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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見(3/24)における筒井会長発言要旨

2026年3月24
一般社団法人 日本経済団体連合会

【中東情勢】

〔日米首脳会談において、ホルムズ海峡への艦船派遣をめぐる高市総理の発言を受けたトランプ大統領の反応への受け止めと日本政府の今後の対応に関する期待を問われ、〕 日本国憲法上の制約がある中、法律上できることとできないことがあるとの高市総理の説明はその通りと受け止めている。停戦となれば、日本として支援・貢献ができる余地は広がると思う。それまでの間は、早期鎮静化に向けた関係各国との連携による外交努力を含めて、法律上できることを実行していくことが基本である。

〔さらに、中東情勢の緊張の長期化による影響を問われ、〕現時点で、長期化のリスクは高まっているが、実体経済や国民生活にどのような影響が出てくるかを見極めることは非常に難しい。しかしながら、長期化のリスクは十分想定しておかなければならず、それが必至と判断されたならば、相応の経済対策を講じる必要性はあろう。原油輸送の停滞が具体的な影響を及ぼし始める段階にある中、足もとの緊急的激変緩和措置、日本単独および国際エネルギー機関(IEA)による石油備蓄の放出、そして代替供給先の確保等の迅速な対応が講じられており、引き続き関係国はもとより官民連携でのエネルギーの安定供給の確保に万全を期していただきたい。その上で、実体経済や国民生活を一層注視しつつ、経団連としても会員企業の声を良く踏まえて、経済対策の必要性を見極めたい。

〔中東情勢の緊張が長期化した場合のガソリン価格上昇を抑制するための補助金のあり方について問われ、〕 足もとの緊急的激変緩和措置がなければ、目安とされる1リットル当たり170円程度から、さらに数十円程度の価格上昇が起きる可能性がある。こうした中、当該措置の意義は、急激な価格変動に配慮して、経済や国民生活への影響を緩和することと理解している。今般閣議決定された予備費の活用は、想定以上の急激な変動に迅速に対応するためと承知している。ただし、根本的には、石油供給不安の長期化リスクを想定して、次の打ち手を検討する必要がある。まずは、備蓄をより長期に活用することが重要であり、需給両面でどのような対策が必要かという観点から、総合的な検討を急ぐべきである。

〔さらに、今後の経済対策の規模感に対する想定を問われ、〕中東情勢の悪化がどの程度継続するかを現時点では推測すらできず、実体経済や国民生活にどの程度甚大な影響をもたらすかを見通すことができない中で、経済対策の規模感等に関する回答は差し控えたい。

〔IEAの報告書(3月20日公表)におけるエネルギー危機への10項目の対策に関する受け止めを問われ、〕 対策に関する効果は実証済みで、一部の対策を既に講じている国もあると承知している。中東情勢の悪化が長期化することを想定すると、まずは石油備蓄をより長期に活用していくことが重要であり、需給両面での対策に係る総合的な検討が急務である。今回IEAにより需要面での対策が示されたと理解しているが、日本は過去の累次のエネルギー危機において様々な取組みを講じてきた歴史がある。これらの実績と検証を行った上で、今後のリスクを想定しながら日本として自律的に対応していくことが求められる。

〔さらに、経団連として会員企業等に何らかの呼びかけを行う想定があるか否かを問われ、〕ただちに呼びかけ等を行う必要性はない。しかし、中東情勢の緊迫化の長期化が不可避と判断された際には、国民の暮らしに対して需給両面での対応をお願いすることも事態としては想定していく必要があろう。

〔ナフサ等の石油関連製品の値上げに対する受け止め等を問われ、〕石油関連製品が供給不安にさらされている中で、製造企業が値上げに踏み切るのは合理的な企業行動と認識している。こうした動きに対して、例えば政府が従前との価格差を支援するか否かが今後の課題となるが、財源論を含めて非常に難しい問題があり、価格差への支援以外の方策についても総合的な検討が必要である。いずれにせよ、今後のエネルギーの安定供給の確保に向けて、関係各国との連携による外交努力を講じつつ、調達先の多様化に官民連携で取り組むことが重要である。

〔政府による次なる石油備蓄放出の是非について問われ、〕 既に行われた備蓄放出は、供給と市場価格の安定化に寄与していると受け止めている。次なる備蓄放出に関しては、タイミング、期間、規模、目指すべき価格水準、そして企業や国民への心理的な影響等の諸要素を総合的に勘案して、周到に計画を進めるべきである。現時点では、次なる備蓄放出をただちに行うべきとは考えていない。一方で、事態の長期化による影響が相当程度に甚大となることが明確となれば、次なる備蓄放出は検討されるべきであろう。

