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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年6月20日 No.3135 提言「新たな成長を実現する大規模MICE施設開発に向けて」を公表 -国際競争力と情報発信力強化、観光立国実現を提唱

経団連は17日、「国際会議等(MICE)誘致体制の構築・強化」と車の両輪をなす大規模MICE施設の開発に関する提言を公表した。

MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業が行う表彰や研修目的の旅行(Incentive)、国際会議(Convention)、展示会(Exhibition)などのビジネス系イベントを総称した造語である。高い経済効果に加え、イノベーションやビジネスチャンスの創出、国や都市の情報発信力・ブランド力の強化といった効果があることから、世界各国・各都市が力を入れており、国際競争が激化している。そのため14日に政府が閣議決定した成長戦略にもMICE誘致体制の強化等が盛り込まれている。

日本での大規模MICEイベントとしては、2012年10月、東京で国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会が開催されている。開催期間中は関連イベントも含め多数の会合が開催され、交流や商談の舞台となった。また、各国からの代表団に対し、わが国は官民連携して工場見学等を実施し、日本の技術やノウハウを売り込んだ。一方で、日本には正式参加者1万2千人の規模の会議をすべて収容できる施設がなく、会議場は東京国際フォーラムを中心に分散開催で対応することになった。

今回の提言は、こうした大規模MICEをさらに日本で開催し、わが国の国際競争力と情報発信力の強化、観光立国の実現を図っていくことがねらい。提言ではまず、MICEの重要性と国際競争の激化、わが国の相対的地位の低下を指摘し、新たな成長に向けたMICE戦略の策定と戦略を体現するフラッグシップ型の大規模MICE施設を整備することを求めている。

次に、施設開発の立地条件として、アジアのハブとなる国際空港から30分圏内といった良好な海外からのアクセス、ゲストの満足度を高める利便性・快適性、世界規模のビジネスの集積が必要だとした。また、国際競争力のある最新鋭・最大規模の施設を開発するとの想定で、展示場30万平方メートル、会議施設5万平方メートルといった開発計画の概要と機能面での要件を示した。

さらに、施設開発の環境整備として、収益と政策効果の最大化に向けた官民の適切な役割分担と連携、政府が成長戦略に掲げた国際戦略総合特区の活用、政府が創設する予定のクール・ジャパン・ファンドの活用を求めている。

なお、大規模MICE施設開発を論じる際には、国際競争上の観点、資金調達や収益性の観点から、カジノの開設を認めるかどうかが重要な論点となる。今回の提言では、カジノについて倫理性の観点から多様な意見があり、さらに議論を深める必要があると指摘するとともに、経済性と倫理性を踏まえた政府内での検討が一層深化し、早期に結論を得ることを強く期待すると結んでいる。

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経団連では、国のMICE戦略の策定や大規模MICE施設開発には与党・政府の強いリーダーシップの発揮、地域間連携の強化が必要になることから、必要に応じて関係団体と連携しながら与党・政府や地域等との対話を進めていく予定である。

【産業政策本部】

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