1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2014年2月20日 No.3166
  5. 「グローバル化時代のOECDのあり方に関する提言」を建議

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月20日 No.3166 「グローバル化時代のOECDのあり方に関する提言」を建議

経団連は18日、「グローバル化時代のOECDのあり方に関する提言」を取りまとめ、関係方面に建議した。今年はわが国のOECD加盟50周年に当たっており、5月のOECD閣僚理事会では、わが国が議長を務める予定となっている。そこで、OECDの活動にBIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD、経済産業諮問委員会)を通じて一貫して関与してきた経団連として、経済のグローバル化が進展し、新興国が台頭する時代のOECDの役割について、OECD諮問委員会(斎藤勝利委員長)を中心にあらためて検討し、その結果をOECDならびにわが国政府に対する提言として取りまとめたものである。概要は次のとおり。

■ OECDの現状

加盟国の拡大に伴い、OECDの「先進国クラブ」(少数の同質的な国が集まるフォーラム)としての性格が薄れつつある。また、G20サミットが「国際経済協力の第一のフォーラム」と位置づけられたことで、グローバル・ガバナンスにおけるOECDの役割があいまいになっている。さらに、加盟国が増えたことなどによって、各種ルール・政策の実行を促す相互審査(ピアレビュー)の効力が低下することのないよう留意する必要がある。

■ OECDに求められる役割

OECDに求められる役割の基本的な方向性は、OECDが持つ強みや特徴をさらに磨き、それらを十分に活かすことである。具体的には、加盟国については、民主主義、市場経済といった基本的な価値観を共有していることを重視し、それら価値観に基づいて策定されたOECDルールを受け入れる意思と能力を有する先進国で引き続き構成されるべきである。また、「先進国の有志連合」として、議題の設定、政策の決定・実行等を通じて各種グローバル・ガバナンスのコアとなるべきである。他のフォーラムがコアとなる分野にあっては、比較優位を有する特定の課題に関する「最良のソリューション・プロバイダー」としてグローバル・ガバナンスに貢献することが重要である。

そのためには、(1)OECDルールの履行確保とルール非参加国との公平な競争条件の確保(2)客観的データに基づく政策決定・実行の支援(3)各国・地域のベストプラクティスの共有――の三つの機能を強化すべきである。その際、(1)分野横断的な検討の徹底(2)アジアの視点の反映(3)経済界との対話の一層の強化――に留意する必要がある。

■ OECDと日本

わが国としては、OECDの活動の成果や機能を国益の実現に大いに活用すべきである。具体的には、(1)ルール策定への参画を通じた国際事業活動支援(2)客観的データによる国内構造改革の推進(3)ベストプラクティスの共有による国際的な信頼の向上――などが挙げられる。OECDの資源をわが国にとって有益なテーマに振り向けるには、経済大国としての活力の維持、加盟国との仲間づくり等によって発言力を確保し、議題の設定段階から関与していく必要がある。そのためにも、OECD事務局における日本人職員の増員が求められる。

OECDルールや規範を自らの制度や行動に体現し、それらが欧米先進国の利益を越えた普遍性を有することをアジア諸国に示すこと、アジアの視点をOECDルールに積極的に反映することを通じて、OECDとアジアとを双方向で橋渡しすることこそ、わが国に求められている役割である。

【国際経済本部】

「2014年2月20日 No.3166」一覧はこちら