一般社団法人 日本経済団体連合会
【日本成長戦略】
〔経団連が2040年度の国内民間設備投資目標額を従来の200兆円から250兆円に引き上げた根拠と、進捗状況を都度開示していく考えがあるかを問われ、〕「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」では、2040年度の名目GDPが1,100兆円と、従来の1,000兆円から引き上げられるとともに、国内民間設備投資額が230兆円まで高まると試算されている。日本成長戦略における官の踏み込みを前提に、政府の試算を上回る水準を民間として示したいという考えから、250兆円という目標を掲げた。
今後は、「投資牽引型経済」の確立に向けた企業のマインドセットの転換を強く呼びかけていく。官民投資ロードマップについては、日本成長戦略会議においてPDCAサイクルが回されていくと理解しており、経団連も民間の国内設備投資額がどう推移していくか毎年確認し、たとえば、投資の予見可能性の向上に向けた環境整備を政府に働きかけていくといった必要な行動を都度とっていきたい。なお、現時点で進捗状況の公表は考えていないが、検討はしていきたい。
〔2040年度の国内民間設備投資額を250兆円に引き上げることを目指す中で特に期待する分野を問われ、〕本日の会長・副会長会議では、フィジカルAIへの言及が多かった。日本成長戦略における官民投資ロードマップの中でも、フィジカルAIを中心に国産AIを育成していく機運が高まっており、相応の予算もつく見通しである。現場力、いわゆる「現場知」をデータとして持っていることが日本の一番の強みだという意見もあり、これをロボット技術と融合することで、フィジカルAIの分野でわが国が国際競争力を有することができるのではないかと注目し、期待している。潜在成長力を向上させる上で労働供給制約が一番のネックになると認識しているが、フィジカルAIが労働供給制約を克服する重要な手段になり得ると考えている。
〔250兆円という目標を打ち出すことをいつ決めたのか、また日本成長戦略会議の中で目標の引上げに対するプレッシャーを感じたことがあったかを問われ、〕打ち出しを決めたタイミングはごく最近である。プレッシャーを感じたことはない。官の踏み込みが強く打ち出された中で、当然、民間への期待を感じたことはある。
〔機関投資家である日本生命の前会長であり相談役である筒井会長が、日本成長戦略会議の有識者構成員として17の戦略分野における官民投資の促進に関わることで利益相反が生じるのではないかと問われ、〕経済財政諮問会議や日本成長戦略会議において、私自身が個々の銘柄について発言したことは一切ない。成長分野として、大枠でAIや半導体に言及したことはあるが、あくまで日本の成長力強化という観点から申し上げた。その発言が、機関投資家としての日本生命の事業活動に反映されることはないと思っている。顧客から預かった大切な資金を、客観的かつ合理的に、透明性高く運用していくことが機関投資家としての日本生命のスタンスであり、銘柄選択に私の発言が影響することはあってはならないし、そのようにする意向も全くない。
ご指摘の懸念を持たれうるということを常に意識しながら公的な会議において今後も発言していきたい。
【賃金引上げ】
〔経団連が2日公表した、2026年夏季賞与・一時金に関する大手企業業種別妥結状況(第1回集計)の評価を問われ、〕金額は、比較可能な1981年以降の最高額を3年連続で更新し、初めて100万円を超えた上、増減率(対前年同期比)は5年連続のプラスを記録した。金額が年々上昇して高水準となり増加率が少し鈍化しているとはいえ、基本的には、賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」実現の手応えがより実感できる結果であったことは事実であると受け止めている。
今後、物価上昇率との兼ね合いで、(月例賃金引上げとあわせて)賞与・一時金の増減率をどう位置付けていくか、引き続き検討しなければならない。賞与・一時金は、月例賃金をベースに算定している企業が多く、毎年の春季労使交渉の中で、ベースアップ実施など賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」を図ることが、高水準の賞与・一時金にもつながっていくと考えている。
【社会保障国民会議】
〔食料品の消費税減税に関する代替財源が示されていないことなどを背景に、社会保障国民会議の議論が停滞気味であることについて受け止めを問われ、〕食料品の消費税減税については、市場の信認の維持と社会保障の持続性の確保の観点から、代替財源の明確化が大前提と考えている。一方で、中間取りまとめ案において、消費税減税の期間を2年間と明確に区切っており、その重要性は高いと考えている。
〔いまだに代替財源の話がほとんどなされておらず、議論の進捗が遅いのではないかとの指摘を受け、〕その思いは共通である。2027年度予算編成の過程でも議論がなされるであろうとは思っており、また、税収の上振れ分を活用するという考え方も出てきているが、いずれにせよ代替財源の明確化がなされなければ、経団連としても、明確なスタンスを示すことができないと考えている。
【日中関係】
〔久保田副会長の訪中の成果や、延期となっている日中経済協会合同訪中代表団の派遣に向けた状況の変化等について問われ、〕先日、中国国際貿易促進委員会の幹部と久保田副会長が面談したことは、様々なルートで対話の糸口を掴もうとしている中にあって、意義のあるものだったと認識している。今回の訪中が一つのきっかけとなり、訪中団の派遣につながっていくことを期待している。ただし、訪中団の予定は現段階で未定であり、具体的な段取りはまだなされていない。今後、中国側との協議の状況や、受け入れ態勢等を総合的に勘案しながら進める必要があり、関係者との対話を進めていきたい。
〔中国が軍民両用品の対日輸出禁止の対象リストに日本の20企業・団体をさらに追加したことを踏まえ、中国の輸出管理措置の影響に関する認識や、今後の経団連としての対応について問われ、〕本年1月及び2月の輸出管理強化に続き、わが国の特定の企業をさらに追加する形で今般の措置が講じられている。極めて遺憾であり、撤回を求めたい。
これまで、会員企業の声を収集し、個別に副会長や副議長会社からも状況を聞いている。輸出管理措置の影響のレベルが徐々に上がってきていた中で、今般の措置が講じられており、具体的な内容や影響を引き続き注視していきたい。会員企業からも現場の状況を聞き、政府とも連携しながら必要に応じて対処していきたい。
【日印経済フォーラム】
〔日印首脳会談に合わせて開催された日印経済フォーラムの受け止めと、日本経済への影響について問われ、〕フォーラムには約150社の日本企業が参加し、民間同士の129件の協力文書と2兆円を超える事業機会の創出が発表された。両国経済関係の今後の強化に向けた機運を一層高めるものであり、非常に有意義であった。日印関係は相互補完的な性格が強く、わが国の持つ技術と、インドの持つ高い成長性・人材力が相互に補完し合えば、経済安全保障やエネルギー安全保障の観点も含め、両国にとって成長の後押しになっていくであろう。同時に、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けてグローバルサウスとの連携を進める中にあって、日印両国が重要なパートナーとなることは意義深いものである。
【国会運営】
〔特別国会における審議が停滞し、会期延長も取り沙汰されている政治状況の受け止めを問われ、〕会期を延長するかどうかは政治の側で検討されることである。内外ではさまざまな課題に直面しており、経団連としては、重要法案について与野党で粛々と審議を尽くしていただきたい。