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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月14日 No.3119 21世紀政策研究所が第93回シンポジウム開催 -医療・介護分野の効率化・重点化策について論議

21世紀政策研究所(米倉弘昌会長、森田富治郎所長)は4日、東京・大手町の経団連会館で第93回シンポジウム「持続可能な医療・介護システムの再構築」を開催した。

シンポジウムでは、同研究所がこの1年間取り組んできた研究プロジェクト「持続可能な社会保障の構築に向けて~効率化・重点化の視点も踏まえて」の研究成果を発表するとともに、医療・介護分野の効率化・重点化策についてパネルディスカッションを行った。

まず、川渕孝一・東京医科歯科大学大学院教授(21世紀政策研究所研究主幹)が、「持続可能な医療・介護システムの再構築」と題して今回の研究目的や研究成果について報告した。川渕氏は、今後増加の一途をたどる医療・介護給付費について、財政的な制約のなかで効率化と質の向上の同時達成が必要であるが、国の描くグランドデザインは患者・利用者の疾患特性や地域特性が加味されておらず現場が動かないと指摘。

そのうえで、(1)疾患別・地域別に適正在院日数を算出し、地域の実態を踏まえた地域医療計画を作成、法的拘束力を持たせるべき(2)地域包括ケアシステムと連動した支払い方式を導入し、将来的には高齢者医療と介護保険の統合を目指すべき(3)保険給付範囲が広すぎるため、費用対効果に基づいたルール化を図る一方、セルフメディケーションの振興を図るべき(4)ICT化の促進を図るべき、ただし、有効な既存システムがあればその普及を図るという視点が重要である――とした。

続いて、パネルディスカッションでは、川渕氏をモデレーターに、大田弘子・政策研究大学院大学教授、堺常雄・日本病院会会長を迎え、研究プロジェクトの委員である大石佳能子・メディヴァ代表取締役、伊藤由希子・東京学芸大学准教授が加わり、活発な議論が展開された。

大田氏は、供給側ではなく利用者の立場に立った制度設計、介護サービスの選択肢の拡大、社会福祉法人の経営改革の必要性を強調した。

堺氏は、医療は地域産業であるとし、人口の分布・構造など病院の周辺情報を踏まえた病院類型化の取り組みを紹介した。

大石氏は、どうすれば在宅シフトが進むのか、特にサービス提供者を悩ます些細な規制の撤廃を要望した。

伊藤氏は、保健指導および医薬分業の政策効果に関する分析結果を示し、問題提起を行った。

討議を通じて、競争が行われる環境整備が重要であり、努力したものが報われるシステムが必要であることや、医療・介護の「見える化」を促進するために、その前提となるさまざまなデータの公表が求められることで意見が一致した。

◇◇◇

シンポジウムでの議論の詳細については、21世紀政策研究所新書として刊行予定である。

【21世紀政策研究所】

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