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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年5月15日 No.3176 提言「新たな理念の下での国際協力の推進を求める」取りまとめ -ODA大綱の見直しに関する経済界の考え方を示す

経団連(米倉弘昌会長)は、提言「新たな理念の下での国際協力の推進を求める」を取りまとめ、13日に公表した。

2003年に現行のODA大綱が改定されてから11年が経過している。その間、ODAを含むわが国の国際協力に対する考え方や途上国のニーズが大きく変わり、その基本理念の見直しが必要となってきている。

外務省では、3月末に「ODA大綱の見直しに関する有識者懇談会」を立ち上げ、年内の新大綱策定を目指し、6月を目途に答申をまとめることとしている。提言は、その検討に経済界の意見を反映することを目的に、経済界の視点に立った国際協力のあり方と新大綱に盛り込むべき点を取りまとめたもの。

提言のポイントは次のとおり。

1.成長への貢献

  1. (1)成長戦略の視点
    途上国、新興国の持続的成長に貢献することを通じて、わが国の成長につなげる。

  2. (2)官民連携
    民間の活力や資金の活用の観点から、JICA(国際協力機構)海外投融資の活用促進、JBIC(国際協力銀行)金融・保証やNEXI(日本貿易保険)との連携、JETRO(日本貿易振興機構)支援体制の強化・活用、無償資金を活用したVGF(事業採算性支援措置)の制度化を図る。その際には、中堅・中小企業支援の視点が必要となる。

2.わが国のプレゼンスの拡大

  1. (1)顔の見える援助
    技術協力や研修生受け入れ等を通じて、わが国と相手国が一緒になって進める「顔の見える援助」を引き続き推進する。

  2. (2)要請主義にとらわれない協力
    「要請主義」に基づくことなく、わが国官民の提案によるプロジェクトを相手国政府と一体となって積極的に推進していく。

  3. (3)技術協力を通じたわが国の経験と知見の活用
    わが国の技術(環境、防災、ICT等)をインフラ事業に活かせるよう、価格のみならず、品質、技術力、耐久性やライフサイクル・コスト等を総合的に評価する入札制度を相手国に定着させる。また、わが国の優れた技術が海外で受け入れられるよう、わが国主導の国際規格を確立する。

3.貿易投資の活性化とビジネス環境整備

ODA供与や官民連携によるインフラ整備の障害となっている貿易投資上の課題の解決のため、経済連携協定等の締結を通じて、貿易投資ならびにビジネス環境の整備を推進する。

4.環境・エネルギー

  1. (1)環境と開発の両立
    温室効果ガスの排出削減をはじめとする国際益の確保ならびに途上国の持続可能な成長に積極的に貢献する。その一環として、二国間オフセット・メカニズム(注)を通じて、わが国の環境技術の普及促進を図る。

  2. (2)資源・エネルギー安全保障
    エネルギーを含む資源の安定供給は国家安全保障上の課題であり、日本の資源・エネルギーの安全保障強化の一環として、資源保有国に対して共同開発、産品の高付加価値化等の協力を推進する。

5.安全

  1. (1)安全対策の徹底
    ODAの戦略的活用による安全保障関連分野でのシームレスな支援、テロ対処能力が不十分な途上国に対する支援に取り組み、国家安全保障の観点から国際社会と協働する。

  2. (2)安全で豊かな個人生活の実現
    個人の能力向上による雇用促進、生活水準の向上を通じて犯罪を減らすことで、国内外からの投資が増え、これがさらなる経済活性化につながるという好循環を創出する。また、「2015年より先の開発目標」(ポストMDGs)の策定に向けた議論をリードし、わが国のプレゼンスを高める。

6.予算の拡充と戦略的配分

ODAは、途上国のみならず、わが国の国益に大きく貢献してきていることから、97年をピークに予算が減少の一途をたどっていることに歯止めをかけるとともに、メリハリのある配分を行う。また、「ODA卒業国」に対しても協力できるよう、ODA枠外の予算措置を講じる。

(注)二国間オフセット・メカニズム=二国間協議のもと途上国側のニーズを勘案しながら省エネ・低炭素化プロジェクトを形成し、技術移転の結果としての排出削減の一部をわが国の貢献分として評価する仕組み

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/046.html 参照

【国際協力本部】

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