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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月3日 No.3172 イノベーション政策に関する欧州調査ミッションを実施 -EUにおける産学連携強化に向けた最新の取り組みを調査

経団連は3月16日から23日の日程で、イノベーション政策に関する欧州調査ミッション(団長=小野寺正・産業技術委員会共同委員長、副団長=永里善彦・同委員会産学官連携推進部会長)を実施した。同ミッションでは、今年1月から「Horizon2020」(EUの科学技術イノベーションに関わる新たな7カ年計画)がスタートした現状を踏まえ、ドイツ、ベルギー、フランスの3カ国を訪問。EUにおける産学連携の強化に向けた最新の取り組みに焦点を当てて調査を行った。

■ ドイツ

ドイツでは、フラウンホーファー研究機構(FhG)、マックス・プランク・イノベーション、バイエルン州経済省、連邦教育研究省、欧州イノベーション技術機構(EIT)(注)・ICT-lab等を訪問した。欧州最大の応用研究機関であるFhGでは、「収入の3分の2は産業界等との契約によるものとなっており、こうした収入構造が産学連携を促進している」「FhGの各研究機関への予算配分を産業界との連携度合いで決定する競争的な仕組み(フラウンホーファーモデル)によって、産業界との連携を促進している」との話を聞いた。

また、バイエルン州経済省では、「イノベーション創出に向けた研究機関や企業へのコンサル業務・ベンチャー創出への支援を州レベルで強化している」との説明があった。

(注)EIT=European Institute of Innovation and Technologyの略。EU各国に拠点を設け、EU全体で産学連携を推進する仕組み

■ ベルギー

ベルギーでは、欧州委員会および世界的なナノテクの研究開発拠点であるIMECを訪問した。欧州委員会では、「14年1月からスタートした『Horizon2020』において、『卓越した科学(Excellent Science)』『産業界のリーダーシップの確保(Industrial Leadership)』『社会的課題への取り組み(Societal Challenges)』を三本柱としている」「EUレベルでの産学連携の取り組みであるEITでは、『研究』『教育』『イノベーション』の三つを『知のトライアングル』と位置づけ、相乗的に推進している」との説明を聞いた。

■ フランス

フランスでは、大規模な産学連携拠点であるパリ・サクレーキャンパスおよび産業競争力強化に向けたイノベーション政策を推進する生産復興省を訪問した。サクレーキャンパスでは、「政府の研究開発予算の15%をサクレーキャンパスに投資し、世界的な産学連携拠点の形成を推進している」「サクレーキャンパスにおける研究者や研究所のリストの作成により、外部からのアクセスを容易にするとともに、海外企業へ積極的に宣伝を行うことで、産学連携を促進している」との説明があった。

また、生産復興省では、「『イノベーションを通じた産業発展』、『地域活性化』の二つの観点から研究開発クラスターを整備しており、現在、71のクラスターが存在している」「イノベーションに資する革新的なプロジェクトを推進するための新たな仕組みである『イノベーション2030』を開始した。同戦略は、3段階で重点プロジェクトを選定するコンクール方式の仕組みであり、第1フェーズでは100プロジェクトを選定し、最終的には最大14プロジェクトまで絞り込む」との話を聞いた。

◇◇◇

今後経団連では、今回の調査をもとに、第5期の科学技術基本計画の策定も視野に入れながら、産学官連携のあり方等に関する提言を取りまとめる予定である。

欧州委員会(ベルギー)を訪問する一行

【産業技術本部】

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