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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月28日 No.3121 経団連自然保護協議会がラオス、マレーシアへ自然保護プロジェクト視察ミッションを派遣

経団連自然保護協議会(佐藤正敏会長)は3日から10日にかけて、佐藤会長を団長とするミッション(総員21名)をラオスとマレーシアに派遣した。同協議会では毎年、経団連自然保護基金を通じて支援する海外プロジェクトを視察するとともに、行政機関や現地で活動しているNGO等との面談を行っている。

両国では特に、地方における貧困問題解消のため推進されているプランテーション化により、生態系の劣化が進むなか、日本のNGOが現地住民や行政と協働し、森林の保全と持続可能な利用を図りつつ住民の生活向上に取り組んでいる実態を視察するとともに、政府要人との意見交換を行った。

ラオス

トンシン・ラオス首相(右)と懇談する佐藤自然保護協議会会長

ラオスでは、南部のベトナム国境に近いサワナケート県ピン郡のサロイ村とフアイサイ村を訪問し、日本国際ボランティアセンター(JVC)が取り組む「土地・森林保全と持続的農業による生活改善プロジェクト」を視察した。現地では、貧困ゆえの違法伐採や、近隣国の産業植林による土地利用が増大し、村人が利用できる森林面積が減少しているが、JVCの指導の下、村の森林を共有林や農業用林、精霊林、保護林などに区分するとともに、森林法等の制度や稲作技術、環境保全型の施肥などの研修を通じて、持続可能な森林利用・農業への取り組みが進められている。また、小学生を対象に工夫を凝らした自然環境教育が行われている。

首都ビエンチャンで懇談したトンシン首相からは、環境保全と発展とのバランスを取ることを課題ととらえ、持続的発展を図っており、特に、貧困問題や食料問題への取り組み、2020年を目途とする国土の70%の森林回復などを通じて、水や森、水田が豊富にある「豊かな国」を目指している、との説明があった。ヌーリン天然資源環境大臣との面談では、各種開発に際して環境配慮に努めているが、人材や予算、技術面の問題が制約になっているなど実情の説明があり、一層の人材育成を含め、日本に対する継続的な支援への期待が寄せられた。

マレーシア

マレーシア・サバル森林保護区での植林活動

マレーシアでは、プランテーション事業・商品省のハムザ副大臣と天然資源環境省のラヒム副次官と意見交換した。ハムザ副大臣からは、1992年のリオ地球サミットで、森林でのプランテーション比率が50%以内に定められ、木材自体の輸出を減らすためにも付加価値の高い木材加工等を促進し、森林に頼らない体制づくりを検討しているとの説明を受けた。これに対し佐藤会長は、生物多様性保全の視点から、経済と環境の調和が重要であることを強調した。

また、ボルネオ熱帯雨林再生プロジェクトの取り組む「熱帯雨林再生の為の植林と近隣先住民族に対する森林保全啓発を通じたアグロフォレストリーへの展開等」の活動サイトを訪問し、産業植林とは異なる環境植林の姿や苗木栽培の状況、蜂蜜や菓子など森の恵みを利用した物品の製造・販売など、自然保護基金の活用の実態を視察するとともに、地元住民や子どもたちと共同で植林を行った。

◇◇◇

ミッションを通じて、経済や生活向上と両立する自然、森林の保全、森林の持続可能な利用に向けたNGOの地道な取り組みや創意工夫が着実に成果を上げていること、行政機関の理解や協力を得ることで実効性が高まっていることなどの実態を知ることができた。また、日本のNGOによる海外での活動は、産業界の協力により拡充してきている。自然保護協議会では今後も、企業とNGOとの協働を推進していく。

【経団連自然保護協議会】

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