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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年7月5日 No.3092 21世紀政策研究所が韓国経済研究院と懇談 -2050年経済予測で

経団連の21世紀政策研究所(米倉弘昌会長、森田富治郎所長)は6月6日、東京、大手町の経団連会館で、韓国経済研究院(全国経済人連合会グループのシンクタンク)と懇談した。これは、21世紀政策研究所が4月16日に発表した報告書「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」について、韓国でも主要全国紙が1面で取り上げるなど大きな反響を呼んだことから、意見交換したいとの申し入れがあり、これに応えたものである。

当日は、同研究院から朴大植副院長ら6名が来訪。21世紀研側は、グローバルJAPAN特別委員会の鶴光太郎研究主幹、阿達雅志委員ら11名が出席した。韓国側からも2050年までの韓国の潜在成長率の展望が報告され、日本と韓国は似たルートをたどっていて共通課題も多く、一歩先を行く日本の対応に強い関心が示された。韓国側の質問と日本側の回答は次のとおり。

■ 財政赤字

― 韓国も社会福祉支出を減らす必要があると考えているが、なかなか進まない。日本はどうしているのか。また、低成長下での消費税引き上げは、経済に悪影響ではないのか――。

日本の場合は、バブル崩壊以降、歳入が低迷していることが大きな問題であり、まずは、安定財源である消費税の引き上げが必要である。1997年の消費税引き上げもそれほど経済への影響はなかった。むしろ、マーケットに何かあればいつおかしくなっても不思議ではない現状においては、マーケットにきちんとメッセージを与える方が経済にとって好ましいと考えている。
高齢化で増大する社会保障費を負担に見合ったかたちにすることも重要であるが、政治家やマスコミの反発が大きく、議論する場もないのが現状である。

― 日本国債の格付けが引き下げられても日本への信頼度が高いのはなぜか――。

それは、日本国債の92~93%を日本人が購入しているためであり、財務当局はこれがいつまで続くか懸念している。

■ 少子高齢化

― 韓国も少子高齢化の影響で2019年から労働力不足が懸念され、女性労働力率上昇に期待している。少子高齢化で一歩先を行く日本では、経済への影響はどうか。また、雇用機会をいかにして確保しているのか――。

日本でも、まだ、少子高齢化の影響に関する詳しい分析はない。現在、年金の支給年齢引き上げに伴って、いかに高齢者の継続雇用と若年雇用を両立させていくかが議論されているところである。
また、女性が出産後に職場復帰できる環境を整えることも重要であり、実際に成果を上げている企業もある。
雇用機会については、過去20年間、景気の悪い時も非正規雇用を大幅に増やしてきたが、リーマンショック後、非正規雇用がカットされ問題になっている。雇用の数とともに質が重要な問題になってきている。

◇◇◇

このほか韓国側から、(1)高学歴女性ほど子どもの教育に熱心であり出産後の社会復帰率が低い(2)1998年の通貨危機以降、為替政策の効果は小さくなっている(3)子どもの早期留学が韓国社会になじめない若者をつくり出しており、留学時期を少し遅くする動きがある(4)大企業と中小企業の利益率格差は縮小してきているにもかかわらず、大企業批判が根強い――など、興味深い話を聞くことができた。

【21世紀政策研究所】

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