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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月28日 No.3125 公開シンポジウム「産学官連携によるグローバル人材育成」を開催 -経済4団体共催

講演する川村経団連副会長

経団連は14日、都内で、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会との共催で、公開シンポジウム「産学官連携によるグローバル人材育成」を開催した。企業関係者や大学・政府関係者、大学生など、約400名が参加した。

まず、槍田松瑩日本貿易会会長が主催者を代表して開会あいさつを行い、その後、濱田純一東京大学総長による基調講演が行われた。濱田総長は、「第二次大戦後、日本社会は効率性を重視し、無駄を省くことで高度経済成長を遂げたが、その成功体験が、現在の教育改革の足かせとなっている」と指摘。「経済社会が複雑化し、イノベーションが求められている現在、時間的な早さや効率性だけを競うのではなく、寄り道をしても、より実のある体験や学習をすることが重要である」と述べた。そうした考えから「東京大学では、秋入学に向けた学事暦の見直しを進めるとともに、2013年度から新たに、入学直後の学生が1年間休学してボランティアなどの社会貢献活動や海外留学など国際交流活動を行うFLYプログラム(初年次長期自主活動プログラム)を導入した」と説明した。そのうえで、「秋入学への移行は、企業の採用活動や国家試験のスケジュールの見直し、多様な体験活動に対する社会の評価など、社会と大学が一緒になって取り組まないと前進しない」として産業界の協力を求めた。

続いて、経団連を代表して川村隆副会長・教育問題委員長から、グローバル人材の育成に向けた経団連の取り組みや、グローバル人材の育成に向けて産学官に求められる取り組みをテーマに基調講演が行われた。講演のなかで川村副会長は大学に対して、1点刻みの落とすための入試ではなく、学生の意欲・能力・適性等を多面的、総合的に判断できる制度に入試を改革することや、教養教育の拡充、双方向の留学生交流の推進や海外大学との教育連携の加速、ギャップ・イヤーなど学生の多様な体験活動の推進を求めた。

基調講演の後、グローバル人材育成に求められる産学官連携のあり方に関して、経済界、大学、文部科学省、および現役の学生代表によるパネル討議が行われ、グローバル人材の定義や大学生の海外留学のための条件整備、採用活動のあり方などについて、活発な意見交換が行われた。

最後に、共同声明を採択してシンポジウムは、閉会した。

公開シンポジウム「産学官連携によるグローバル人材育成」共同宣言(抜粋)

急務となっているグローバル人材の育成・確保については、海外留学の促進と帰国のタイミングに合わせた採用(秋採用、通年採用)の拡充、外国人留学生の受け入れ、海外インターンシップなどによって学生が異文化に触れる機会を拡充させることが必要。

東京大学に端を発する「秋入学」構想は、教育・研究分野での国際的な人材交流を活発にし、高等教育の質向上に資する内容であり、その積極的な問題提起を評価。大学・企業双方での「秋入学」に関する議論の高まりが、人材育成に向けた産学の相互理解と連携の契機となり、ひいては社会全体の取り組みとなることを期待。

【社会広報本部】

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