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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月21日 No.3155 ドイツにおける産学官連携の現状聞く -産業技術委員会企画部会・産学官連携推進部会

経団連の産業技術委員会企画部会(須藤亮部会長)・産学官連携推進部会(永里善彦部会長)は6日、政策研究大学院大学の永野博非常勤講師から、「ドイツにおける産学官連携の現状」について説明を聞いた。

まず、永野氏は、ドイツにおける研究開発投資の現状を説明。「ドイツでは、研究開発投資が増加傾向にあり、研究開発投資対GDP比の目標値である3%にかなり近づいてきている」(2010年時点で約2.8%)、「メルケル首相は、15年までにGDPの10%を研究・教育に投資するとの目標を立て、イノベーション創出に向けた取り組みを加速している」(内訳は研究が3%、教育が7%)と述べた。

次に、欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構(FhG)について、「FhGは、大学の基礎研究と企業の研究開発の橋渡しをする役割を担う。FhGの収入のうち、約35%は企業からの収入であり、そのなかでも特に中小企業からの収入が多いのが特徴である」と説明。また、「一定の条件のもと、企業からの委託研究収入が増えれば運営費交付金の額も増える仕組み(フラウンホーファーモデル)となっており、これにより企業との連携が促進されている」「FhGの研究所は大学の近くに設置され、所長は教授を兼務している。これにより多くの博士課程の学生がFhG研究所のプロジェクトに参加しており、こうした人的交流を通じて、大学から企業への知識移転や、若い学生の斬新なアイデアの活用が促進されている」「博士課程の学生に企業のプロジェクトに参加する機会を提供することで、企業家的発想を持つ人材を育成している。FhGの研究者を務めることが一種のステータスとなっており、FhGは就職先としても人気である」と述べた。

さらに、産学官連携による研究開発クラスターについて説明。「ドイツ連邦政府の包括的な基本方針である『ハイテク戦略(2006年)』に基づき、国際的な競争力を持つ地域クラスターへの支援を目的とする『リーディング・エッジ・クラスター』が07年から実施されている。これまでで合計15拠点が選定され、1拠点当たり、連邦政府が5年間で4000万ユーロを支援することとしている。また、産業界も同額以上を負担することとなっており、産学官連携のもとでイノベーション創出に向けた取り組みを強化している」と言及した。

【産業技術本部】

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