一般社団法人 日本経済団体連合会
【関西経済】
〔今年の関西経済への期待や、大阪・関西万博のレガシーとして注目するテーマについて問われ、〕関西地域の景気は、物価高や人手不足といった制約があるものの、堅調な設備投資等を背景に持ち直していると認識している。
本日の懇談会のテーマは、「投資牽引型経済への転換」であった。さらなる投資の拡大による経済の牽引に向け、エネルギー供給体制の確保やサプライチェーンの強靭化等について、関西の会員企業の皆さまと活発な意見交換ができた。
今後は、大阪・関西万博のレガシーを経済成長につなげることが必要であり、その意味でも、万博の成功を改めて祝福したい。万博においては、「未来社会の実験場」として、さまざまな先端技術の実証が行われた。分野としては、デジタル、モビリティ、AI・ロボット、循環経済、ヘルスケア・ライフサイエンスといったものが挙げられ、こうした先端技術が着実に社会実装され、経済成長へとつながっていくことを期待したい。
〔多くのインバウンドが訪れる契機となった大阪・関西万博の閉幕や、訪日中国人観光客の減少が関西経済に及ぼす影響について問われ、〕目下、大阪への中国人観光客が減少しているという報道は承知しており、万博閉幕と中国人観光客の減少による経済への影響は注視していく必要がある。
他方、インバウンドの短期的な増減に一喜一憂することなく、経団連の提言「持続可能な観光立国の実現に向けて」(2025年10月公表)でも言及している通り、観光政策のあり方を、「量から質へ」と転換していくことが重要であろう。インバウンドの数を維持することも重要だが、体験型観光の充実や、消費単価の向上を進めることが求められる。
ただし、日中関係は政治的に難しい局面にあり、あらゆるレベルにおける幅広い分野での対話を通じた意思疎通が図られていくことが重要である。そのベースは人的交流の活性化であると考えており、まさに観光は極めて重要である。観光の「量から質へ」の転換を重視する中で、中国人観光客の数の回復にも期待をしていきたい。
〔日本経済における大阪の立ち位置について問われ、〕大阪の立ち位置を考える上で、歴史や風土、ビジネスといったさまざまな観点があるが、例えば、賃金引上げに向けた春季労使交渉という観点もある。2026年の春季労使交渉では、働き手の約7割を雇用する中小企業における賃金引上げの動向が、全体の賃金引上げに与える影響は非常に大きい。関西、大阪には存在感のある中小企業が数多く集積しており、その意味で、関西、大阪が今年の春季労使交渉において注目され、期待される部分は大きいと認識している。
【副首都構想】
〔日本維新の会が掲げる副首都構想についての考えを問われ、〕副首都構想は、首都直下地震などの災害発生時に備え、東京に首都中枢機能が集中している現在の状態から、意識的かつ計画的に分散構造へ移行していく意味で、一定の意義があろう。副首都構想に限らず、防災庁の地方拠点の整備など、様々な観点から総合的に検討されるべきである。政府だけでなく民間企業も、生産拠点や販売拠点等の重要拠点の複数化・分散化を行い、バックアップ体制を構築しておく必要がある。わが国全体で国土強靭化を推進する意味で、副首都構想について議論することは意義深く、これを契機として、東京一極集中の是正や地域経済活性化の議論も進展していくことを期待したい。
【大阪IR】
〔2030年開業予定である、日本初の統合型リゾート施設である大阪IRへの期待を問われ、〕IRには、建設・運営に伴う雇用創出を含め、中長期的な経済波及効果を期待している。
MICE(多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称)の誘致競争が世界的に激化する中、大規模な国際会議場等を整備するIRの開業により、MICEを通じたビジネス機会の創出や国際交流の促進、ひいては関西だけでなくわが国全体の国際競争力の強化やプレゼンスの向上につながることを期待したい。
【大阪・関西万博】
〔大阪・関西万博の跡地利用のあり方について問われ、〕地元自治体や地元経済界において議論が深められていくものと承知している。政府の成果検証委員会でも議論が行われているところであり、こうしたことを注視していきたい。
【国際園芸博覧会】
