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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年1月30日 No.3163 政府の海賊対策について説明聞く -海洋開発推進委員会総合部会

経団連は14日、東京・大手町の経団連会館で、海洋開発推進委員会総合部会(山脇康部会長)を開催した。日原勝也・国土交通省海事局外航課長および石黒彬・防衛省運用企画局事態対処課防衛部員から、政府の海賊対策について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本船舶の警備に関する特別措置法の概要 ― 国土交通省

ソマリア沖・アデン湾の海賊は、重火器により武装し、身代金目的で船舶をハイジャックする。同海域では、2009~11年は200件以上の海賊事案が発生したが、12年は75件、13年は15件となり発生件数は減少傾向にある。これは国際的な海賊対策が大きな効果を発揮していることによる。

わが国では、海賊対処法が09年6月に成立し、海賊行為を犯罪として処罰できるようになり、同法に基づき護衛艦を派遣している。11年以降、海賊の活動範囲がアラビア海などにも拡大し、各国が船舶への民間武装警備員の乗船を増加させるなか、わが国でも法整備が必要になった。

そこで昨年11月に、海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法を成立、施行させた。同法では、銃刀法や警備業法の特例として、民間武装警備員の乗船を認めている。対象海域は、アデン湾、アラビア海、インド洋等の海賊多発海域に限定する。対象船舶は、原油を運ぶタンカーなど、海賊行為による被害を受けやすいハイリスクの日本船舶に限定される。船舶ごとに警備計画を作成し、国土交通大臣の認定を得ることを義務づけている。警備員については、国土交通大臣の審査・確認を受けたものに限り、小銃を所持した警備を行える。同法により、日本船舶の安全を確保していく。

■ 自衛隊による海賊対処行動 ― 防衛省

自衛隊は、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処として、護衛艦2隻による護衛活動と、固定翼哨戒機P-3C2機による警戒監視活動を09年から開始した。

昨年12月から、自衛隊は、海賊対処のための多国籍の連合任務部隊であるCTF151に参加して、同司令部との調整により一定の海域を警戒監視するゾーン・ディフェンスを実施している。また、今年2月からは、P-3Cを運用する航空隊もCTF151に参加する。

派遣海賊対処行動部隊は、護衛艦2隻による水上部隊(約400名)とP-3C2機による航空隊(約190名)に分かれる。これまでの自衛隊の海賊対処の活動実績は、昨年11月時点で、水上部隊の護衛船舶数は延べ3166隻、護衛回数は516回であり、P-3Cの飛行回数は1013回、他国艦艇等への情報提供回数は約8730回を数える。

09年から11年には200件以上発生していた海賊事案の件数が、昨年は15件まで減少している。他方、海賊対処を行っている国の多くは、各国が連携して効果的に海賊対処を継続しなければ、再び海賊の活動が活発化するおそれがあると考えている。また、昨年12月から自衛隊の水上部隊がCTF151に参加するなど、自衛隊の海賊対処行動に対する国際的な期待は高まっている。今後の自衛隊の海賊対処行動のあり方については、これらのことも踏まえ、船舶護衛に対するニーズや要望に沿って、検討を進めていく必要がある。

【産業技術本部】

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