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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年4月19日 No.3083 被災地のいま<2>
~経団連「社会貢献実践講座~災害被災地支援編」
-七ヶ浜町の復興への挑戦
(訪問日=2012年2月15日、場所=宮城県宮城郡七ヶ浜町)

七ヶ浜町は、松島湾の南西に突き出した半島状の町で、その名のとおり七つの浜から成り、古くから海と密接に関わり生活が営まれてきた。

2011年3月11日、海をこよなく愛する人々の町を最大12メートルの大津波が襲い、6割を超える家屋が被害を受けた。地元社会福祉協議会では、震災5日後から災害ボランティアセンターを設置し、町のシンボルである浜を蘇らせることが元気につながると「浜の再生プロジェクト」に力を入れてきた。浜の一つ、白砂青松で有名な菖蒲田海水浴場には、コンテナをはじめとして多くのがれきが散乱し、防風林としての松もなぎ倒された。多くのボランティアが入り、がれきを撤去し、浜辺を清掃し、公園を整備した。さらに、信州に伝わる古道整備の知恵を伝授してもらい、枯れた松を切り倒して一部を遊歩道整備に活用した。震災から6カ月後の9月に菖蒲田浜で復興祭りを開催したところ、会場では地元の方から「震災以来海が憎くて一度も見ていなかった」「海のそばに来るのに勇気が必要だった」との声が聞かれた。14時46分には、住民とボランティア500人全員が海に向かって手をつなぎ黙祷した。浜辺と松林が一体となった景観を守り、今年の夏に海開きを実現して復興の力にしたいとの熱い思いを共有する人々の挑戦はさらに続く。

この町には、名古屋のNPO「レスキューストックヤード」がいち早く支援に駆け付け、災害ボランティアセンターと同じ敷地内に活動拠点「ボランティアきずな館」を開所、全国各地からの支援を七ヶ浜につなぎ、多岐にわたる活動を展開している。足湯や喫茶を通じて住民と顔の見える関係を築き、「浜の再生プロジェクト」に協力し、「未来プロジェクト」で中高生が復興の担い手として活動することを促し、仮設店舗「七の市商店街」や「きずな工房」を支援している。「中越+能登+東北交流会」など、過去の被災地とつながる機会も設けている。

「震災をきっかけにたくさんの出会いを重ねることで、今まで凝り固まっていたものがパッとはじけた気がする。外からの支援は空気を変える力がある」という七の市商店街の店主の言葉どおり、地元主体の復興に向けた歩みを外部が支えることの意義を七ヶ浜町は教えてくれる。

菖蒲田浜で地元住民から海水浴場再開にかける熱意を聞く

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