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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月12日 No.3180 子ども・子育て支援新制度について聞く -厚生労働省の竹林少子化対策企画室長から/少子化委員会

経団連は5月22日、都内で少子化対策委員会(前田新造共同委員長、伊藤一郎共同委員長)を開催し、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の竹林悟史少子化対策企画室長から、2015年度施行の子ども・子育て支援新制度(以下新制度)について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 少子化の現状と施策の枠組み

わが国では05年から人口減少の局面に入った。合計特殊出生率は足もと1.41と、人口維持に必要とされる2.08とは大きく乖離しており、今の状況が続けば100年後の全人口は4千万人程度まで減少する。こうした悲惨な未来を避けるべく、早急に手を打たなければならない。

政府は、子育て支援、働き方改革、結婚・妊娠・出産支援の三つを少子化対策の三本の矢として対応を進めている。このうちの子育て支援の中心的施策として、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進する新制度を発足させた。

この新制度の財源としては、社会保障・税一体改革のなかで、消費税率10%への引き上げで得られる財源のうち、0.7兆円が充てられることとなっている。ただ、各方面から1兆円超の財源が必要との声が上がっており、厚労省としても残りの0.3兆円超の財源の確保に努めているところである。

■ 新制度における待機児童解消に向けた取り組み

全国の保育定員は毎年3~5万人ずつ増えているが、待機児童は毎年2万数千人存在しており、保育環境が整うと保育の潜在需要が顕在化するという「いたちごっこ」が生じている。こうした状況を踏まえ、新制度では、各市町村が5年間の需給計画(子ども・子育て支援事業計画)の策定に際して、需要の調査を行い、待機児童として顕在化している需要に限らず、潜在的な需要も含めて把握し、根本からの待機児童解消を図る。

なお、当初は、15~19年度末の5年間で待機児童解消を図るとしていたが、昨年4月に安倍総理が「待機児童解消加速化プラン」を打ち出し、計画を2年前倒しした。各種施策のスピードを引き上げ、17年度末までに40万人分の保育の受け皿を確保し、待機児童の解消を図る。

■ 新制度における事業所内保育所の扱い

新制度においては、一定の基準を満たした事業所内保育所は、新制度の枠組みに入り、公的な給付が受けられるようになる。基準には、面積や職員配置の基準のほか、市町村の利用調整を受ける「地域枠の子ども」を一定数受け入れなければならないという基準がある。

地域枠は、運用や規模のあり方次第で従業員の利用に影響を与える可能性があるが、弾力的な運用を認めたことに加え、地域枠の定員数については国として考える基準(定員の4分の1~3分の1)を示しつつも、最終的には企業の意向も聞きながら、市町村が決める仕組みとした。

また、従業員の子どもの利用については企業の福利厚生の側面もあるため、他の同規模・同水準の保育サービスに対する給付よりも若干割り引かれる。ただ、従来の助成制度よりも企業の負担は減ることになるので、ぜひ新制度の枠組みに入っていただきたい。

【経済政策本部】

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