経団連の国際協力委員会(矢野薫委員長)は4月23日、東京・大手町の経団連会館で、星文雄国際協力銀行(JBIC)代表取締役専務取締役を招き、4月1日に日本政策金融公庫から独立し、新たな体制で発足した国際協力銀行の新組織の概要や、パッケージ型インフラ海外展開を支援する新たな業務とその活用方法等について説明を受けるとともに、意見交換を行った。星氏の発言要旨は次のとおり。
■ わが国政策とJBICのミッション-案件形成段階からの関与
これまでのJBICの役割は、ファイナンス支援や標準化支援等、事業者立案のビジネスプランに基づきファイナンスを供与するものであったが、今後JBICに求められる役割は、案件形成段階からの能動的な関与であると認識している。具体的には、日本に有利な条件を提供するようホスト国に働きかけること、魅力的なファイナンスパッケージの提案のための調査業務機能を提供すること、事業の当初の資金負担を軽減するために出資機能を利用してもらうこと、日本企業の応札をサポートする柔軟なファイナンスをオファーすること等である。
■ 拡充した七つの業務
新体制発足に伴い拡充された業務は七つある。このうち、次の四つを昨年度から先行して拡充している。具体的には、(1)先進国向け輸出金融(政令で指定される分野につき、先進国向けの輸出が限定的に可能になる)(2)短期のつなぎ資金を供与する投資金融(相手国の許認可に時間がかかり、民間銀行だけでは対応できない場合に活用可能)(3)わが国企業が外国企業を買収するための資金等を供与する投資金融(中小企業に限定されていた国内貸し付けの範囲を拡大)(4)本邦金融機関向けツーステップローン――である。また、今年度から開始しているものは、(5)通貨スワップに対する保証(6)日系現地法人の売掛金債権の流動化・証券化支援のための保証(7)輸出金融における再保証――の三つである。
<意見交換>
その後の意見交換では、「JBICが新体制となり、こうあってほしいと望む姿に近づいたことを歓迎する。他方で個別の案件は高度化、複雑化しており応用問題の連続であるので、スキームに当てはまらない場合も可能な限り柔軟に対応してほしい」との意見に対し、星氏から、「可能な限り柔軟に対応していきたい」と回答があった。また、「出資の活用に当たりJICA(国際協力機構)とのすみ分けはどうするのか」との質問に対しては、「もはやすみ分けというご時勢ではなく、利用しやすいものを選んでもらえればよいと思っている。一言で出資といってもさまざまな種類があり、幅広いメニューをそろえて、顧客の要望に応えていきたい」と回答があった。
【国際協力本部】