〔2027年の国際園芸博覧会の開幕に向けた、前売り入場券の販売について問われ、〕横浜で開催される園芸博の成功に向け、大阪・関西万博における関係者の大変な努力がいかにして大成功につながったのかを相当勉強させていただいている。前売り入場券の券種や価格設定の検討においても、大阪・関西万博での知見・経験を吸収しながら取り組んでいる。経済界にも各方面に協力を仰いでいる。
今後の課題はやはり機運醸成である。首都圏にとどまらない、全国的な機運醸成が不十分な状況であり、官民連携のもとで取り組んでいかなければならない。
【新たな道州圏域構想】
〔道州制についての考えを問われ、〕かつての道州制の議論では、行政権限のあり方に関する議論が先行したが、権限や区割りの議論よりも、まずは広域連携を推進していくことが地域経済活性化に向けた進むべき方向性だと考えている。人口減少、東京一極集中により、地方では特に若年層の減少が著しく、地方の都市機能や行政機能の維持が難しい課題となっている。医療、教育、公共インフラ、防災、観光など、さまざまな観点において、広域連携を推進することで機能を維持し、より活性化させていくことが欠かせない。そうした考え方のもと、経団連は、都道府県より広く、かつバーチャルな圏域ごとに施策を遂行する「新たな道州圏域構想」を掲げており、実現に向け、政府とも連携し、広域連携を推進している。
【賃金引上げ】
〔本日の懇談会で、中小企業の経営者から価格転嫁について厳しい意見も出たことの受け止めと、今後の価格転嫁の促進に向けた取り組みについて問われ、〕現場感覚を踏まえた率直な意見であった。経団連として価格転換を浸透させる上で、非常に強い土台となるような意見をいただいたと受け止めている。
中小企業では、「防衛的賃上げ」「賃上げ疲れ」といった言葉が出てきており、原資の安定的な確保が不可欠である。そのために、中小企業自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)等による生産性の向上や、大企業がリーダーシップを発揮する形でのサプライチェーン全体による取り組み、政府・自治体による適切な環境整備などが必要となる。
また、その前提として、「賃金は上がっていくもの」という機運醸成と、そのために必要な「適正な価格転嫁と販売価格アップの受け入れ」の社会的規範化が欠かせない。これは、企業だけでなく、消費者も含めた社会全体での環境整備が必要である。
さらに、賃金引上げはコストアップではなく、「人への投資」であるという価値観が企業に根付くことによって、企業の中長期的な企業価値の向上にもつながると株主に理解され、ステークホルダーの共通理解へと昇華していく必要がある。
そうした流れにより、「賃金と物価の好循環」が実現し、ひいては「成長と分配の好循環」につながる。ただし、2%程度の適度な物価上昇が前提であり、政府・日銀には適度な物価上昇の持続的・安定的な実現を期待している。
【日中関係】
〔日中関係悪化を受けての経団連としての今後の取り組みや、中国政府、中国経済界との対話について問われ、〕分断が進む激動の世界情勢の下、特定国に依存した交易関係は避けるべきであり、分散型の交易ネットワークの構築が求められる。他方、日中関係は、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、日中間での戦略的互恵関係の包括的推進と、建設的かつ安定的な関係の構築が重要である。政治的に難しい局面にあり、課題や懸案があるからこそ、あらゆるレベルにおける幅広い分野で対話を通じた意思疎通が図られていくことが何よりも重要となる。1月に予定していた日中経済協会合同訪中代表団の派遣が延期となったことは残念だが、経団連としては引き続き、中国政府、経済界等との対話の機会を探っていきたい。
【柏崎刈羽原子力発電所】
〔本日、東京電力が、柏崎刈羽原子力発電所6号機の営業開始時期が遅れる見通しであると発表したことの受け止めや、東京電力への期待を問われ、〕プラント設備の健全性を確認する中で、制御盤の不具合が発見され、安全最優先の観点から原子炉を停止したものと認識している。
東京電力には、原因究明の徹底や是正措置とともに、地域や国民の皆さまに対する、分かりやすく透明性の高い説明を期待したい。今後も、都度、慎重かつ適切に対処されることを望む。