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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年10月11日 No.3104 住宅政策の主要課題や消費税率引き上げめぐる動向を聞く -住宅政策委員会企画部会

経団連は2日、都内で住宅政策委員会企画部会(立花貞司部会長)を開催し、国土交通省の井上俊之住宅局長から、住宅政策の主要課題や消費税率引き上げをめぐる動向等について説明を聞くとともに種々懇談した。井上局長の説明要旨は次のとおり。

■ 住宅市場を取り巻く環境と住宅政策の主要課題

わが国の総人口は2005年をピークに減少に転じ、世帯数も2015年がピークとみられている。ただし、地域別では、非都市圏で人口が減少していく一方、三大都市圏と政令指定都市圏では2010年代の半ばまで増加する見込みであり、全国一様ではない。2030年の世帯構成は、夫婦と子の世帯が約2割まで落ち込む一方、中高年の単身世帯の増加により、単身世帯が37.4%まで増加する。

住宅ストックという点では、空き家が問題となる。すでに800万戸に達しており、その内訳は約半分が賃貸用であるが、長期不在・壊し予定の空き家も268万戸に達している。特に、空き家放置問題は地方だけでなく都心部でも社会問題化している。さらに、住宅のミスマッチという面では、世帯人数の減少や単身世帯の増加によって、フローでは面積の狭い住宅の需要が増加する一方、ストックとして広い住宅が増加する。

住宅政策は、こうした住宅を取り巻く環境の変化に応じ、幅広い対応が求められている。今後の方向性は、大きく三つに分けられる。第一は数世代にわたり利用可能な良質な住宅ストックの増加、第二は中古住宅流通・リフォーム市場の整備、第三は多様な住宅ニーズに応じたサービスが受けられる環境の整備である。

まず良質な住宅ストックの増加という観点から、省エネ・耐震化については、住宅建築物は2020年までに一定の省エネ基準の義務化を進めるとともに、耐震化率95%という目標を掲げている。東日本大震災もあって、来年度は耐震改修の観点を前面に出した政策を打ち出していく。

中古・リフォーム市場の整備については、新成長戦略において2020年までに市場を倍増させるとしており、中古住宅・リフォームトータルプランに沿って取り組みを進めていく。

多様なニーズへの対応としては、例えば高齢者向け住宅の供給拡大に向けて、サービス付き高齢者向け住宅を制度化した。また、住宅セーフティーネット確保については、民間賃貸住宅の空き家に注目し、改修時に補助金を出す制度を設けるなど、取り組みを進めている。

■ 消費税率引き上げをめぐる住宅の動向

消費税率引き上げに伴う住宅取得にかかる措置として、税制措置(国税・地方税)および財政措置を含めた総合的かつ十分な対策を講じていく。国土交通省としては、住宅建設が経済に幅広く影響を与えることを考慮し、前回の税率引き上げ時のような、大きな駆け込みとその反動減を引き起こさないよう、需要の平準化に取り組んでいきたい。少なくとも、年末の予算・税制改正の際には対応を提示することで、現場の混乱を避けなくてはならない。

【産業政策本部】

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