1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2014年10月9日 No.3195
  5. 防衛省の宇宙開発利用の取り組み聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月9日 No.3195 防衛省の宇宙開発利用の取り組み聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会

経団連は9月17日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(中谷義昭部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。防衛省の石川武防衛政策局防衛政策課長から防衛省における宇宙開発利用に関する取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 防衛省の宇宙政策

防衛省では2008年の宇宙基本法の成立を受け、09年に宇宙開発利用に関する基本方針を策定し、安全保障分野での新たな宇宙開発利用について、従来の一般化理論の枠組みを超えた検討を推進することとした。その後、12年の宇宙航空研究開発機構(JAXA)法の改正や13年の国家安全保障戦略、防衛大綱等の閣議決定という宇宙政策をめぐる環境の大きな変化を踏まえ、今年8月に宇宙開発利用に関する基本方針を改訂した。

■ 宇宙開発利用に関する取り組み

画像衛星については、情報収集衛星や商用画像衛星を利用して情勢分析等に活用している。通信衛星については、民間Xバンド通信衛星3機を部隊運用上重要な指揮統制・情報通信に使用しており、設計寿命を迎える2機の後継機については現在、自らの通信所要に即した初の防衛省保有の衛星として整備中である。

弾道ミサイル防衛(BMD)については、イージス艦へのBMD機能の付加やBMD用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発などを行っている。また、わが国の方向へ発射される弾道ミサイル等に関する第一報として、米国の早期警戒情報を受領している。

このほか、宇宙ごみの増加の問題等を踏まえた取り組みを進めている。

■ 新たな基本方針

防衛省の宇宙開発利用に関する新たな基本方針では、活動空間・基盤空間・対処空間の三つの視点から、それぞれ(1)国内リモートセンシング(地球観測)基盤の育成への貢献(2)次期Xバンド通信衛星(3機目)の整備に向けた具体的検討(3)文部科学省・JAXAで計画中の先進光学衛星への相乗りによる赤外線センサーの宇宙空間での実証研究――などを行う。宇宙空間の利用を進めていくうえで必須の前提となる宇宙空間の安定確保に関しては、宇宙監視機能を保持するとともに、機能保持にあわせて防衛省に宇宙監視を任務とする専従組織を設置できるよう検討することとしている。

また、宇宙政策推進にあたっての共通の課題として、体制の充実、費用対効果の最大化、宇宙産業に知見を有する関係府省との連携を挙げている。

<意見交換>

新たな基本方針における「国内リモートセンシング基盤の育成への貢献」に関連して、人工衛星のデュアルユース(民生・安全保障両用)の取り組みについて質問があり、「平成27年度概算要求ではJAXA衛星ALOS-2の画像利用のための経費を計上している。今後も関係府省等が推進するリモートセンシング政策に積極的に関与し、防衛省のニーズを反映していきたい」との回答があった。

【産業技術本部】

「2014年10月9日 No.3195」一覧はこちら