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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月9日 No.3195 農林水産業の成長産業化に向けた重要施策を聞く -農政問題委員会

経団連は9月26日、東京・大手町の経団連会館で農政問題委員会(小林栄三共同委員長、十倉雅和共同委員長)を開催し、農林水産省の皆川芳嗣事務次官をはじめ、同省の幹部から、農林水産行政における重要施策について説明を聞いた。

冒頭、皆川事務次官は、「農林水産業は伸びしろの高い分野であり、わが国が持続的な経済成長を実現するうえで重要なカギを握る。このたびの内閣改造で新たに就任した西川公也・農林水産大臣のもと、わが国農林水産業の成長産業化に向け尽力する」とあいさつした。

続いて、農林水産行政の重要施策について、各施策の担当者が説明。まず、別所智博・技術総括審議官は、農林水産業におけるロボット革命の実現について、「ロボット技術やICTを活用して、超省力・高品質生産を実現するスマート農業を推進することが重要」「農業分野で開発が進んでいる主なロボット技術として、トラクターの自動走行・複数走行を可能とするGPS自動走行システムや、収穫物の積み下ろしなどの重労働を軽労化するアシストスーツ、除草作業を自動化する除草ロボットなどが挙げられる」と説明した。

次に、奥原正明・経営局長は、農地中間管理機構の活用による農地集積・集約化の状況等について説明。「現在、担い手の農地利用は全農地の5割であるが、農地を借り入れて企業を含めた担い手に使いやすいかたちで転貸する農地中間管理機構の活用により、今後10年間で担い手の農地利用を全体の8割まで高める」「熊本県では、知事自らが農地中間管理機構の活用を積極的に呼びかけるとともに、50名もの推進体制を整備するなど、先駆的な取り組みを行っている。こうした取り組みを全国に拡大していくことが大事」と述べた。

石田寿・政策評価審議官は、2015年ミラノ国際博覧会の開催について紹介。「ミラノ万博は、15年5月から半年間、『地球に食料を、生命にエネルギーを』をテーマに開催される大規模博覧会である。日本館として、地球規模の食料問題に貢献する新しい農業技術や食品関連技術を、経済界と連携して発信するためのご協力をお願いしたい」と説明した。

沖修司・林野庁次長は、林業の成長産業化の加速に向けた国産材の需要拡大について言及。「豊富な森林資源を循環利用し、林業の成長産業化の実現を図るとともに、美しく伝統ある山村を次世代へ継承することが重要である」「新たな建材として、クロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT)(注)の需要拡大が期待されている。国産CLTの本格普及に向け、(1)建築基準の整備(2)実証的な建築事例の積み重ね(3)生産体制の整備――の三つを総合的に推進することが必要」と指摘した。

(注)クロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT)=ひき板を直交するように積層接着した重厚パネル

最後に、本川一善・水産庁長官は、水産業の競争力強化に向けた施策について説明。「各漁村の実態に即した『浜の活力再生プラン』を策定し、5年間で漁業者の所得を10%以上増加させる」「同プランに基づいて浜の活性化に取り組む漁村と、技術や人材、ノウハウ、資本等の提供を通じて各漁村を支援する『浜の応援団』のマッチングを水産庁が推進することにより、水産日本の復活を図る」と述べた。

◇◇◇

当日はあわせて、当面の委員会の活動案について委員間で議論し、了承を得た。今後、国の農政の5カ年計画である「食料・農業・農村基本計画」の年度末の改訂に向け、意見を取りまとめる予定。

【産業政策本部】

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