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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年7月31日 No.3187 夏季フォーラム2014/特別セッション「骨太方針と日本再興戦略」 -甘利経済再生担当相が講演

講演する甘利経済財政担当相

経団連は24日、東京・大手町の経団連会館で「夏季フォーラム2014」を開催した。
特別セッションでは、「骨太方針と日本再興戦略」をテーマに甘利明経済再生担当大臣から講演を聞くとともに、意見交換を行った。特別セッションの概要は次のとおり。

講演「骨太方針と日本再興戦略」甘利明氏

アベノミクスにより、すでに多くの分野で成果が出ている。女性の活躍推進を掲げ、保育や学童保育の受け皿確保を進めるといった施策を行い、政権発足から1年で女性就業者数は53万人増加した。訪日外国人観光客も、ビザ発給要件緩和などを背景に初めて年間1千万人を突破した。また、足もとの失業率が3.5%まで低下するなど、各種経済指標も改善を続けている。

こうした変化を一過性に終わらせず、経済の好循環を引き続き力強く回転させるべく、「日本再興戦略」改訂2014が6月に閣議決定された。新成長戦略は三つの柱によって構成されている。

第一の柱が「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」である。企業の稼ぐ力を強化するため、コーポレートガバナンスを強化するほか、日本国債が中心となっているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオを見直す。大企業も巻き込んでベンチャー投資を加速させ、資本効率を引き上げていくことも狙う。

企業とともに、国も変わらねばならない。法人税改革はその一つである。日本の稼ぐ力を取り戻すため、研究開発法人に大学の研究と企業の実用化の橋渡しをしてもらい、イノベーションを生み出すことも進める。

第二の柱は「担い手を生み出す」である。女性のさらなる活躍推進を進めるほか、働き方の改革を行う。一定の年収があり、ミッションが明確な仕事に対しては、高い労働生産性を発揮していただくため、成果で評価する制度への改革を行う。また、外国人材の活用も進めていく。

第三の柱は「新たな成長エンジンと地域の支え手となる産業の育成」である。農業、医療・介護の産業化を新たなフロンティアに掲げた。農業に関しては、生産性を引き上げるべく、数十年ぶりの農協改革に取り組むほか、農業の大規模化を目指した生産法人の要件見直しを行う。

秋の臨時国会では、ローカルアベノミクスの策定を進める。このため「まち・ひと・しごと創生本部」を設置する。これで、アベノミクスが全国津々浦々で実感されるようになる。

■ 意見交換

講演の後、出席者との間で活発な意見交換が行われた。

経団連からは、「大学が行いたい研究と、企業の要望とにミスマッチがあり、うまくいかないことがある。検討をお願いしたい」「金利上昇に伴う国債の利払い費増大を懸念しているが、この点は国民に共有されていないのではないか」といった意見が出された。

これに対し甘利氏からは、「研究者には研究と実用化のバイリンガルになってほしい。大学と研究所の両方に所属してもらうことで、事業化の感覚が磨かれるのではないか」「これからアベノミクスで以前よりも成長率が高まっていけば、自然と金利は上昇していくのが経済原則。財政健全化の具体的なプランを立てることと、成長とを両立することが重要だ。ぎりぎりのところで両者の両立をハンドリングしていることを国民に伝えていく」との回答があった。

【政治社会本部】

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