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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月2日 No.3194 プロボノをめぐる動向や企業との連携可能性などで説明聞き意見交換 -社会貢献担当者懇談会を開催

経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で社会貢献担当者懇談会(金田晃一座長、山ノ川実夏座長)を開催した。会合では企業人が自らの持つスキルを活用して社会課題の解決にあたるボランティア活動「プロボノ」に関連して、企業人プロボノを支援するサービスグラントの嵯峨生馬代表理事、二枚目の名刺の廣優樹代表から、それぞれ昨今のプロボノをめぐる動向や企業との連携可能性などについて説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「企業人のスキルを活用しNPOの基盤強化に貢献」 嵯峨氏

嵯峨・サービスグラント代表理事

サービスグラントはNPOの課題解決支援を行っている。具体的には企業人のスキルを活用して、活動の情報発信やファンドレイジング(資金調達)、業務改善、中長期の事業計画立案などのサポートを通じ、NPOの基盤強化に貢献している。

企業との連携では、企業によるNPOへの助成や社会起業家育成プログラムに、プロボノによる基盤強化支援を組み合わせることでプログラムの効果をさらに高めている事例がある。ただ、われわれの一般的なプロジェクトは期間が3~6カ月で、企業人にとって参加のハードルが高く、負担になることが課題であった。そこで最近では、活動参加の裾野を広げるために、一日完結で気軽に参加できるワークショップの場を設ける工夫もしている。

企業にとって、プロボノの活用には、人材育成やキャリア開発といった人事面の可能性がある。育児休業を取った社員が業務に復帰する際に仕事の感覚を取り戻す方法の一つとして、プロボノを試験活用した例がすでにある。また、経験豊富なシニア社員が地域NPOの理事や顧問としてプロボノ的な役割を果たすことも期待される。

■ 「プロボノ経験の本業への活用に期待」 廣氏

廣・二枚目の名刺代表

(1)社員としての1枚目の名刺(2)ボランティアとして社会を支える活動を行う一員としての2枚目の名刺――われわれは、この2枚の名刺を持つ企業人を応援する。その一環として、NPO等と企業人の出会いの場を設けたり、出会いを契機に立ち上がるプロボノプロジェクトをサポートしたりしている。これらを通じ、社会課題の解決はもちろん、活動で得られた経験が彼らの本業に資することを期待している。

2枚目の名刺を持つ企業人は、自身の変化・成長に対する意識が強い。また、社会活動にかかわる際にも新しい仕組みをつくることに関心を持つ。

最近は、企業もプロボノを通じた社員の成長に期待し始めている。人事は本業へのフィードバックやシニア世代のキャリア開発支援の観点から期待する。若手担当者レベルでも新規事業の種を探す場、また成長の場と評価している。中央省庁も、NPO支援と並び企業人の育成の視点からもプロボノに注目している。企業のCSR部門には、プロボノの社会貢献以外の価値にも目を向け、他の事業との連携を含めた新しい取り組みを期待したい。

2枚目の名刺のフィールドで経験を積む企業人が増えると、企業も新しいキャリア育成や働き方の手法としてさらに注目するようになるだろう。企業が彼らの取り組みを後押しする際には、われわれもその手伝いをしたい。

【政治社会本部】

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