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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年7月12日 No.3093 日本ロシア経済委員会・日本NIS経済委員会2012年度総会を開催 -アファナシエフ駐日ロシア大使を迎え

説明するアファナシエフ大使

経団連日本ロシア経済委員会・日本NIS経済委員会(岡素之委員長)は3日、東京・大手町の経団連会館で2012年度総会を開催し、来賓のアファナシエフ駐日ロシア連邦大使から、新政権発足後のロシアの政治経済情勢ならびに日ロ経済関係の展望等について聞くとともに意見交換を行った。アファナシエフ大使の説明概要は次のとおり。

ロシア経済は順調に発展

昨今の世界経済情勢に鑑み、ロシアの基本方針はマクロ経済の安定堅持である。各種経済指標は良好で、2011年のGDP成長率は4.3%、インフレ率は過去4年で半減し6.1%、失業率は5.4%である。また、今年前半における政府債務の対GDP比は10.2%とG20諸国中最低の水準であり、外貨準備高は5120億ドルで世界3位を誇る。同時期の工業生産指標は、建設、農業、食品加工、工作機械、自動車・車輌分野の伸張により3.3%上昇した。

漸増する個人と法人の融資残高の総計は対GDP比34%、個人の銀行預金は同22%である。国民は余剰資金を有し、対前年比40%増と好調な新車販売を支える要因の一つとなっている。

新政権は経済近代化と極東シベリア開発に注力-ビジネス環境を積極的に改善

プーチン新大統領は、石油の国際価格に左右されるなどロシア経済が抱える多くの課題に挑戦しようとしている。経済近代化を推進しハイテク生産を拡大するとともに、極東開発省を創設して同地域の経済発展を推進し、アジア太平洋諸国や近隣国との関係の深化を図る。外国投資の受け入れ増大も重要であり、2011年の対ロFDI(海外直接投資)は前年比22%増の530億ドルを記録した。また、輸送、電力、銀行、農業などの分野で地方も巻き込んだ民営化を推進する計画である。

これらを実現するために、外国投資家が活動しやすいビジネス環境を整える。煩雑な税関手続き、官僚主義、行政障壁、国家の過干渉等、ビジネスの阻害要因を取り除いていく。これに関連し、企業家の権利を擁護する機関を新設した。また、今年ロシアはWTOに加入することから、世界の統一された経済貿易原則に基づき、各種制度が見直される。こうした努力によって、10年以内に投資環境で世界20傑入りする目標を掲げている。

日本との関係を重視-投資拡大に期待

プーチン大統領は、隣国であり世界の経済大国である日本との関係を重視している。両国は相互理解に基づき、あらゆる方面で関係を進展させなければならない。日本の対ロ投資は近年増加しており、名だたる大企業がロシアで積極的に活動していることを歓迎している。また、2011年の貿易額は300億ドル超となったものの、まだまだ拡大の余地は大きい。

ロシアはイノベーションや経済近代化をはじめ、多方面にわたる日本との経済関係を重視している。ウラジオストクでのLNG工場建設や、油田・ガス田の共同開発、製薬、ナノテク、バイオ、省エネ、高効率タービンによるコジェネレーション発電・電力、産廃・ゴミ処理、原料再利用システム、原発の安全性向上などの分野で連携を強化していきたい。日本企業が各種の経済特区制度の活用も視野に、ロシアに投資することを期待している。

【国際経済本部】

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