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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年7月19日 No.3094 「災害に強い流通システム」 -上原明治大学専門職大学院教授から説明聞く/流通委員会

経団連の流通委員会(亀井淳委員長)は6日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、明治大学専門職大学院の上原征彦教授から、「災害に強い流通システム」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 災害に強い流通システム構築のポイント

今後、災害に強い流通システムを検討するにあたり、首都直下型地震や東海・東南海・南海の三連動地震が発生した際に生じる事態を予測したうえで、(1)発災後3日間の被害(死者数、建物の損壊率など)を低減するためにどうすればよいのか(2)被災者の生活が通常に戻るまで、何をすればよいのか――という二つの視点を持たなければならない。

そのうえで、流通事業者は平時から、商品に関するリンク(輸配送経路)とノード(在庫・生産拠点)を把握するとともに、垂直連携(製・配・販の情報共有)と水平連携(競合他社同士の情報共有)を図ることが重要である。

また、災害対応マニュアルを事前に準備することも重要である。マニュアルでは、発災後、リンクやノードの被災状況を迅速に把握し、消費者に告知することや、輸配送拠点、集荷拠点などを確定すること、官民の作業分担を決めておくことが必要である。発災後72時間は、政府が被災地の需要にかかわりなく支援物資を輸送するプッシュ型を採用すべきであり、その後、徐々に被災地のニーズを踏まえて支援物資を輸送するプル型に移行することが望ましい。これに伴い、物資の輸送主体も、公的流通から商業流通に移すことが求められる。

■ デジタルインフラの活用

災害時に円滑な商品の輸配送・在庫配置・販売を行う基盤として、デジタルインフラを構築することも喫緊の課題である。これにより、リンクとノードの寸断箇所や、在庫品の所在地、輸送経路などを素早く把握することができる。

デジタルインフラは、平時の流通システムにおいても重要である。流通におけるムリ・ムダ・ムラを回避できる。具体的には、(1)市場動向の適切な把握(2)自社のポジション(立ち位置)の確認(3)競争優位(どの領域で強みを発揮できるか)の領域の認識(4)新規の仕入先・供給先の開拓――といった効果が期待できる。

【産業政策本部】

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