【暫定予算案】

〔政府が暫定予算案の編成を始めたことへの受け止めと、これまでの国会審議に対する見解を問われ、〕 予算は国の方向性を示す重要な意思決定であり、国会審議に時間を費やすことは当然のことである。一方で、中東情勢の不確実性がにわかに高まり、経済や国民生活への影響が極めて強く懸念される状況となっている。機動的な政策対応の観点から、速やかに来年度予算を成立させる必要性は十分理解しており、審議のスピードと熟議の間のバランスを確保すべきである。こうした中、暫定予算案については、不測の事態に備え予算の空白が生じない観点から編成が表明されたと理解している。

〔さらに、来年度予算案に関して、与野党間で熟議を凝らす中で、中東情勢を受けた対策を盛り込むべきかと問われ、〕中東情勢を受けた対策は既に講じ始められている。こうした中、来年度予算を速やかに成立させるという時間軸において、現下の中東情勢の不安定化がどの程度長期化するかを十分に考慮する必要がある。仮に長期化が必至という判断の下で、新たに経済対策を講じることとなれば、その審議にも一定の期間を要することから、まずは来年度予算を成立させることが先決と考えている。

【社会保障国民会議】

〔同会議に対する懸念点等を問われ、〕 飲食料品の2年間の消費税減税や給付付き税額控除がまず集中的に議論されるのは、先の衆議院選挙の争点にもなったことから、当然のことと受け止めている。そのうえで、経団連がかねてより「国民会議」の創設を提唱していた最大のねらいは、持続可能で公正・公平な社会保障と税の全体像、すなわち全世代型社会保障制度の構築に向けて、国民を巻き込んだ議論を展開することである。社会保障制度の持続可能性を確保する観点から、改革のあり方が提示されるべきである。そのためには、中長期の給付と負担の見通し等の「見える化」が必要である。その際、マクロでの見通しだけではなく、所得階層別、世帯別、さらには就職氷河期世代や有期雇用等労働者等を加味した世代別のミクロでの分析を通じて、実態を踏まえた上で、給付と負担に係る改革を進めるべきである。これこそが社会保障制度改革の本丸であり、本年夏前の中間取りまとめ以降も議論を重ねるよう主張していきたい。

【中国による軍民両用品目の一部日本企業等に対する輸出禁止措置】

〔当該措置から1ヵ月あまりが経過する中、具体的な影響について会員企業から声が上がっているかを問われ、〕 様々な声を間接的に聞いている。輸出許可が下りにくい、あるいは時間を要しているという話は聞こえてくるが、その都度日本政府とも連携して解決を図っていると理解している。個社としては、具体的な影響を公表することは企業価値にも関連するので難しいという側面もあろうが、引き続き会員企業の声を重視しながら、事態の打開に向けて、日中関係修復の糸口を模索していきたい。

【防衛力強化・防衛装備移転】

〔政府における防衛力強化や武器輸出拡大に関する議論の進め方に対する所見を問われ、〕 平和や人権は人類の共通の理念であり、日本の歴史的な経緯も踏まえ、不戦の誓いの重要性を噛み締めなければならない。他方で、世界に目を転じれば、局地的な紛争が起こり、分断と対立が一層進んでいる現実も厳然と存在しており、これに応じて日本も防衛力を高めなければならない。歴史を振り返れば、科学技術は軍事から発展してきた側面もあるが、日本としても、デュアルユース(軍民両用)を意識しながら、科学技術の発展と防衛力強化を図っていく必要があろう。防衛力強化や防衛装備移転については、国においても議論を尽くした上で、大きな理念の追求と現実への対応を実態に即した形で進めていくべきである。

〔さらに、政府の武器輸出拡大を巡る方針を踏まえ、政府との議論の経緯や経団連としての今後の対応方針を問われ、〕政府の防衛装備移転拡大を巡る方針に関する議論の出発点は承知していないが、仮に経団連に対して防衛装備移転の拡大に向けて何らかの対応が求められた場合には、経団連内での議論を経ることとなる。日本として、平和や人権、そして不戦の誓いを重視してきた歴史に立ち、防衛装備移転のあり方に関する議論が必要である。

【地域別最低賃金】

〔2025年度の地域別最低賃金の発効日が一部の県で2026年に越年していることへの受け止めを問われ、〕 詳細を正確に把握している訳ではないが、各地方最低賃金審議会が発効日を含めて決定し粛々と実行することが基本である。ご指摘の事態が物価高の局面で発生していることは課題として認識している。

以上

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