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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月2日 No.3194 「日本・ロシアフォーラム2014」 -日露ビジネスの展望などについて佐々木日本ロシア経済委員長が基調講演

右から佐々木日本ロシア経済委員長、森喜朗元首相、
ナルィシュキン・ロシア下院議長

9月9~10日、モスクワにおいて、「日本・ロシアフォーラム2014」(毎日新聞社・ロシア新聞社共催。日露両国政府、経団連後援)が開催され、日本経済界代表として、佐々木則夫副会長・日本ロシア経済委員長が参加した。

佐々木委員長は同フォーラムで、森喜朗元首相、セルゲイ・ナルィシュキン・ロシア下院議長らに続いて基調講演を行い、日露経済関係に関する現状認識ならびに、互恵的かつ重層的な協力関係の構築に向けた展望を示した。講演内容は多方面で広範な関心を呼び、佐々木委員長は国営ロシアテレビやロシア新聞ほか、複数のメディアからの取材にも対応した。

基調講演の主な内容は次のとおり。

■ 日露経済関係における経団連の取り組み

日本ロシア経済委員会の前身は、1965年に設立された「日ソ経済委員会」にさかのぼる。委員会はわが国の対ソビエト連邦交流の窓口としての役割を担い、合同会議の開催や極東・シベリアにおける資源開発プロジェクトの推進等に取り組んできた。

92年に現在の名称に変更した後も、ロシア各地へのミッション派遣や政府・経済界要人との対話など地道な活動を積み重ね、日露経済関係の緊密化に向けた不断の取り組みを進めている。

■ 二国間貿易・投資をめぐる現状

日露貿易は2008年の世界金融危機を受けて大きく落ち込んだが、その後は速やかに回復し、着実に拡大している。両国の経済力や市場規模、地理的な近接性といった諸々の要素に鑑みれば、今後も相当に拡大するポテンシャルがある。

一方、日本からの対露直接投資をみると、ここ数年、製造業のみならず金融・保険や卸・小売など、非製造業分野への進出が顕著である。これは、ロシア市場の成熟化や消費者の多様なニーズを踏まえたものといえる。

■ ロシア・ビジネスに対する日本企業の見方

経団連では、ロシア・ビジネスに関するアンケートを毎年実施している。進出済み、または進出検討中の日本企業の8割以上が、ロシアを有望な市場としてみており、ロシア・ビジネスをめぐる展望は総じて明るい。

特に極東地域への関心は07年以降、着実に伸びており、今年の調査結果では、58%もの回答企業が「極東は有望」としている。これは、ウラジーミル・プーチン大統領のリーダーシップのもと、極東開発に注力するロシア政府の政策と軌を一にするものである。

一方で課題も少なくない。回答企業の多くが、ロシアでビジネスを展開するうえでの障害として、「行政手続き」「司法制度」「治安」等を挙げている。治安改善や制度面での基盤強化が、投資先としてのロシアの魅力のさらなる向上につながる。

■ 互恵的・重層的な日露関係の構築に向けて

互恵的かつ重層的な日露協力関係の構築にあたっては、エネルギー・環境、医療、農業、極東開発、インフラの5分野に注力すべきである。これらは、日露のみならず地域のエネルギー安全保障や低炭素社会の実現、食料の安定供給確保といった地球規模の課題に対応する観点からも、極めて重要な分野である。

また、二国間のほか、環日本海経済圏など地域間のイニシアティブ、さらにG20・B20(G20ビジネスサミット)やAPEC(アジア太平洋経済協力)・ABAC(APECビジネス諮問委員会)など多国間の枠組みも活用し、両国が重層的に連携を図ることが肝要である。

経団連としては、イノベーションを通じて、ロシアの産業構造の転換や多角化等への取り組みに最大限の協力を惜しまない決意である。

【国際経済本部】

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