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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月14日 No.3119 シンポジウム「グローバルイノベーション時代の企業戦略と知財」開催 -グローバルな知の活用策議論

経団連は1月30日、東京・大手町の経団連会館でシンポジウム「グローバルイノベーション時代の企業戦略と知財」を開催した。第1部では世界知的所有権機関(WIPO)のフランシス・ガリ事務局長と深野弘行・特許庁長官、広崎膨太郎・経団連知的財産委員会企画部会長が講演を行い、第2部では、中鉢良治・同産業技術委員会共同委員長も参加し、澤井敬史・同知的財産委員会企画部会長代行がモデレーターを務め、パネルディスカッションを行った。概要は次のとおり。

■ 講演

講演するガリWIPO事務局長

ガリ事務局長は、「有体財産から無体財産」「欧米からアジア」「一極集中から多極分散」など、世界で起こっている「シフト」に言及し、いまや国際的なルールづくりが、一部の国や国際機関だけでなく、企業や政府などの多様なステークホルダーの参加によって行われる時代となっていると強調した。

深野長官は、企業のグローバル化を見据えた特許庁の施策について紹介し、特許庁間においてもグローバル競争の時代となっており、わが国の特許庁も「選ばれる存在」になることが重要との認識を示した。

広崎部会長は、グローバル化・ネットワーク化の進展や情報が価値を持つ時代のなか、知を保護する枠組みや、技術や知を経済価値に変えるダイナミックな枠組みの構築が世界的にも課題になっているとの認識を示したうえで、そうした枠組みづくりにおけるWIPOや特許庁への期待を示した。

■ パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、中鉢共同委員長から、各国における特許の有効性の判断や遺伝子情報等の取り扱いの共通化の必要性、環境技術移転のためのプラットフォームである WIPO-GREEN (注)への期待などが示されるとともに、ライフ分野における新しいプラットフォーム構築の提案が行われた。

その後、ガリ事務局長からビッグデータや遺伝子情報のような新しい分野のルールづくりの重要性について賛同が示されるとともに、条約の策定・改正を待つよりもステークホルダーによるプラットフォームづくりを進めることが有効であり、その意味で WIPO-GREEN の推進に努めていくとの意思表明があった。

深野長官は、環境分野など国際的な枠組みづくりに困難なものはあるものの、知財制度の国際調和に向けて努力する旨発言した。広崎部会長は、イノベーションの多様化が進むなか、企業の選択肢を広げる柔軟な制度設計の必要性を強調した。

(注)WIPO-GREEN = 日本知的財産協会が発案しWIPOと連携して進めているプラットフォーム。企業や大学等が保有する環境技術を登録し、ビジネスベースでの技術移転を促進する仕組み


経団連は、WIPO-GREEN の取り組みを引き続き支援するとともに、グローバル時代の知財制度のあり方について、今後とも提言を行っていく。

【産業技術本部】

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