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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月14日 No.3154 今後の基幹ロケット開発のあり方について説明を聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会合同会合

講演する遠藤氏

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会企画部会(笹川隆部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。当日は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の遠藤守理事から、今後の基幹ロケットの開発のあり方について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 運用中のロケット

JAXAでは、9月14日に「イプシロンロケット」の打ち上げに成功した。これは小型ロケットであり、2015年に2号機の打ち上げを目指している。

現在の基幹ロケットであるH‐IIAとH‐IIBについては、打ち上げの成功率が96.2%で、世界最高水準となった。基幹ロケットの課題として、第一に、打ち上げニーズへの対応がある。近年の衛星のサイズは、H‐IIAとH‐IIBの能力を超える傾向があるほか、高い宇宙輸送コストが予算を圧迫している。

第二に、わが国の宇宙開発に関する技術・産業基盤の弱体化がある。開発機会の不足による技術者のリタイアや、打ち上げ数の不足による企業の撤退が生じている。

■ 新型基幹ロケット

政府の宇宙政策委員会は、わが国が自律的な宇宙へのアクセスを確保し、持続可能な宇宙輸送システムを実現するために、新型基幹ロケットの開発を決定した。

国内および海外の衛星市場やロケットの需要に対応するため、新型基幹ロケットのコストは、H‐IIAとH‐IIBからの半減を目標とする。

ロケット打ち上げシステム全体のコンセプトを検討するには、システムを構成するロケット機体、地上設備、飛行安全などの要求をバランスよく満たすことが重要である。例えば、これまでは点検作業などに多くの人手を介していたが、ロケット機体の自動点検を行うことにより、装置を簡素化しコストを削減していく。

■ 開発の進め方

新型基幹ロケットの開発・運用を取りまとめる企業については、公募と審査により選定する。

新型基幹ロケットの開発にあたっては、企業とJAXAの役割を明確にすることが重要となる。

開発段階では、JAXAはプロジェクト全体の技術マネジメント、システムの設計と検証、ロケット技術基盤の保持・蓄積を担う。企業は、打ち上げサービス事業の観点から開発を提案する。

開発管理のプロセスでは、今年度中にミッション要求などの実現可能性を審査する。そして企業を選定したうえで、14年度中には概念設計を行い、システムを定義する計画である。

運用段階では、企業には打ち上げサービス事業を展開して産業基盤を維持することが期待される。JAXAとしては、ロケット技術基盤を維持・活用し、民間事業者の打ち上げサービスを支えていく。

【産業技術本部】

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