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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年4月26日 No.3084 訪欧ミッション派遣 -政府・経済界首脳と意見交換/デンマーク、ポーランド、クロアチア

リデゴー・デンマーク気候・エネルギー・建設大臣との懇談

ポーランド民間経営者連盟(Lewiatan)を
訪れた参加者ら(写真提供=Lewiatan)

ヨシポビッチ・クロアチア大統領との懇談

経団連は12日から20日にかけて、ヨーロッパ地域委員会の横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長を共同団長とする総勢34名のミッションを、デンマーク、ポーランド、クロアチアに派遣した。一行は訪問各国の政府・経済界首脳と懇談し、経済情勢やエネルギー政策等に関する説明を聞くとともに、日EU経済連携協定(EPA)の意義をあらためて共有し、早期交渉開始への理解と支援を働きかけた。訪問各国における意見交換のポイントは次のとおり。

■ デンマーク-2050年までに脱化石燃料を目指す

2012年は1%のプラス成長となる見込みで、輸出はすでに金融危機前の水準に回復している。平均寿命の延びに連動して退職年齢を引き上げる仕組みを導入するなど、経済構造改革に取り組んでいる。

風力中心に再生可能エネルギーの利用に積極的であり、2050年までのエネルギー供給における化石燃料からの完全脱却を最終目標に設定、同目標の達成に向けて、エネルギー効率の向上に注力している。

自由貿易主義を堅持しており、日本との関係では恒常的に貿易黒字を計上している。デンマークが強みを持つグリーンテクノロジー分野、ライフサイエンス分野における日本企業との関係強化に期待が寄せられた。

■ ポーランド-日本のクリーンテクノロジーに期待

金融危機下でプラス成長を維持したEU加盟国中唯一の国で、続く欧州債務危機のなかでも2011年には4.3%の成長を達成した。年金制度改革等を通じて財政健全化を図りつつ、好調な経済を維持すべく、経済特別区の存続期間の延長等、引き続き積極的に投資誘致を進める方針である。

エネルギー分野ではエネルギー効率の向上を最重要課題と位置付け、原油、天然ガス等の輸入を減らしつつ、産業競争力を高めたい意向である。原子力発電所を2基ずつ2カ所に設置予定で、クリーンコールテクノロジーの導入、シェールガス開発等に関し、日本との協力強化に期待している。

■ クロアチア-投資受け入れを通じて経済再生を図る

昨年12月に発足した新政権は、低迷する経済の再生に向けて積極的に投資を受け入れる意向であり、投資環境の改善に取り組む政治的な決意が示された。来年7月1日のEU加盟により、地域開発等に対して年間10億ユーロ以上のEU基金が支給されることから、輸送分野、エネルギー分野等のインフラ整備における日本企業の参入を期待している。また、産業育成に向けて技術力の向上が課題となっており、日本には技術移転を伴う投資を期待している。

■ 日EUEPAの意義を確認

日EUEPAをめぐり、デンマークでは、政府・産業界ともに、早期交渉開始への強い支持が表明された。政府からは、自由貿易推進がデンマークの基本的立場であり、残されたEU議長国期間中に交渉を開始できるよう最善を尽くすとの見解が示された。

他方、ポーランドでは、政府ならびに民間経営者連盟会長は支持を明確に表明したものの、民間経営者連盟の事務局からは、自動車業界に属する会員企業の利害を踏まえ検討するとの慎重な発言があった。

【国際経済本部】

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