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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年6月20日 No.3135 政府の新たな海洋基本計画について聞く -内閣官房総合海洋政策本部の長田事務局長から/海洋開発推進委員会

経団連は5月31日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会(元山登雄委員長、当時)を開催した。当日は、内閣官房総合海洋政策本部の長田太事務局長から、政府が新たに取りまとめた海洋基本計画について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 海洋立国日本の目指す姿

4月26日に閣議決定された海洋基本計画(平成25~29年度)には、昨年7月に経団連が取りまとめた「新たな海洋基本計画に向けた提言」の主張をかなり反映している。

海洋立国日本の目指す姿として最も大事なのは、海洋の開発・利用による富と繁栄である。海洋資源や海洋再生可能エネルギーなど、新たな海洋産業を戦略的に育成することで、わが国の成長につなげていく。

■ 海洋資源および海洋再生可能エネルギー

海洋資源の開発に関して、まず、メタンハイドレートについては、平成30年度までに商業化の実現に向けた技術を整備し、30年代後半に民間企業が主導する商業化プロジェクトが開始されることを目指している。

今年3月に愛知県沖で、メタンハイドレートの海洋産出試験に世界で初めて成功しており、今後3年間で日本海側のメタンハイドレートの状況についても調査していく予定である。また、南鳥島の周辺にレアアースを含む泥が存在しており、今後3年間で資源量や賦存状況を調査していく。

海洋再生可能エネルギーについては、銚子沖、北九州沖、長崎県沖、福島県沖で洋上風力発電の実証研究を実施する計画である。昨年5月には、「海洋再生可能エネルギーの利用促進に向けた取組方針」を決定し、今年3月から自治体に対して実証フィールドを公募している。

世界的に海洋産業の市場規模は拡大しており、わが国として総合海洋エンジニアリングの分野を伸ばしていきたい。

■ 海洋の総合的管理

今後、海洋開発を総合的に進めていくためには、排他的経済水域の開発を推進していくことが重要となる。そこで、海域管理に関する包括的な法整備を進める予定である。すでにイギリスやドイツなど諸外国では、海洋管理に関する包括的な法律を制定していることから、今後参考としていきたい。

このほか具体的な取り組みとして、排他的経済水域の基点となる低潮線を保全する必要があるため、沖ノ鳥島と南鳥島に港湾施設を整備している。

■ 海洋の安全の確保

尖閣諸島の周辺海域などで海洋権益をめぐる争いがあることから、海上保安体制を強化する必要が高まっており、巡視船の整備を推進していく。

また、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策に関連して、民間の武装警備を認める「海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案」を今通常国会に提出し、5月31日に衆議院を通過し、現在審議中である。

<意見交換>

元山委員長が、「政府の成長戦略のなかで、海洋産業の振興を位置づけることが重要である」と指摘したことに対して、長田事務局長からは、「政府の産業競争力会議では、メタンハイドレートや洋上風力発電といった数年内に成果が出るものを中心に成長戦略に盛り込もうとしている」との回答があった。

【産業技術本部】

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