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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月24日 No.3151 今後のエネルギー政策のあり方聞く/21世紀政策研究所の澤研究主幹から -原子力事業の環境整備や電力システム改革など/資源・エネルギー対策委員会

現在、政府はエネルギー政策をゼロベースで見直すべく、年内を目途に新たな「エネルギー基本計画」の策定作業を進めるとともに、広域系統運用機関の設立、小売分野への参入の全面自由化、法的分離による送配電部門の中立化を内容とする電力システム改革についても検討に着手している。

こうしたなか経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会(井手明彦委員長、加藤泰彦共同委員長)を開催し、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹から、今後のエネルギー政策のあり方について説明を聞くとともに意見交換を行った。澤研究主幹の説明概要は次のとおり。

■ 安倍政権の検討課題

昨年末の衆議院議員選挙前からの短期的課題は、(1)原子力発電所の再稼働(2)電気料金上昇の抑制――の2点であり、(1)エネルギー基本計画および温室効果ガス25%削減目標の見直し(2)エネルギー産業政策(電力・ガスの自由化や資源確保等)(3)原子力政策(事業体制、損害賠償制度、核燃料サイクル体制等)――の3点は、選挙以降に残された中長期的課題である。

■ 電力システム改革

電力システム改革の本質は発送電分離ではなく、総括原価方式による料金規制や社債の一般担保制度によってファイナンスを確実なものとしたうえで電気事業者に安定供給義務を課している従来の仕組みを廃止し、電力価格自由化により市場で需給を調整させることにある。

その場合、LNG・石炭・石油などの火力は、ファイナンスの不確実な「市場(自由化)」の世界に置かれることになる。

原子力についてはこれまで、エネルギー安全保障や地球温暖化対策の観点から「国策」として位置づけられてきたが、火力同様に「市場」の世界に移るのか、あるいは国策の世界にとどまるのか明らかでない。

再生可能エネルギーについては、固定価格買取制度という究極の総括原価制度によって国策の世界に置かれており、今後もその位置づけは変わらないものと思われる。

原子力を今後も国策として維持するのであれば、(1)「原子力は日本の国力・国益・地域振興にとって特別に必要」という政治の意思(2)長期・安定的な資金確保のためのファイナンス(3)技術の新陳代謝――の3点が必要である。

■ 原子力事業環境整備

原子力の活用について政治の意思確認ができた後には、技術・人材基盤の維持の観点から、新設を含むリプレースを視野に入れた政策を検討しなければならない。

リプレースのための資金は、民間金融資本市場から調達するかたちがあるべき姿である。そのためには、原子力損害賠償法を改正し、事故時の賠償責任負担のあり方について見直す必要がある。

また、原子炉等規制法の法目的に「原子力の計画的利用」を再度明記し、原子力規制委員会による安全規制が原子力の計画的利用の観点から行われるようにすべきである。

このほか、使用済み燃料の再処理、中間貯蔵、最終処分、廃炉といったバックエンド事業については、原子力委員会に代わり、バックエンド政策本部を設置し、国が事業全体を統括することが求められる。

【環境本部】

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