一党である自民党・公明党を中心に安定した態勢の下で政治が牽引されることを期待する。

〔政治の安定の重要性について問われ、〕少数与党となり、政治情勢が不安定になる中で、熟議がなされている側面はあるものの、意思決定のスピードの低下や財政規律の低下への懸念が生じている。連立政権を組むにしても、政策ごとの連携を行うにしても、自民党・公明党が中心になると考えており、そうした形での安定した政治態勢の確立を期待している。

総裁選が終わるまでの1カ月も、政治の停滞があってはならない。そうした懸念があれば市場にも見透かされるだろう。現政権には、総裁選期間中も内政・外交に適切に向き合ってほしい。

〔新総裁に期待する政策を問われ、〕世界の動きを見据えつつ、「日本全体の視点」と「中長期の視点」を大事にしていただきたい。個別のテーマでは、例えば、経団連が「FUTURE DESIGN 2040」の実現に向けた主要項目の1つに掲げる、税・財政・社会保障の一体改革があげられる。国を挙げた議論を早期に開始する必要があり、国民会議的な組織の設置を強く働きかけていきたい。

〔市場との対話という観点で新総裁に期待することを問われ、〕日本は欧米と同様に債務残高が大きく、超長期金利が上昇基調にあり、財政健全化を図ることがより重要になってきている。加えて、トランプ関税による経済への影響も出始めている。こうした現状を踏まえれば、市場との対話に目配りすることが非常に重要であろう。

〔新総裁による財政拡張的な政策への期待感等により日経平均株価が一時最高値を更新したことを踏まえ、財政健全化に対する経団連のスタンスを問われ、〕本日の相場は、日米関税交渉に係る大統領令への署名がなされ、自動車等の関税引下げが確定したことや、企業の国内設備投資が堅調で、これが牽引する形で日本経済が堅調に推移していることが背景にあるのではないか。

これまで「税・財政・社会保障の一体改革」の必要性を訴えてきたとおり、財政健全化が図られているか経団連として注視しながら提言等を行っていくことの重要性は何ら変わっておらず、その姿勢を堅持していく。

【最低賃金】

〔今年度の地域別最低賃金の決定状況の受け止めや最低賃金引上げに対する経団連のスタンスを問われ、〕各地方の最低賃金審議会が、地域の実情やデータに基づいて真摯に議論した結果だと受け止めている。

引上げ額については、物価上昇による生計費への影響、今年の春季労使交渉における高水準の賃金引上げ、近隣地域との最低賃金額の格差是正を主な理由に、大幅アップの答申が増えたと認識している。最低賃金引上げに対応できる環境を整備するため、政府には適切な支援策を早急に実行してほしい。

引き上げられた最低賃金の発効日までの期間を長く設定する地域が増えていることについては、大幅な引上げに伴う原資増大への準備や、就業調整のタイミングが早まることによる人手不足の深刻化等を考慮した結果であろう。

経団連は賃金引上げの力強いモメンタムの継続・定着を掲げており、最低賃金引上げの必要性についても同様である。ただし、急激かつ大幅な引上げが、雇用や経営等、地域経済へどのような影響を与えるか、慎重に見極めていく必要があろう。

〔2020年代に全国加重平均で1,500円という政府目標、および引上げの決定プロセスにおける、赤沢賃金向上担当大臣等の政治の関与について問われ、〕赤沢大臣の関与については事実関係を確認できておらず、コメントは差し控える。政府目標を達成するためには、毎年7%超の引上げが必要であり、地域経済への様々な影響を踏まえながら検討する必要がある。

〔最低賃金の決定方法について問われ、〕今年度の各地方最低賃金審議会の審議状況を見ていて、非常に多様化していると感じる。様々な関係者の間で熟議がなされた結果という見方もあれば、決定方法そのものを再考すべきとの意見があるとも承知している。最低賃金の決定方法等については、中央最低賃金審議会等で審議されるものであり、必要なことがあれば、経団連としての発信を検討していきたい。

【経済同友会・新浪代表幹事活動自粛】

〔新浪剛史氏がサントリーの会長を辞任し、経済同友会代表幹事としての活動を自粛したことについて問われ、〕詳細がわからない点が多く、警察の捜査中であるとも聞いているため、コメントは差し控える。状況を注視したい。

経済同友会は歴史があり、発信力の高い団体である。経済三団体で一緒に政策提言をすることもある。これまでどおり活動を継続していただくことを期待している。

【フジテレビ】

〔フジテレビへの日本生命のCM出稿再開について問われ、〕日本生命の経営側は、同社のガバナンス改革の状況を踏まえて広告出稿の再開を検討中であろう。その際、他社の広告出稿の再開が進んでいる状況も参考にしながら検討していくだろう。

以上

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