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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年5月24日 No.3086 トルコのエルギュン科学産業技術相から新投資促進政策の概要などについて聞く -日本企業の投資拡大に期待/日本トルコ経済委員会

釡委員長(左)とエルギュン・トルコ科学産業技術相

経団連の日本トルコ経済委員会(釡和明委員長)は10日、東京・大手町の経団連会館で、訪日したトルコ共和国のニハット・エルギュン科学産業技術大臣との懇談会を開催し、4月5日に公表された新投資促進政策の概要や、二国間経済関係の一層の強化への期待等について話を聞くとともに意見交換を行った。
エルギュン大臣の説明の概要は次のとおり。

トルコ経済は中期的に堅調

トルコの国民総所得は、現政権が発足した2002年の2300億ドルから11年には7720億ドルとなった。同期間に、輸出は360億ドルから1350億ドルへ、投資は430億トルコリラから2350億トルコリラへと拡大した。公的債務は漸減し、11年末で対GDP比40%以下に抑制されるなど、財政規律を維持しており、インフレ率も低い。世界を揺さぶる経済危機にあってトルコは、10年に9.2%、11年に8.5%の成長を記録するなど、世界で最も急速に発展する経済の一つとなっている。

外資誘致によるさらなる発展のため、新投資促進政策で数々の優遇措置を提供

2003年の直接投資法によって、内外企業間の差別が撤廃された結果、03年から10年までの間に1100億ドルの外国直接投資を受け入れた。今年4月には、特定の部門・製品に対する投資をさらに拡大するため、新投資促進政策を公表したところである。新政策におけるインセンティブには、「一般的」「地域別」「大規模投資案件」「戦略的投資案件」の4類型があり、投資家に対し条件に応じて、付加価値税・関税の免除、社会保険料の補助、利子の償還、投資立地の無償提供等の支援が与えられる。「大規模投資案件」では、トルコ経済を牽引する産業に対してより良い条件を提示し、「戦略的投資案件」では、輸入依存度の緩和につながる製品の生産を積極的に促す。

製造業・教育など戦略分野の発展を重視

共和国建国100周年の2023年に、年間輸出額5千億ドル、国民総所得2兆ドルを達成し、世界経済でトップ10入りする目標を掲げている。そのために、製造業の構造を改革し、ハイテク分野のシェアを25%に、研究開発予算を国民所得比で3%に増加させたい。また、自動車部門を皮切りに10以上の自国ブランドの育成に取り組みたい。
大規模教育インフラ整備計画「ファーティヒ・プロジェクト」では、トルコ全国の学校の教室に電子黒板を設置するとともに、全生徒にタブレットPCを配布する。これらの機器の国内生産においても投資インセンティブを享受できる。
ほかにも、インフラ整備やエネルギーなどの分野で多くの有望なプロジェクトが存在する。

日ト経済関係の一層の拡大・強化に向けて

トルコは日本との経済関係の一層の拡大・強化を重視している。二国間貿易は拡大基調にあるが、両国の潜在力に照らして不十分である。また、世界的な日本企業の対トルコ投資、トルコでの事業展開を多とするものの、日本企業の規模とトルコ経済の現状に鑑みれば満足できるものではない。
トルコの地政学的位置、周辺諸国が寄せる信頼の高まり、優秀な労働力、生産能力の質などを勘案し、今こそ、新インセンティブを活用した二国間の貿易投資の拡大はもちろん、欧州、中央アジア、中東・北アフリカ、黒海沿岸など広範な地域において、両国の戦略的連携を強化していきたい。

【国際経済本部】

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